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ICF Credentialing Examを受けて

ICF認定資格(ACC)に合格しました。
7月に音源の合格メールを受信してから1ヶ月。Credentialing Examは、これという対策情報が公式にはなく、webサイトやnote、YouTubeなどあちこち情報を見て、準備をしました。
今まで私が気づいていなかったICFの資料や動画、Examの変遷を知ることができる情報などを発見し、”試験勉強”と思っていた当初の心の重さより、実際にはずっと実のある体験となった個人的なまとめです。


ICF Credentialing Exam

現在のICF Credentialing Examは、ICF Credential (ACC, PCC, MCC)に対してすべて同じものです

・Examでカバーされる内容: ICF Core Competencies、ICF Code of Ethics、ICF’s Definition of Coaching
・スコア: 最高スコアは600点。460点以上が合格 (77%以上)
・形式: 合計78問。設問1つに対して、4つの選択肢からBest actionとWorst actionの2つを選択する
Exam Instructions: 4 minutes
Section 1 (39 items): 83 minutes
Scheduled Break: 10 minutes
Section 2 (39 items): 83 minutes
・言語: オリジナルは英語の試験ですが、日本語翻訳を見ることができるオプションを選ぶことが可能
・時間: 英語が第1言語の国で英語で受験する場合は180分。日本語翻訳を見ることができるオプションを選択すると30分延長され試験時間は210分、日本において英語(のみ)で受験する選択をした場合には60分延長され240分
・場所: オンライン、または、(運営を委託されているPearson VUE - CBT試験運営ベンダー - の) テストセンター
・合否: テストセンターで受けた場合には、テスト終了後すぐに、受付で合否が書かれた紙面が手渡されます

※2024年8月1日に、ICFからCredentialing Exam のアップデートに関するアナウンスがありました。変更内容は、主には問題数の微減 (81⇨78問)、休憩時間の延長(5分⇨10分)、といった内容で、1問にかけられる時間も変更なく、以前と大きな変更はない印象です。私はその新しい形式で受験しました

  • 実際の画面での操作を試してみることができるOnline Tutorialが、2024/8/20から提供されました (リンク先のページ下部の"Related links" から ”ICF Sample Exam / Tutorial” をクリック)。2024/8時点では英語のみ。実際のExamではどのように設問が表示され、Best action, Worst actionを選択するか、Sample questionで試してみることができます

  • 私は日本語翻訳を見ることができるオプションで受験しました。模擬試験を試してみて、シナリオが長く読解に時間がかかるので、少なくとも設問のシナリオは日本語で読んで理解できるようにしたいと感じました

  • 私はテストセンターで受験しました。受付対応は日本語でスムーズ。試験を受ける部屋に入室前に、すべての荷物をロッカーに預けるため、入室時は何も持っていくことはできません。時計も不可、3時間以上と長いですが飲み物も持って行くことはできません。体調万全にして行きましょう

  • テストセンターは、ICF Credentialing Examに限らず、コンピュータを使った他の様々な試験も対応しており、バラバラの時間に入退室する受験者、それに対応するスタッフがいるので、自分の試験中にも、多少の雑音があります

  • オンライン受験の場合、試験前の指示はすべて英語で、かなり厳しくデスク周りのセキュリティをリモートでもチェックされるらしいという情報を目にしますので、私はテストセンターに行くことができて良かったと感じました

準備期間に実施したこと

ICF Credentialing Examの試験対策は、これという対策情報が公式にはなく、これでいいのかな・・・と準備過程では不安になることも多かったです。
正解はないと思いますので、以下は私が試したことをご参考に紹介です。

(1) 各資料の読み込み

基本的なことですが、やはり、まずは資料を読むのですが、当初は読んでも何となく分かったような気にはなるものの・・・という感じ。
(2)以降の準備もしながら、あるいは、した上で、あらためて資料を読むことで、より具体をイメージし、理解を深めていきました

ICF Core Competencies (以下「コア・コンピテンシー」)
ICF Code of Ethics (以下「倫理規定」)
ICF PCC Marker
ICF Insights and Considerations for Ethics (ICE)
Ethics Q&A
ICF Sample question 
 
