産qレース 第四話
徳川と石田は、エリート中学からの同級生だ。何かと忙しく、合コンのような飲み会と忘年会ぐらいしか会う機会が減っていた。共に医者家系ではなく、一般家庭から医師の道を志した。
実家が開業医で後ろ盾のあるのんきな医者とは違い、徳川と石田は努力と叩き上げのスキルを磨くしかなかった。勤務医は、薄給な割に、仕事のハードだ。
帰り際に、飲み直しながら、今日の合コンの話になった。
石田は、「順位をつけるなら、やすこちゃんが一番で次がまさえちゃんかな。やすこちゃんは、お酒飲まないみたいだし、気が利く感じだったよね」
徳川は、「まさえちゃんもいい子だよ。話も盛り上がってたし、背格好もぴったりだから、一緒に食事でも行ってみれば。でもさ、俺らがこんな話する日がくるとはなっ。ゲームとアニメくらいしか興味なかったのにな。」
徳川は、まさえに石田の連絡先をメールで送り、かわりにやすこの連絡を聞いた。
やすこの連絡先が分かり次第、徳川は自分が連絡してアドバンテージを獲ろうと目論んでいた。徳川の負けず嫌いに火がついたのだ。
『石田がいいと言うものは、俺がほしい』と。。
まさえとやすこから、その日のうちにお礼の連絡が来た。徳川は、まさえにはお礼を、やすこにはお礼と食事の誘いを返信した。
やすこは、徳川からのメールに困惑した。
医者というのは、忙しいものと相場が決まっている。食事の誘いは嬉しいが、食事へ行く候補日が20日近くある。ほぼ毎日近く予定は空いていると言うことだ。
しかし、やすこは体調が優れず、万が一感染させたりしたら、徳川の仕事にも支障がでる可能性があることと悩みの一つだった。
やすこは、また改めて予定を確認して、連絡することを伝えた。