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2024年12月20日:安平町の皆さんに向けた自己紹介(前編)

やまだしょうです。
現在北海道安平町にある早来役場の教育委員会で働いています。地域プロジェクトマネージャーという役職で、総務省のプログラムを使って移住してきました。

2024年12月11日(水)追分公民館で、12日(木)まなびおで、教育タウンミーティングというイベントを企画して実施したのですが、その時に「安平町の皆さんに自分のことを伝える記事が必要だなぁ」と思い立ちnoteに記すことにしました。

▼安平町に来るまでの経歴が、ずらーっと載っている記事はこちら▼

安平町での生活

2024年9月末に安平町に引っ越し、10月1日から早来役場での勤務をスタートしました。現在、2人の息子ははやきた子ども園に通い、妻も11月から地元のデイサービスセンターで働き始めています。生活に必要なものがすべてコンパクトにそろった町で、とても気に入っています。

以前住んでいたベトナム・ハノイでは、「街にある文字が読めないことで情報のノイズが少なく、頭が楽」という独特の感覚を経験しました。それと似た静かさや心地よさを、安平町でも感じています。買い物や外食、子どもの保育園など、選択肢が限られているおかげで生活がシンプル。こうした誘惑の少なさが、私たち家族にはとても合っています。

最近では地元の方々に飲み会へ誘っていただく機会も増え、忘年会・新年会のシーズンも楽しんでいます。こうしたリアルなコミュニケーションの温かさを日々感じています。

安平町での仕事(教育)

元々ずっと学校教育に関係した仕事をしてきました。特に小学校分野での仕事が長いです。安平町は「日本一の公教育を目指す町」であり「こどもにやさしいまちづくりプロジェクト」を推進している町です。この理念とコンセプトに共感してこの町に来ました。

ここの共感の根っこの部分に、どうやら自分のライフステージの変化がありそうです。妻がベトナム人、2歳と6歳の息子がいる中で、自分の今の生活をどのように作っていくのだろうかということは、とても大切な関心事でした。上記の生活で書いたように、安平町は子育てをコンパクトに行うのにぴったりの町です。

少し自分の現在の教育観にふれていきます。
私は37歳、昭和62年生まれなのですが、同年の出生数は135万人でした。
私の父は、昭和33年生まれで165万人。
母は、昭和36年生まれで158万人です。

このスケール感で考えたとき、私たちは「競争」の原理の中でずっと生きてきたように思います。最終的に競争に勝ち、何かしらの恩恵を受けるために、今我慢をすれば、未来の価値をつかむことができるということを皆が信じて生きていました。そして、実際そうなってきました。人口増加局面かつ工業化社会では、その幸せの定義がかなり再現性の高いものでした。

その一方で。

私の息子は平成30年生まれと、令和4年生まれです。
平成30年は91万人
令和4年は77万人
令和6年に生まれた子どもは、ついに70万人を切る見込みです。

経済産業省:未来人材ビジョンより

私の子どもたちは、私の半分くらいしか同世代がいない社会の中で、生きていくことになります。このスケールチェンジが起こる世の中で、いったい私の子ども世代は誰と競争をするのでしょうか?海外でしょうか?その競争は成立するものでしょうか?あるいは、意味のあるものでしょうか?というのがまず私の教育観の底の部分に漂っています。
工業化社会から、情報化社会に変化し、私たちが当たり前だと信じてきた幸せへの道筋が、もはや当たり前ではなくなりつつあります。

この強烈な、そしてもはや避けられようのない変化が確実に起こるときに、私たち親世代は、私たちが信じて疑ってこなかった価値観を、そのまま次の世代に伝えていてはいけないと強く思っています。これは、学んだことを捨てるという意味で「アンラーン(unlearn)」といいます。実は、0から新しいことを学ぶよりも、既にあるものを一旦捨てるほうが難しいです。私たち大人はこの課題を今抱えています。

例えば令和4年に経済産業省から出されている「未来人材ビジョン」というデータにはこれから重視される力が変化していくことを以下のように示しています。

経済産業省:未来人材ビジョンより

左側は、競争に勝つためのスキルが並び、右側には新しいコトを起こすためのスキルが並んでいます。競うためのルールが整備されて「さぁ競争だ!」と言っている間に、次のコトはどんどん生まれていくようなそんなイメージの世界感です。私たちの子どもたちは、この世界を生きていきます。

視点を安平町に移したときに、安平町はこの「アンラーン(unlearn)」を町として行おうとしていました。地震というピンチを発端にし、学校というものを問い直し、早来学園というコンセプトを打ち出し、それを実現させていました。

民間企業が教育に入ることが難しい行政が多い中で、軽やかに民間企業とも手を取り合い、足りないリソースを委託している姿も印象的でした。人口減少という日本全体の課題が、ダイレクトに影響している人口7000人ほどの町は、すでにあらゆる分野で人手不足です。次に向かわなければ町がなくなってしまうという危機感の共有がなされ、「アンラーン(unlearn)」の素地は整っていました。初めて安平町を知ったとき、大変驚くとともに、素晴らしいと感動しました。

ここに、自分も参加したいという気持ちになりました。長くなったので一旦ここまで。

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▼ 安平町の教育についてまとめているマガジン ▼


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