セルフ・キャリアドックが個と組織を対等に結びつけるか。win-winを考える。
キャリアという言葉は「職業」をほとんど意味しません。
キャリアというのは,人生のプロセスであって,生涯の生き方そのものです。したがって僕らが学んでいるキャリアカウンセリングと言えば,どうやら「職業指導」とか「職業選択の補助」のようなイメージをもたれてしまっていますが,その社会的役割は実はそれほど単純な話ではないのです。
キャリアコンサルタントがコンサルタントたる所以は,果たしてカウンセリングに徹することなくキャリアガイダンスと称した職業指導や助言・提案を含んでいるからなのでしょうか。
キャリアカウンセリングは前述した内容に照らせば,生涯の生き方をともに考えていく支援なのですから,もっと広範囲というか,職業指導に必ずしも力点がおかれていないと思うのです。
一方で,僕がかつて働いていたところのように,伝統と格式で創られている組織では,個人の生涯あるいは個人のキャリアに焦点があたることはほとんどなく,個は全に埋もれてしまうことは少なくありませんでした。
ボラティリティが高く不安定な次の30年では,スピード感と自由と多様性を持つ「個」こそが輝く時代です。伝統と格式はとても大切なものですが,組織の形態は現状を保つことは難しいでしょうから,伝統と格式はその価値を保ちつつも,実態を形成する組織は少しずつカタチを変えながら,次に安定するカタチを模索していくのだろうと想像します。
しかし,おそらく個が組織を形成する新しい形態が認知されれば,カタチを持つことは難しいのではないだろうか,なんてことを思います。不安定さや複雑さにスピーディに対応するためには,カタチなんてない方が良いからです。
カタチがあって,カタチを保つことに焦点があたれば問題の本質よりもカタチを保つことに目的がすり替わってしまう,とりわけ伝統と格式はそういうことを肯定するでしょう。
臨機応変さや柔軟さが生命線となる社会では,オールドパラダイムを持ったままの組織はますます従業員たる個を呑み込もうとするかもしれません。自組織のカタチを変えることに抵抗するなら,新しい要因を取り込まずに閉鎖する方がカンタンです。
もしもあなたの組織において,優秀な人材の離職がすすんでいるなと感じることがあれば,その組織はもしかしたらオールドパラダイムを維持しようとするがゆえに,時代の速度において行かれていることが理由なのかもしれません。
すると個はどう適応すれば良いのでしょうか。
と言えば,自ずと「キャリアデザイン」に目がいくのではないかと思うのです。
組織にカタチらしいカタチがなくなれば,個と組織は対等にWin-Winを目指しやすくなります。組織のために身を粉にして働く個人は,どうしても組織に呑み込まれやすくなってしまいますから,それでは個は身も心も削られていく一方ではないですか。もうそういうのはやめた方がいいです。
一心不乱にがんばっている自分に満足することもひとつの幸せでしょうけれど,それに組織があぐらをかくようなら,直ちに変化しなくてはなりません。
そのために僕たちは自分自身のキャリア形成についてもう少し注意を払う必要があります。同時に,すぐれた組織のリーダーは組織の理念やビジョンをふまえたキャリア形成の場(=「セルフ・キャリアドック」)を従業員のために創り,先述したWin-Winを具現化することがひいては組織の発展を促すことに気が付くと思います。
僕たちは自身のキャリア形成をもっと主体的に考えなくてはいけません。
個が輝くためには,少なくとも自分自身にしっかりと目を届かせて,その先に何があるのか?自身のゴールはどこに置くのか?どこを目指したいと考えているのか?そして,そのためには今の自分に足りないものが何で,どうすればそれを強化,補完できるのか?ということを計画的にじっくりと考える必要があるのではないかと思うのです。
キャリアコンサルティングに求められているのは,まさにその支援と促進でしょう。
人材育成が今後も企業の発展を支える最も大切な要因のひとつであることにかわりはありません。個人の成長が,企業の成長と直接リンクする次の30年間のために従業員のキャリア意識を育て,主体的なキャリア形成を促進する仕組みが必要です。
キャリアコンサルタントは,その制度「セルフ・キャリアドック」の設計から相談にのることができます。セルフ・キャリアドックの導入,あるいは効果的な仕組み作りを考えていきたいですね。
キャリアコンサルティング導入のご相談
キャリアコンサルティングやキャリア研修の仕組みを導入したいという個人様,法人様のご相談を承っております。お気軽にご相談ください。
キャリアデザイン事務所 MR.ART
所長 手島稜二
/キャリアコンサルタント(国家資格),7つの習慣SelfCoaching認定コーチ
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