父の本~著者と親しく語り合う~
こんにちは。算数・数学の講師でコーチのななみほです。
今回は、父が20年ほど前に出した本について書こうと思います。
父は学校の教員をしており、この本は定年退職前に出された本で、kindleではなく紙のものです。
この本は小学生向けに書かれていて、まえがきには『夏目漱石の「こころ」が明治時代の人々の心が書かれた本であれば、自分は昭和の子供の心を描きたい、そして今後、平成の子供たちの心を描く人が出てきたら嬉しい』ということが書かれていました。
私にとって父は、いつも本を読んでいる穏やかな人。
見方を変えれば何を考えているか分からない、感情的だった母を無視して責任放棄をしている冷たい人に思えたこともありました。
そんな父が「心」を描くということに小さな驚きがありました。
しかし、主人公が小学生から就職するまでを描いたこの本には、いつも心の葛藤が描かれていました。
母子家庭の葛藤、学校という集団の中での自分に対する葛藤、なぜ勉強をするのか、優しい先生でい続けるのはなんと難しいことか、葛藤と問いだらけでした。
そしてその葛藤を、様々な文学作品、音楽、哲学、数学に出会い、感動し、答えを見出していく様子が描かれていました。
怒り泣きながら眠る母にかまいもせず、日曜の朝ラジオでクラッシックを聞きながら本を読む父の姿に感じた、さみしさ、いら立ち。
でもこの本を読むと、そんな父の姿は、私たちの感情を無言で受け止める葛藤の姿に思えてきました。
アダルトチルドレンという言葉がありますが私も両親に対してその自覚はあり、いわゆる自分の『未完了リスト』に入っていました。
いつか父としっかり話がしたい、そう思っていましたが、今はこの本を読めたことで十分であったように思います。
父は私が見えていたよりはるかに感情的な人で、自分の感情を抑えることで家族のバランスを保っていたのかもしれない。
子供のころの私に、テレビよりも本を与え、クラシックを聞かせ、休日にはお寺に座禅につれていってくれたのも父からの最高の愛情であったことに気づきました。
あの頃はつまらなかったけれど。
私は今、ある方から音声配信でデカルトについて学んでいます。
デカルトは、
「良書を読むことはいずれの場合も、著者である過去の時代の一流の人々と親しく語り合うようなものだ」
「その会話は、著者の思想の最も良質なところだけを見せてくれる──それほど入念に準備されたものなのだ」と言っています。
私にとって父の本は「良書」。
そして、紙の本をめくりながら父の心に思いを馳せる時間は、小さいころ渇望した父との心の対話を実現できているような、貴重な時間でした。
自分の『夢リスト』にいつか紙の本を出すことが追加されました。
そして私は、音声配信のライブでこの本の感想を30日間話し続けました。
父にも聞いてもらい、父からの「あの章はね、、」とちょっとしたダメ出しを帯びたレスポンスもとても楽しく、この便利で新しいSNSにも感謝いたしました。
💡私のコーチング💡
人は感情で動くもの。感情は揺れるもの。
一緒にロジカルに揺れながら進みましょう。
★受験生のお子さんとの関わりに悩む
★ストレングスファインダーの資質ってどうみたらいいの?
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