人の気持ちは分からない

結局のところ僕たちは、自分以外の人のことを完全に理解することはできない。

自分がその人のことを理解していると思っても、それはエゴや傲慢であることが多く、本当に理解できていることはほとんどない。でも、理解しあえないという事実が土台にあるからこそ人間同士の関わり合いは尊いし、そこに信頼が生まれる余地があるのだと思います。

分かり合っているから信頼がうまれるのではなくて、分かり合えないから信頼が生まれる。お互いに理解しあえるのなら、そこに信頼なんてものはいらないんです。だってその人の考えや感じていることが分かるから。他人を信頼する必要性がない。

僕は、ふたりの人間がお互いを理解しようとする過程によって信頼が築かれるのではと思っています。だから他人のことを理解できなくていい。理解しようとして動くことが大切。他を理解しようとする行動にこそ意味があります。

人はお互いを理解できていないということに関しては、マルコム・グラッドウェル著の「トーキング・トゥ・ストレンジャーズ」で鋭く考察されていました。この本によると、裁判官、警察官、国際機関の諜報員ですら他人の感情や考えていることを読めないのだそう。僕たちは、他人のことを分かっていると思いこんでいるだけのことが多く、実際はほとんど理解できていないのだそう。

なので人間関係を築くためにはまず前提として、自分はこの人のことを完全に理解することはない、ということを把握している必要があるのかもしれません。

コーチをしていると、ついつい生徒のことを理解した気になってしまうことがあると思います。僕は現に、子どもの気持ちを理解するのが得意と言っているコーチに出会ったこともあります。でも僕たちは、自分が思っているほど他人について理解できていないのが事実。

これを理解しているかどうかで、人と人との関わりに対する考え方がまったく変わってくる気がします。

別に良し悪しではなくて。


コーチ研究倶楽部のポッドキャストも、よければ聴いてみて下さい。




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