ICF Credential 申請のまとめ
ICF認定資格 (ACC) 申請までの、個人的経験のまとめです。
申請方法 (パス)
申請する際、3つのパス (Path)があります。
大手のコーチングスクールで学ばれる場合には、①のパスで申請できるコースが用意されていることが多いと思います。
①Level 1 / Level 2 / ACTP Path
②ACSTH Path
③Portfolio Path
私は、②ACSTH Pathで申請しました。
7年ほど前に最初にcoachingを学んだ際は、大手コーチングスクールで60時間以上の教育は受けていたものの、最後まで修了できずに中途半端になっていました。
心残りになっていたので、自分の中で完了にするべく、その60時間の教育経験を使って、ICFに直接申請しました。
ご参考: それぞれのPathに関係するICFの説明
ICF Credential ACC取得に必要な要件
A. 60時間以上のコーチング教育
B. 100時間以上のコーチング経験
C. 10時間のメンターコーチング
D. パフォーマンス評価(コーチング音源)の合格
E. 認定資格試験 (Credentialing Exam) の合格
ICF ACC Credential
ICF Japan Chapter アソシエイト・サーティファイド・コーチ
どの申請パスでも、上述のA〜Eまで完了する必要はありますが、①の申請ではA〜Dまでコーチングスクールが窓口となり担当します。
このため、①での申請と、②及び③申請で、大きな違いとなるのは、申請時間と、パフォーマンス評価 (コーチング音源) の文字起こしの言語です。
申請時間
ICF HPには、予想される申請期間として①は4週間、②及び③は14週間と書かれています。
実際の私のケースでは、②ACSTH Pathで、以下のような時間軸で申請は進みました。ケースによって(特にパフォーマンス評価の)期間は異なるようですので、あくまでも参考情報として扱ってください。
6月4日:ICF HPより申請。申請画面は全て英語となります。ステップ・バイ・ステップになっており、ICF HPには、申請画面の説明PDFも提供されています
7月7日 :ICFより”Update on your ACC ACSTH App”というタイトルのメールが届き、「あなたが提出した音源を担当する評価者が、アサインされれました」という短いメッセージが書かれていました
7月17日:ICFより2通のメールが届きました。”Update on your ACC ACSTH App”というタイトルのメールでは、「あなたの提出した音源について、評価の結果が出ました。HPにアクセスして確認してください」。
同時にReady for ICF Credentialing Exam”というタイトルのメールが届き、最後の認定資格試験 (Credentialing Exam)のステップへ進みました。
14週間ということで、音源評価の結果が出るのに時間がかかるだろうと想像して、私はのんびりしていたのですが、予想より早く結果が出たため、ここから慌ててCredentialing Examの準備を始める、ということになりました。ここから先は、Credentialing Examをいつ受けるか、いつ合格するか次第となりますが、私は8月に合格しましたので、結果的には10週間程度で、全てのプロセスが終了しました。
パフォーマンス評価の文字起こしの言語
音源のファイルに加えて、コーチング音源を全て文字起こししたWordファイルも提出が必要です。①のパスで申請する場合、日本のコーチングスクール内でパフォーマンス評価されるため、日本語の文字起こしのみでOKです。
②及び③のパスで申請する場合には、ICFで評価されるため、日本語と英語の2種類の文字起こしが必要となります。
申請準備
②ACSTH Pathで、ICFに申請する際に準備した内容です。
A. 60時間以上のコーチング教育
60時間以上の教育を修了している旨の履修証明書をコーチングスクールから出してもらい、PDFで準備します。
私は、最初のコーチングスクールにてメンバー登録をずっと更新していたため、ACSTH Pathで申請したい旨をメールでリクエストしたところ、すぐにPDFを送ってもらうことができました。
B. 100時間以上のコーチング経験
私は念のために、こちらのページの1番下にリンクが貼られているICF Client Coaching Log Template (.xlsx)に、申請時点の経験をもとにデータを入力して準備しておきました。
ICFのCredential申請フォーム上は、100時間以上経験しました、というチェックボックスをオンにするだけです。申請時にログの提出を求められることはなく、私はその後も提出を求められることはなかったです。
ただ、ICF HPには、コーチング経験について定期的に監査をしており、監査に選ばれたコーチは、クライアントの連絡先情報などの提出が求められるようですので、コーチング経験の管理は適切に必要ですね。
C. 10時間のメンターコーチング
申請フォーム上は、メンターコーチの名前や、email addressの登録を求められます。
ICFに申請すると同時に、ICFからメンターコーチに直接メールが送られ、メンターコーチング実施の確認が行われます。
10時間のメンターコーチングは、3ヶ月以上の期間をかけて行われること、とされています。
提出する音源を録音する前後は、私はメンターに様々相談したいことも出てきたので、そのタイミングにメンターコーチングを実施できるようにしておくことをおすすめします。
