格闘技のプライミング・ストラテジー
どれぐらいの期間をかけて
目の前の試合に準備してきましたか?
3ヶ月?半年?一週間?
全文やり切りましたか?
試合が直前になれば
もう出来る事はない、
後は楽しむだけ、
そんな事考えてませんか?
試合開始の合図で
120%フルスロットルで
動ける体に仕上げるには
試合開始直前に
出来ることがあります。
というわけで、
今回は格闘技の
プライミングストラテジーを
紹介します!
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それではここからは無料のブログになります!
プライミングとは?
プライミングとは
ホルモン・プライミングのことです。
試合当日にウォーミングアップを
含めてテストステロンとコ
ルティゾールを中心に
ホルモンレベルを
最適化していくことです。
このホルモンの最適化により
パフォーマンスが最大化されます。
但しこの最適化の際に
特別な食事や薬物を
摂取する必要はありません。
プライミングはエクササイズや
映像、音楽などでやっていきます。
ここで疑問となるのが
果たしてやる意味があるのか?です。
答えは”今までの積み重ねがなければ意味がない”です。
試合当日のプライミングは
今までピークパフォーマンスを
出すために積み重ねてきたものが
確実に出せるようにするためのものです。
なので、どれだけプライミングを
やろうと積み重ねがなければ、
プライミングでの
パフォーマンス向上も
期待できません。
もちろんこういったことを
必要としない選手もいます。
Tim Ferris Podcastに出演した
WWEのTriple Hは過去に
Floyd Mayweather が
世界戦をする際の
ロッカールームに入った時に
ただただ寛ぎ、
歓談をしたと言っていました。
Triple H自身は気を使い
10-15分で済ますつもりだったらしく、
何度もロッカールーム去ろうとしたのですが、
Mayweatherは”やるべきことをやったんだから、
今ごろしのごの言ってももう遅い。
後はやるだけ。”といって
そのままずっとTriple Hと
会話を楽しんだと言っていました。
ウォーミングアップと何が違うの?
プライミングは
一日かけてやっていくため、
試合前に行うウォーミングアップは
プライミングの一部となります。
格闘技のプライミング・ストラテジー
では、本題の格闘技の
プライミング・ストラテジーです。
今回はS&Cとしての役割からです。
試合当日、S&Cコーチは基本的に
選手の側に要られません。
入れるのは基本的には
所属ジム関係者だと思います。
もちろん契約形態によっては
入れると思いますが、
やることは同じだと思います。
なので、今回は基本的に
自分が側にいられない際に
選手やコーチ陣にやってみるといい提案です。
1)温度の管理:
筋肉の体温が上がることで、
筋肉から生み出される
パワーが向上します。
Marshal PW el.,al は
10人のアマチュアサッカー選手の
2つのグループに分け、
ウォームアップ(FIFA11+)
前後での筋肉の温度を測定して、
アイソキネティックマシーンで
膝関節のトルク/回転力と
筋収縮率を調べました。
筋肉の温度が上がったままのグループは
回転力を向上することが出来ていた
報告が出ています。
ただ下がった項目も合ったみたいなので
ここに関しては注記しておきます。
日本でも筋肉を冷やしてはいけない
という迷信めいたことが
言われていますが、
正しいと考えられます。
なので、まず試合前に
体温を下げ過ぎない為に室温や
服を考える必要があります。
基本的に格闘技は室内競技で
エアコンがあるため冷房や暖
房もあり温度を調節しやすい
と思いますが、
何らかの形でウォームアップで
温めた体が冷えないようにする工夫は大事だ、
ということです。
またプロの場合は入場があり、
相手選手の入場を待つ時間が
長い可能性もありますし、
その際にも何か工夫が
必要になってくるかもしれません。
選手達にとっては
あっという間にコールされ、
試合開始のゴングになる感覚が
あるかもしれませんが、
なるべく体を冷やさない工夫を
することが大事です。
2)ポジティブな音楽・ビデオ・バーバルフィードバック
格闘技の試合の場合、
自分の番がいつ回ってくるか
予想できますが
基本的にはわからないため、
ポジティブな音楽、ビデオ、
そしてコーチ達からのポジティブな
声掛けはテストステロン向上に役立ちます。
出来れば試合に向けての準備期間に
少しずつプレイリストを作っていって
勝負音楽や勝負ビデオ
(自分のハイライトや他の選手たちの
ハイライトなど気分が
見て気分が上がるビデオ)
のリストを作成しておき、
試合3-40分前から使用していくといいでしょう。
3)ウォームアップ&スキル確認
いつウォームアップを始めるかは、
試合の順番によります。
だいたい45-60分ぐらい前から
徐々に初めていき、
ダイナミックストレッチやエクササイズ、
簡単なプライオメトリクスなど
ミットや実践的なテクニックを
始める前の10-15分を使って
フィジカル的なことをするといいと思います。
もちろんいつ始めるかなどは
コーチや選手たちの好みも
あるので2時間前や
3時間前から始めてもいいと思います。
4) PAP:Post- Activation Potentiation
PAPは80年代から
旧共産圏の国々で
オリンピックスポーツ中心に
使われ始めたテクニックです。
実際の試合の前に高重量や高強度の
ウェイトトレーニングや
プライオメトリクスをすることで