※英語の資料ばかりですが、ICF Japan Chapter のサイトで日本語版が共有されている資料もあります。
場所が分かりにくいPCCマーカーは、以下リンクを置きます
PCCマーカー日本語訳 (ファイル名に2024Mayと入っているものが最新)

  • 出題される設問のシナリオを考える上で、一番参考になるのは、やはりコア・コンピテンシー。英語で原文を頭に入れることで、シナリオを読んだ際に、何を意図しているのかを推察できるようになったと私は感じました

  • コア・コンピテンシーでは、helpやidentify、summarizeという動詞、suggestionやconcernという名詞が使われていることだったり、どのように使われているか、なども意識するようにしました

  • ICEやEthics Q&Aは、Examの準備をする中で初めて気づいた資料でしたが、具体的な状況や事例で説明されていて、コーチング契約やセッションを考える上でも参考になる情報でした

(2) Chat GPTとのやりとり

1人で準備している時間は、Chat GPTに、「この部分ってどういう意味?どういう場面を想定しているの?」など質問。英語の意味も含めて確認できる、個人的にはとても心強いツールでした

(3) 勉強会への参加

コンピテンシー勉強会やケーススタディ講座に参加しました。
題材はコア・コンピテンシーであったり、ICF Sample Questionであったりしましたが、例えば(Sample Questionの)answerを知っていたとしても、改めてディスカッションすることで、自分の視点とは異なる他者の視点を知り、該当する倫理規定やコア・コンピテンシーの項目を確認することで、腹落ちする良い機会になりました。
Examの準備は何かと不安になることも多かったので、同時期に受験する仲間がいたら、模擬試験のシナリオなども題材にディスカッションするなど、一緒に勉強していくのはとても良いと思います

(4) 模擬試験

無料のものは、まず最初のステップとして、Examのイメージを掴むという導入の意味で、役立つと思います。ただ実際のCredentialing Examよりも、設問文がシンプルで短いため、本番を想定した模擬試験とは考えない方が良いと私は感じました

SolutionsAcademyドイツの会社が作成した無料デモサイト。約50問

Ignite International Co, Ltd150ドルで30日間何度でも試すことができるオンライン試験。約80問。 正解・不正解は分かるものの、解説はない

ExpertCoach.Co問題数による金額設定。申し込むとPDFがダウンロードでき、PDFの1ページずつに、設問と回答・解説が表示される。設問と回答・解説の間に一定のスペースがあるので、ページを下まで全部表示せずに、設問部分を表示して回答を考え、スクロールして回答・解説を見る

(5) 動画視聴

以下のうち、コア・コンピテンシーや倫理規定の解説動画は、Credentialing Examの対策として作成されたものではないです。
ただ、コア・コンピテンシーを読んだだけではつかめない、具体的な状況や場面を説明してくれていたり、コア・コンピテンシー各項目をマスターしている人とそうでない人の違い、ACC/PCC/MCCによってコア・コンピテンシーの体現がどう異なるかについて説明していたりして単純に興味深いですし、コア・コンピテンシーや倫理規定が生きたガイドラインとして自分の身近な存在になることに私は役立ちました

SolutionsAcademyによる ICF Sample question解説
 
コーチLyssadeHartさんのICF Credentialing Examに関する情報
 ACCAT という略語を使って説明

ICFによる Core Competencies解説

SolutionsAcademyによるICF Core Competencies解説 

ICFによるCode of Ethics解説
 動画の中で何度か出てくる”Interpretive Statements”は現在は、ICF Insights and Considerations for Ethics (ICE)に置き換わっています

GCS ICFウェブ試験対策座談会 

※動画も英語がほとんどですが、Youtubeは私は字幕をつけて視聴したりしました。また、ここで紹介したいくつか動画について、日本語訳を公開しているコーチのタクさん (神✨) に了承いただき、noteへのリンクを貼ります。

準備期間とExamを受けての感想

・Worst actionの選択

準備を始めた頃は、コア・コンピテンシーも明確には自分のものにはなっていなかったので、最初に試した無料の模擬試験では、私はBest actionの回答も結構間違えていました。
その後、コア・コンピテンシーの理解が進むにつれて、Worst actionの選択肢を間違えることが多いという、良く言われるような状況になりました。
ただ当初は、模擬試験でも合格ギリギリのスコアで、間違いにモヤモヤしたり、自信をなくしそうになることも多くありました。