D. パフォーマンス評価のためのコーチング音源と文字起こし
コーチング音源は20-60分以内のもの、ファイル形式はMP3, WMA, MP4 またはM4A (オーディオ) と規定されており、私は約35分の、Zoomで録音したM4Aを準備しました。
なお、音源提出においては、録音したセッションのクライアントに、事前に書面で了承をもらうこと、とされています。
文字起こしですは地味に大変です。
皆さん、日々コーチングスキル向上のため、いろんなツールを駆使しされていると思います。
必ずWordファイルで提出が必要と規定されており、私はICF HPに準備されているサンプルファイルを利用して、日英ともに準備しました。
文字起こしをする過程で、コーチとしてのあいづち、本当に短い「うん」みたいなのも全部文字起こしするのか何度も心配になりましたが、、、本当に全部文字起こししました。結果、合格していましたので、それで問題ないようです。
また、文字起こししたファイルを一見すると、クライアントの言葉と、コーチとしての私のあいづちが、ほとんど間隔がなく記述されています。
クライアントの言葉を遮ってコーチが話しているように受け取られないかと、ちょっとだけ心配になりましたが、音源自体も提出しているので、それを聞けばそうではないことは理解されるのだろう、と考えました。
英語の文字起こしは、私は自分で準備しました。英訳した上で、それを、逆にもう一度日本語にしてみたりして、ニュアンスが伝わるかなど、チェックしました。何度も音源を聞きながらチェックしていくことになるため、集中力も要りますし、聞けば聞くほど、あぁもっとこういう風に質問した方が良かった・・・と気になったりしましたが、ここはもう自分を信じて進めていきます。
―ここまでの準備ができた段階で、ICF HPから申請をしました。
コーチング経験
ACCに必要な100時間の経験は、スタートしたばかりのコーチとしては、簡単ではないなと思っていました。75時間は有償セッション、25時間は無償でもOKとされています。
私の前職は、報酬が発生する副業は全くできない環境だったため、有償セッションはできず、主には退職してから経験を積み始めました。
このプロセスを通して、コーチとしてのスキル、自信を獲得していくことと、顧客ベースも構築していきたいと考えていました。
個人クライアント:
当初は、自分のネットワークを活用し、友人知人に個別に連絡を取り、サンプルセッション (無料) を実施しました。SNSで告知する勇気は私にはなかったので・・・個別連絡でした。
さいわいサンプルセッションを受けてから、継続して受けたいと言ってくれた数名に、最初は本当に少額でも有償としてクライアントセッションをスタートしました。
その後、クライアントが、その家族や友人を紹介してくれたりして、少しずつ有償セッションが増えていきました
法人クライアント:
1 on 1を提供する、とあるコミュニティの勉強会で4回のセッション(無償)をした方から、その方の組織の管理職のコーチングをして欲しい、とオファーをいただきました。
セッションしている時は知らなかったのですが、実は法人の理事長をされている方で、有償セッションの経験を積みたいというタイミングだった私にとっては、セッションの最終回で思いがけずオファーをいただき、本当に渡りに船という感じで、嬉しかったのを覚えています(涙)
そこから法人(スポンサー)と契約をして、定期的にクライアントの方がアサインされることになり、クライアントコーチングを提供するリズムができました。
ネットワークやコミュニティは大事ですね。
社内コーチング:
同じ組織内で、雇用の一環として提供されるコーチングも、有償としてカウントできます。ただし、直属の部下 (コーチが直属の上司である従業員) とのコーチングは、コーチング時間としてカウントできません。私は前職で、少ないですが継続セッションを他部署の人にしていた経験があり、その経験時間数も含めました。
Peer-to-Peer Coaching:その他に、相互セッションする場合も、以下ICF HPにある定義の通り可能です
セッション内容
提出する音源を準備する中で、練習として、私が効果的だと思ったのは、コーチ仲間が行っていた勉強会です。
6分間のセッションを行い、その中に、PCC Markerの中で意識したい項目1つを入れていく、というものです。
たとえば、"6.3 コーチはクライアントの感情について問いかけたり探索したりしている。" を意識してやってみようと決め、練習してみる、というような感じ。
それまであまり意識していなかったPCC Markerをきちんと見ることで、セッションで実施すべき内容が明確になり、
短時間のセッションなので、意識する項目は1つだけとすることで、フォーカスすべきことが明確で実施しやすく、そして受けるフィードバックも分かりやすいと感じました。
ACCの音源について評価者が何をチェックしているか、は以下のHPに記述されています。
ICF - Minimum Skills Requirements
あくまでも、コアコンピテンシーをベースに書かれています。
ただ、PCC Markerは、コーチングの会話の中で、コアコンピテンシーがどの程度表現されているか判断するために、評価者が指標としているもの。
PCC Markerは、コーチとして実践すべきことも、わかりやすく表現されていると感じます。
ICF PCC Marker
PCCマーカー日本語訳
提出する音源を準備する中では、PCC Markerを意識して練習することと、そして、信頼できるメンターコーチの存在が、私はとても心強かったです。
これからICF Credentialを目指す方を、応援しています!