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産qレース 第二十四話(最終話)

 一ヶ月後の昼休み、退職前に荷物を引き取るため、織田に付き添われて、信子はやってきた。

 斎藤は、お休みの日だった。たぶん、休みの日程を確認した上で、この日に来たのだろう。

 信子の最後の出勤ということもあり、まさえなど他のスタッフも来ていた。

 やすこと伊達、源氏で、信子のものと思しき荷物をまとめておいた。

 信子は、すっかり痩せて、美しい顔も覇気がなくなっていた。

 源氏が織田と信子を出迎えた。
「この度は、大変でしたね。これは、信子さんのかと思う荷物をまとめておきました。」と伊達が荷物を渡した。

 「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしました。」と信子が小声で挨拶をした。
 他のスタッフも、お礼を言いながら、別れを惜しんだ。

 そして、去り際にやすこの元へやってきた信子は、

「今までの本当にありがとうございます。元気な赤ちゃんを産んでください。」と声をかけた。

「こちらこそ、ありがとう」と伝えると、深々とお辞儀をして、織田と共に、荷物を持ってスタッフルームを後にした。
 その後ろ姿は、すっかり生気を失い、以前の小柄な身体より、さらに小さく見えた。

 やすこは、織田先生と信子の後ろ姿を見送りながら、ふと、まさえの顔をみた。
 まさえは、うっすらと笑みを浮かべているようにみえ、その表情にやすこは、愕然とし、背筋が凍りついた。


 数ヶ月後、徳川とやすこは元気な女の子とともに育休に入ったのであった。

産qレース 完

※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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