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産qレース 第二話 

 眩しい光が差し込む病院の階段で同期のまさえにあった。お互い笑顔を交わし、すれ違いざまに

「やすこに合いそうな良い人を見つけたから、今度飲み会しよう。」

 北条まさえは、同期の中でもとても面倒見のいい姉御気質だ。仕事ばかりの私をセッティングした合コンに誘ってくれる。そして、まさえの人脈は、有望だ。先生と言われる職場や一流企業にお勤めの男性が集まる飲み会ばかりであった。

 「是非、行くよ。いつもありがとう。」とやすこは答え、足早にリハビリ室へ戻った。

 今川やすこは、リハビリの技師として、現在の病院へ就職して、もう10年目になる。もうすぐ、33歳だ。この業界だと、女性比率が高く、中堅といったところだ。

 数日後、まさえから日程の調整の連絡がきた。ちょうど平日休みの日だった。同僚の多くは女性か既婚か年配の男性だ。まさえとは部署が違うため、平日勤務で、やすこはシフト勤務だ。周りの友人は、カレンダー通りか、家庭をもって生活パターンも違う。 

 特に、平日休みでも用事はない。ここ数年は、そんな毎日を送っていた。

 2月の寒い日、私は運命の人に出会った。


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