そして、準備を進める中で、自分が柔軟に考えすぎているという傾向に気づきました。
設問文のシナリオで表現できることには限界があり、書かれていない状況を想像したり、慮ったりしていると、間違った回答を選びやすい。
コーチングプロセスにおいてどの段階なのか、どのような場面なのかを理解することは必要ですが、設問文に書いてある以上を勝手に推察することはせず、シナリオに書かれていることをベースに、それがコア・コンピテンシーや倫理規定から見てどうか、で選択するのが賢明と感じました。
結果的にコア・コンピテンシーは英語の原文を何も見ずにタイプできるようになりましたが、そうなる頃には、設問文や回答の選択肢に書かれている内容が、コア・コンピテンシーのどこに関係しているのかがおおよそ推察できることも多くなり、Worst actionの回答もしやすくなりました。

・Exam時間

模擬試験ではほぼ間違いがない状態になって、Credentialing Examを受験しましたが、実際に合格した際は、合格スコアのギリギリくらいでした。
実際のExamの設問は、なかなかに悩むようなシナリオが多かったですし、Examの時間は3時間 (言語の選択によってプラスアルファの延長あり) と長いようですが、1問あたり(Best actionとWorst actionを選択するのに)かけられる時間は2分程度。
時間的プレッシャーもあり、集中力を維持する必要がある中で、長い設問文を読むだけでもある程度の時間がかかり、余裕はない状況でした。
また、Examでは、設問ごとに、後で見直す、というチェックをつけることはできるようになっています。私は前半、後半それぞれ設問3つくらいにチェックをつけていましたが、実際には、全部を見直す前に、試験時間終了になってしまいました。
長時間だと最後の方に私は力尽きそうになることがあるので、「最後まで集中、集中」と心で自分に声かけしながら、試験を進めました。

・日本語翻訳

Examは、日本語翻訳を見ることができるオプションを選んで受験しましたが、主には私は英語で回答をしていきました。
日本語翻訳は、ざっと設問文を理解したり、分からない英単語が出てきた際に意味を理解するのに役立ちますが、完璧な翻訳ではないため、細かいニュアンスを理解するのには、特に、回答の選択肢については英語を見た方が私は回答しやすかったです。
また、模擬試験は英語のため、そのイメージで進めることに慣れていたということもあります。

・Examを受けて

準備をするプロセスを経て、倫理規定やコア・コンピテンシーについて理解を深めることで、コーチングセッションにも活かせる、たくさんの知見を得ることができた貴重な機会で、このタイミングで学ぶことは、私にとっては有意義でした。
合格したとは言え、せっかく身近になったコア・コンピテンシーや倫理規定が離れないよう、そして、さらに理解を深めて実践していけるよう、ここからもずっと学びは続くんだと改めて感じました。

Exam受験前後の手続き

ICFに提出した音源が合格すると、「Ready for ICF Credentialing Exam」というタイトルのメールがICFから届きます。ICFからのメールは英語です

  • このメールを受信してから60日以内にCredentialing Examの予約をする必要があります

  • メールにあるリンクをクリックすることで、予約するWeb Siteにアクセスできます。予約する際、受験する言語を選択します。選択言語により、テスト時間は自動的に変更されます

  • Examを予約した後も、2日前までであれば、日程も言語の選択も柔軟に変更可能です

  • テストセンターでCredentialing Examに合格した後、すぐにICFからメール (タイトル: You just earned a badge from ICF Credentials and Standards)が届き、”Congratulations!”と本文に書かれていました

最後に・・・

現在のICF Credentialing Examは、状況判断の設問 (situational judgement question) を使っていますが、2024年1-2月には、”ACC Pilot Exam”として、知識を問う設問 (knowledge-based question)を使ったExamのパイロットが行われていたことに、海外のYouTube を見ていて気づきました。(すでにこのパイロットは終了しています)
現状は、ACC,PCC,MCCのいずれのCredentialに対しても同じExamですが、将来的には、ACC向けのCredentialing Examが変更になる可能性もあるのかもしれません。受験される際は、最新情報をICFのWebサイトなどで必ずご確認ください。


これからICF Credentialing Examを受験される皆さんを、応援しています!


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