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「保育園の連絡帳もメディアのひとつ」 保育を学ぶ白梅学園大学でコマロンの授業①

昨年、コマロンにご協力いただいている白梅学園大学(東京都小平市)での田中真衣先生の授業(地域福祉)で、ゲストスピーカーとして講義をさせていただきました。白梅学園大学では、保育士・幼稚園の先生や小中学校、特別支援学校の教員などを目指す学生さんが多く学んでいます。今回から5回にわたり、授業後に学生さんに書いていただいた感想文を織り交ぜつつ、授業から見えてきたことをお伝えします。

授業の中で、新聞記者である私(コマロン編集長)がインタビューする際に心がけていることなどをお話しいたしましたが・・・

学生さんから「インタビューの心構えは、保育者が子どもと関わるときの心構えに似ている」という鋭い感想が届きました。

記者(山内)がインタビューをするときの心構えとして紹介されていた

❶相手の話の流れをじゃましすぎない
❷こちらがしゃべりすぎない
❸質問を掘り下げる   

というのは、保育者が子どもと関わるときの心構えに似ていると感じた。

❶は、子どもの興味、関心の流れをじゃましない
❷は、保育者が支援しすぎない
❸は、子どもの興味関心を掘り下げた保育の展開


になる。特に、❷はインタビューであれば取材相手、保育者であれば子どもがそれぞれの主体であるため、大切な心構えだと思う。インタビューで記者がしゃべりすぎると、正確で客観性のある記事ができないし、保育園において保育者が支援をしすぎると、子どもが主体性を失い、個人としての力も引き出せないと思う。なんとなく似ているなと感じました。

また、1年ほど前、コマロンをはじめるときに書いたこちらの記事についても、話しました。

ここでも触れたのですが、転勤族でママ友が極端に少なかった私(コマロン編集長)は、各地で出会った園の先生が書いて下さった連絡帳やおたよりの文章が、心の大きな支えとなりました。先生方の文章が生々しく、子どもが園で過ごした様子、小さな変化が、手に取るように分かったからです。我が子との関わり方、声のかけ方なども勉強にもなりました。そして、気付きました。

「保育園の連絡帳やおたよりは、身近なメディアなんだ」と。

授業では、園の先生方がつづる言葉の素敵さ、細やかさについても、熱弁してみたりもしました・・・(山内の分析込み)。

私は、コマロンを始める前に、保育を専門的に学ぶことができる白梅学園大学子ども学研究所に、コマロンとの連携をご相談しました。学生さんや先生方のお力をお借りして、「保育の専門性や、日本社会に足りない『子どもの育ちへの優しく・細やかなまなざし』を、コマロンを通じて伝えたい」と思ったからです。

関連する、学生さんの感想をご紹介します。

子どもの小さな成長に立ち会うと言うことは、常に子どもと向き合い、一人一人を個人として理解する必要があると思います。「子どもの気持ちを知る最も直接的な手段は言葉である」と考えていたころに、ある授業を受け、印象的だったので紹介します。

授業のはじめに先生が、「言葉とは何だと思いますか?」と聞きました。私は、「子どもが発する声や文字なのではないか」とかんがえました。この問いの答えとして先生は「言葉とは、子どもの行動、言動、反応、目線などさまざまで、声に出した表現のみが言葉ではないんだよ」と言いました。私はこれを聞いて「確かに!」と気付かされました。私は保育士を目指しています。子どもが全身で常に表現していることを読み取るように努力していきたいです。

大学では、このような授業もあるのですね。勉強になります。

卒業して、幼稚園の先生になったときに文章を書く際、少しでも預けている間の子どもの様子が保護者の方へ伝わるようにしたいです。連絡帳での保護者の人との会話で保護者の方が明るい気持ちになれると聞き、私もそのような先生になりたいと思いました。
また、幼稚園の先生は、保護者の方の困っていることを聞いたりするため、インタビュアーが意識することはとても役立つと思いました。言いづらいことでも保護者の方が言いやすい雰囲気にしたいと思いました。

園の先生方が書いて下さる文章などもまた、大切な子育て支援の一つなのだなと改めて感じています。

また、コマロンは、「当事者が発信する」ということを大切にしてきました。コマロンの書き手は、「くらしの当事者」。広い意味では、親も、保育園の先生も、すべての人が「くらしの当事者」です。コマロンでは、親である私(コマロン編集長)一人では伝えきれないことも、皆さんと一緒に言葉を重ねていくことで、じわじわと、共通言語が育まれているように感じています。

学生さんたちが社会に出たときにも、さらに「当事者が発信する」機会があると思います。企業や団体に就職したら、そこでのありようを自ら言語化して発信する機会もあるでしょう。幼稚園や保育園に就職したら、「園だより」を書く機会もあります。そのことについても、学生さんから感想が届きました。

コマロンを立ち上げた山内さんのお話を聞き、「子育て中の家庭に寄りそう」ということについて、改めて考えることができた。「日常」の言葉を発信することで、子育て中の家族の不安をあおるのではなく、背中を押すような、寄りそうような、本当の意味での情報を伝えることができることにつながると感じた。

今後、文章を人に届ける機会が何度もあると思う。そのときは、今回のお話から学んだ文章の書き方などを参考にしながら、「実感」を伝えられるように意識していきたい。

うれしいし、心強い! 私は新聞記者で、学生の皆さんが目指す職業(保育士、教員など・・・)とは違いますが「同士だ!」と勝手に思ってしまいました。

白梅学園大学で学んだみなさんが、日本のあちこちで、「困った」と言えない、言葉にならない気持ちを抱えている誰かに優しく、深く寄りそう。その重なりが、日本を少しずつ、変えていくかもしれません。

なお、学生の皆さんは、この授業で文章をまとめるコツなどを学んだ後、(大学のある小平市の)「子どもの居場所マップ」の制作に取り組まれたようです。

次回は、学生のみなさんの思い・・・保育を学ぶ白梅学園大学へなぜ入学したのか? どんな仕事につきたい? について、掘り下げていきたいと思います。

【まとめ】山内真弓。小学生と保育園児の母。元転勤族で、茨城、仙台、千葉、東京で子育て。コマロンをはじめた毎日新聞記者です。

※学生さんの感想は許可いただいて掲載しています

【制作した小平市・子どもの居場所マップ写真集】