リーグワンでプレーするために最低限必要な身体的条件
今まで色々とぼやいてきたが、今回はもう少しためになるものを紹介していきたい思います。。今回扱うのはリーグワンでプレーしていくのに必要な身体的条件です。
2020年にリーグワン(当時のトップリーグ)の公式戦45試合と298名分のデータを分析し、トップリーグにおける各ポジションではどんなふうにトレーニングすればいいのかを紹介されていました。
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前置き
最初に断っておきたいのは、これからシェアする情報はリーグワンでプレーしたければ、”必要最小限出来なければいけないこと”です。というか自分はそう思っています。なぜなら文献に出てくる基本的なデータは常に平均化されていて、標準偏差がついている、そして平均だから出来ていて当たり前という具合になります。
やはりリーグワンで活躍するためにはプラスアルファが必要です。自分もヴェルブリッツに数ヶ月いた時に、茂野海斗のような小兵がどれだけ頑張っているのかを間近で見たし、数回しか会っていないですが姫野がどれだけデカいかもみたことある。活躍するためにはプラスαが必要なんだろうなと思います。
例えば今であればフロントロウはスクラムに勝つだけではなく走れなければいけないし、バックスもハンドリングやキックだけではなく必要とあればタックルにいかなければいけない。
またリーグワンはまだドラフトがなく、企業スポーツの色が濃い。つまり、リーグワンに行くためには結果を残すだけではなく監督などからの推薦やチームからのスカウトなども必要だと思う。何も監督やコーチ達に尻尾を振れと言っているわけではない。そうではなく寧ろ彼らが推薦したくなるような、スカウトしたくなるようなオン・オフザピッチで素晴らしい選手、人間になって欲しいと思っています。そして、指導者の方々にも人間教育の一つのツールにしてもらいたいです。
リーグワンの試合でのGPSデータ
以上が自分の前置きです。では、以下が文献の要旨をまとめです。
前述の通り、この文献は当時:トップリーグの公式戦45試合、そして合計300人近い選手のGPSデータを分析したものだ。
平均総走行距離:
フォワード(FW)= 5731m、バックス(BK)= 6392m。
時速18km以上の高速ランニングの平均走行距離:
FW=317.4m、BK=715m。
平均加速回数:
FW=76.3回、BK=100.8回
10G以上の平均インパクト(タックルやスクラムなどの激突)回数:
FW=48.0回、BK=35.6回
以上が1試合でトップリーグで活躍する選手達がピッチ上で経験していることです。
フィジカル向上にどうしたらいいのか?
そして、これからがこの文献からフィジカル向上のためにこの文献が推奨していることをまとめてみます。
フォワード編
プロップ・フッカー:コンタクトが試合中に一番多い
試合中に必要な能力
1)何度も激しいコンタクトが出来る、Contact Fitnessが必要
2)筋肉量増加、筋力・パワーの増加などフィジカルによってコンタクトを制す事が出来る
→トレーニングでは?
1)バックスと比べ、Contact fitnessを向上させることに集中
2)ウェイトトレーニングでは体を守るために筋肥大からの体重増加を。
ロック:試合中はスプリントはフロントロウよりも多く、またコンタクトも多い
試合中に必要な能力
1)何度も加速し、ハイスピードでスプリントが出来る
2)何度も起きる激突に耐えられるContact Fitnessとコンタクトで勝つ
→トレーニングでは?
1)フロントロウよりはスピードとアジリティ、そしてスプリント能力にフォーカスさせる
2)フロントロウ同様にコンタクトフィットネスを向上させる
3)ウェイトトレーニングでは体を守るために筋肥大からの体重増加を。
フランカー:ロック同様にスプリントとコンタクトが多い
試合中に必要な能力
1)何度も加速し、ハイスピードでスプリントが出来る
2)何度も起きる激突に耐えられるContact Fitnessとコンタクトで勝つ
→トレーニングでは?
1)フロント・セカンドロウよりもスピードとアジリティ、そしてスプリント能力にフォーカスさせる
2)フロント・セカンドロウ同様にコンタクトフィットネスを向上させる
3)ウェイトトレーニングでは体を守るために筋肥大からの体重増加を。
No.8: *今回のデータでは平均体重が120kg以上であり、以前に行われたリサーチとは全く違った結果となった。
試合中に必要な能力
1)何度も激しいコンタクトが出来る、Contact Fitnessが必要
2)筋肉量増加、筋力・パワーの増加などフィジカルによってコンタクトを制す事が出来る
→トレーニングでは?
1)バックスと比べ、Contact fitnessを向上させることに集中
2)ウェイトトレーニングでは体を守るために筋肥大からの体重増加を。
バックス編
スクラムハーフ:総走行距離・加速回数・スプリント距離ともに他のポジションよりも多い
試合中に必要な能力
1)ランニングフィットが高く、試合中にピッチのあらゆるところをカバー出来る
2)加速回数が多いため、腓返りが起こることない強い下半身
3)加速とスプリントが何度も出来る
→トレーニングでは?
1)全てのポジションと比べて、一番ランニングフィットネスを注力
2)スピードとアジリティと何度もスプリントが出来る能力向上を。
フライハーフ:フォワードよりも多い総走行距離
試合中に必要な能力
1)ランニングフィットが高く、試合中にピッチのあらゆるところをカバー出来る
2)何度もスプリントが出来る能力
→トレーニングでは?
1)他のバックスと比べて、ランニングフィットネスを注力
2)フォワードと比べてスピードとアジリティと何度もスプリントが出来る能力向上を。
センター:バックスでは一番コンタクトが多い
試合中に必要な能力
1)何度も激しいコンタクトが出来る、Contact Fitnessが必要
2)筋肉量増加、筋力・パワーの増加などフィジカルによってコンタクトを制す事が出来る
→トレーニングでは?
1)他のバックスと比べ、Contact fitnessを向上させることに集中
2)ウェイトトレーニングでは体を守るために筋肥大からの体重増加を。
ウィング:チームで一番足が速い
試合中に必要な能力
1)最高速度の向上
2)何度もスプリントが出来る能力
→トレーニングでは?
1)スピードとアジリティと何度もスプリントが出来る能力向上を。
フルバック:総走行距離が他のポジションに比べて多い
試合中に必要な能力
1)ランニングフィットが高く、試合中にピッチのあらゆるところをカバー出来る
2)加速回数が多いため、腓返りが起こることない強い下半身
3)加速とスプリントが何度も出来る
→トレーニングでは?
1)全てのポジションと比べて、一番ランニングフィットネスを注力
以上がこの文献からフィジカル向上のためにこの文献が推奨していることをまとめです。
リンクも貼っておくので読みたい方は是非読んでいただきたい。
これからトップリーグを目指す高校・大学生や高校・大学・クラブチームの指導者の方によい情報であればと思っています。
以下ラグビー系のnote
参考文献
Yamamoto H, et al. BMJ Open Sp Ex Med 2020;6:e000659.