フィジカルパフォーマンスを
最大化する手法を用いて
東ドイツの陸上チームは、
特に投擲の選手たちが使い、
良い成績を残していたようです。
もちろん当時は
ドーピングの真っ盛りでしたが、
ここでそれには言及しません。
またドーピングへの処罰が厳しくなった今、
こういった小さなことで
パフォーマンスの最適化は
非常に大事になってくるでしょう。
ただし何度も言いますが、
試合当日までの積み上げが一番大事です。
又、やることが多くなりすぎるため
やらずに他にもっと集中できることを
やるという選択肢もありです。
さて、格闘技の場合は
リングやオクタゴン、
または畳など場所は
様々あると思いますが、
プロ・アマ問わず
試合開始まで少し時間があります。
なので、その少しの時間を
利用してプライオメトリクスを
してみるといいでしょう。
ここでのエクササイズはポゴジャンプを1-2x20、
レストを10-20秒にしてみてどうでしょうか?
自分がサポートする
第49&51代OPBFバンダム級王者の
栗原慶太も試合後に
前回の試合でやってみたと
言ってくれました。
どうやら自分が
ウェイトトレーニング中に
PAPの話をした時のことを
覚えていてくれたみたいで
10-20回ポゴジャンプを
試合前にしていたみたいです。
これがどれだけ役立ったかは
わかりませんが、
試合結果は3RでKO勝利、
第51代の王者に返り咲きました。
最後に
格闘技のプライミングストラテジー
いかがでしたでしょうか?
何度も言いますが
これは試合までに
積み上げてきたことの最適化です。
積み上げてきたものがない
選手が使っても仕方がありません。
なので積み上げてきた選手は
最後の総仕上げに計量後、
最後の24時間を
大事に過ごしてみてください。
以上!
参考文献:
Marshall, Paul WM, Rebecca Cross, and Ric Lovell. "Passive heating following the prematch warm‐up in soccer: examining the time‐course of changes in muscle temperature and contractile function." Physiological reports 3.12 (2015): e12635.
Mehta, Pranjal H., Amanda C. Jones, and Robert A. Josephs. "The social endocrinology of dominance: basal testosterone predicts cortisol changes and behavior following victory and defeat." Journal of personality and social psychology 94.6 (2008): 1078.
Bishop, Daniel T., Costas I. Karageorghis, and Georgios Loizou. "A grounded theory of young tennis players’ use of music to manipulate emotional state." Journal of Sport and Exercise Psychology 29.5 (2007): 584-607.
Cook, Christian J., and Blair T. Crewther. "The effects of different pre-game motivational interventions on athlete free hormonal state and subsequent performance in professional rugby union matches." Physiology & behavior 106.5 (2012): 683-688.
Jeffreys, Ian. "Warm up revisited–the ‘ramp’method of optimising performance preparation." UKSCA Journal 6 (2006): 15-19.
John, S., S. K. Verma, and G. L. Khanna. "The effect of music therapy on salivary cortisol as a reliable marker of pre competition stress in shooting performance." Journal of Exercise Science and Physiotherapy 6.2 (2012): 70-77.
Eliakim, Michal, et al. "Effect of motivational music on lactate levels during recovery from intense exercise." The Journal of Strength & Conditioning Research 26.1 (2012): 80-86.
Simpson, Stuart D., and Costas I. Karageorghis. "The effects of synchronous music on 400-m sprint performance." Journal of sports sciences 24.10 (2006): 1095-1102