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『すずりを洗った話』 ~調べてもわからなかった硯の洗い方~

はじめに

 私は最近、通信教育で書道を始めました。書道の世界については分からないことも多くて、色々とネットで調べながら試しています。
 始めるときに、まずは道具選びと、道具の扱い方について確認しようと思いました。書道の道具には「筆(ふで)」「墨(すみ)」「硯(すずり)」「紙(かみ)」と、その他の小道具があります。扱い方というのは、たとえば「筆は使った後どう洗えばいいのか」とか「固形墨はどう磨るのか」といったことを調べて試行錯誤しています。

すずりを買った

 私はその中でもとくに「硯(すずり)」に注目しました。硯は固形墨を磨って墨の液を作る道具で、おもに墨汁(液体の墨がボトルに入っているもの)を使う小学校の書き方の授業では手軽なプラスチック製のものが多く使われていますが、今回、私が書道を始めるにあたっては(書道というものに対するイメージもあって)「ぜひ固形墨を磨りたい」と思ったので、天然石の重くて固い硯を購入しました。

おそるおそる使ってみる

 いざ、手元に硯が到着すると気持ちが引き締まります。「これを使って書を書くのだ」という雰囲気が充満しています。なんとかして正しい扱い方を身につけなければと、意気込みました。
 硯の平らな部分に少しだけ水を垂らし、墨を磨り、水が黒くなってきたらへこみに流し込む。また水を少し垂らし、墨を磨り…とくり返し、必要な量の墨の液を作って、最初の練習の準備ができました。適当な半紙に試し書き程度の練習をして、「毛筆って思うように毛先が動いてくれないんだな」と実感しました。

後片付けが大事だが…

 ……練習が終わり、ここで硯を洗うことにしました。小学校ではあまり教えてくれませんが、石の硯は使うたびに水で洗うことになっています。ただ、洗い方がよくわからない。
 とりあえず洗面所に行き、洗面台の陶器のボウルの中に硯を置いて水を流しました。真っ黒な水が硯からあふれます。食器用のネットスポンジでこすり、丁寧に洗い、水ですすいで、雑巾にくるんで一件落着…と思い、ふと見たら硯の角に白い粉が付着していることに気づきました。
 「ひょっとして大事な硯が傷ついたのか」と思い、しばらく動揺しましたが、よく見ると洗面所の陶器のボウルのほうが傷ついていました。呆然としながら、天然石の硯と洗面台の陶器はどちらが硬いのかネットで調べたところ、硯に含まれる石英のほうが、衛生陶器の素材よりも硬いらしいことが判明。
 硯は洗面台のボウルに直接押し付けてはいけなかったんですね。

まとめ

 ネットには硯の洗い方を解説するブログはいくつもありますが、洗面台を傷つけるおそれについては書かれていなかったので、盲点でした。さっそく100均のお店に行ってプラスチックの洗い桶を買ってきました。
 書道についてはまだまだ探り探りですが、硯を洗う時には大事な洗面台が傷つかないように気を付けようと思いました。

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