砂嵐

ため息しか出ない。

ため息しか出ないんだもん。

右手を伸ばしてリモコンを手にしたら、四角いマークの部分を押して
砂嵐の画面をただ見ていた。

でもしっかりまぶたの裏に焼き付いてる。
残像ってこういうこと。

わかってる。

わかってるのに。


隣であぐらをくんだまま頭をわたしの肩にのせた彼は規則的な寝息を立てていた。


疲れてる、んだよね。


仕方ないなぁ、なんて思っていたら寝ていたはずの彼がふわっとわたしに覆いかぶさった。


え・・・?

無意識?

「・・・やだよ、これで今日が終わるなんて」


そういって首すじにざらっとした感触が伝わる。


「僕が目の前にいて、ため息つくって何?」
「・・・それ、は・・・」
「誰見てたの?」

左手がわたしの脚をなぞっていく。

ゾクッとして、いつまでたっても慣れない感覚。

「ういちゃんはたまにずるい」
「侑くん、そんなことしながらいう事、じゃ、ない・・・」
「どんな事?」
「いじわる」
「だってういちゃんが悪いんだよ?」


私に跨って上から見下ろすその艶美な顔。


「もっと触れて欲しいならお願いして?」

ほら、と、彼のゆびが辿るその道筋にわたしはもう我れを忘れる。


「侑、くん」


手を伸ばせば私の指を口内に含んだ。


砂嵐の画面にうっすら見える一つになった影。

甘美を纏いながら。

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