アートボード_3

Figmaのプランを理解せずに契約すると多分困るので解説

2019/02/26 追記
Figmaのプラン内容少しづつ更新されています。この記事の内容は現行プランとは少しズレている部分があるので、公式サイトでの内容の確認は必須です!
例えば、フリープランでは2メンバー以上招待できない(editor/viewer関係なく)とこの記事にはあるのですが、現行のプランだとeditorが2名以上招待できないだけで、viewerは制限なく招待できます。

こちらの記事でFigmaをべた褒めしたのですが、プランについては少し複雑なので別記事に分けました。

べた褒めしてる記事を読んでいない方は先にそちらを読んだほうが良いかもしれません。そもそもFigmaが使いたくないのにプランを理解した所でアレですし......。

プラン自体はそんなに難しくない

前の記事で書いたようにFigmaは基本的には無料です。
ただ、プロジェクトを増やしたいとか、編集できるメンバーを増やしたいとかいう気分になるとProfessionalプランにせざるを得ません。

そして、上の画像のように、
「Freeは3プロジェクトまでだよ。それ以上はProfessionalプランにしてね」
というのは別段考える事もなく分かるのですが、このまま契約していざ使い始めると頭の中が疑問符だらけになってしまうと思われます。

実はこの料金体系を理解するにはFigmaというツールを理解しないといけません。

話を進めるにあたって、取り敢えずFigma3.0のリリースと同時に追加された、月45ドル(Professionalもですが、これは年払いの月割り料金です。)のOrganizationプランは無視します。

記事の終盤で少し触れますが、複数人のデザイナーがいて、複数のチームを構成しているような大企業向けのプランとでも言っておきます。

では、これから少しややこしい話を始めます......。


チーム→プロジェクト→ファイル

実際に使ってみないと少し理解が難しいのかもしれないのですが、
Figmaにはチームという概念があって、この中にプロジェクトというフォルダーがあって、その中にファイルを何個も作れます。

そして、Professionalというプラン。

実はこのプラン、チームごとに割り当てられるので「Team Test Inc.」というチームに料金を12ドル(先程も書きましたが年払いの月割り料金です。月払いは15ドル)払ったとして、Professionalプランの機能が使えるのは「Team Test Inc.」のみです。

なので、「Team Sample Inc.」というチームを増やして、このチームもProfessionalプランにしたいと思うと追加で12ドルかかるわけです。

しかもこの12ドルは編集者の人数分かかるので、デザインの編集ができる権限であるエディターを1人、2人と増やしていくと、料金も比例して増えていくので注意が必要です。

この仕様と、それぞれのプランの機能面を鑑みて言えることは、

・個人で使う場合はFreeプランでも充分

・2人ならまだFreeプランでも大丈夫

・3人以上で使う場合はProfessionalプランに入らないと使えない

ということです。


Freeプランの機能制限を見てみましょう。

・Unlimited File Storage
・3 Projects
・2 Members
・30d Version history

フリープランの機能制限で困るのは上にあるように、
・プロジェクトを3つしか作れない
・自分を含め2人しかメンバーになれない(エディターだけでなくビュワーも含め)
という点と、上の引用文には無いのですが、
・ライブラリにコンポーネントを加えられない
という点です。


プロジェクトを3つしか作れないと何が困るか

Figmaでチームを作ったりプロジェクトを作る時、このような構成になると思います。
先程の画像に注釈を加えます。

あくまで個人的な意見ですがこのように、チームは会社で、プロジェクトはプロダクト、その中のファイルは媒体、という形で分けると収まりが良いような気がします。

こう考えた時に個人でプロジェクト3つって結構な量だと思うので、プロジェクト数が3つを超えることはあまり無いと思います。
また、チームが別々になってしまい少し歯がゆい気持ちにはなるのですが、Freeプランでもチーム数の制限は無いので、新しくチームを作ればプロジェクトを更に増やすことは可能です。

また、このようなチーム分けをする時はチームが同じVI(ビジュアル・アイデンティティ)を持つ、という事を意識すると分けやすいと思います。


メンバーが2人までしか追加できない(ビュワーも含め)

パッと見「2Members?1人だから大丈夫か〜」なんて思ってしまいますが、「2Members」には編集者であるエディターだけでなく、閲覧者であるビュワーも含まれます

これは困りそうです。
しかし、これも意外とどうにかなります。

まず、ビュワーというのは多くの場合クライアントにあたると思います。

このクライアントが「プロトタイプにはパスワードがかかってないとダメ!」という場合は残念ですが、Professionalプランにするか、ZeplinやInVisionなどのプロトタイピングツールを使わないといけません

Figmaを使っていると全てFigmaで完結させたいという気持ちが強くなってきてサードパーティ製のツールを使うことを忘れがちなのですが、既存のデザイン制作ワークフローと変わらないので我慢しましょう。

そして、「パスワードかかってなくてもいいよ」というクライアントの場合はFigmaだけで完結できます。

実は、閲覧はビュワーとしてメンバーにならないと出来ないというわけではなく、Figmaは公開リンクを作成すればURLを知っている人は誰でもデザインを閲覧することが出来ます
パスワード保護の出来なかった少し前のAdobe XDと同じような感じですね。

ちなみに、前の記事でFigmaはブラウザベースで動くと書いたのですが、ブラウザベースであれば当然デザインファイル一つ一つにURLが割り当てられています。
実はこのURLが公開リンクになるのですが、公開していない時はメンバーであるエディター、ビュワー以外のアクセスは404エラーとなるのでご安心下さい。

↓404ページでは「404」のアンカーポイントを動かせる。すき。


ライブラリにコンポーネント入れられない問題

Freeプランにおける2つの問題を解決して、3人以下であればあまり不自由なくFigmaを使っていけるように思えます。

しかし、最後の問題であるライブラリにコンポーネントを加えられないという点が厄介です。

コンポーネントと言うと、「ヘッダー」、「フッター」、「ボタン」、「カード」などのレイアウトを構成する要素を思い浮かべそうですが、Sketchのシンボルと同じようにアイコンや、ロゴなどの単体で成り立つ要素も含めることが出来ます。

レイアウトを構成するようなコンポーネントであれば、Webサイトとアプリで全く同じになるという事はあまり無いと思うので、別々のファイルで同じライブラリのコンポーネントが使えなくてもあまり問題は無いと思うのですが、ロゴなどのプロダクト全体で使いたいような要素がサクッとライブラリから取り出せないのは少し不便かもしれません。

そして、この問題は解決法がありません

ただ、ライブラリに入っているカラーとテキストスタイルはプロジェクトが変わってもチームが変わっても使うことが出来るので......どうにか我慢できなくもないのではないでしょうか。
(Figma3.0以前はカラーとテキストスタイルをライブラリに入れることすら出来なかったし、そもそもスタイルを保存することが出来なかったので、我慢できなくもない。)

あと、FigmaやSketchを触ったことがない方に誤解がないよう書いておきますが、ライブラリというのはどのファイルでも開けるデザインの仕様書のようなものです。
SketchはCraft Library、DSMを使うことで同じような使い方が出来るのですが(こっちが先駆けです)、Adobe XDは1つのファイルでカラー、テキストスタイル、シンボルが完結してしまうのでFigmaやSketchのライブラリのような使い方は出来ません。

そう考えると、FreeプランのFigmaのコンポーネントはXDのシンボルに近い立ち位置になるので、XDメインのユーザーはもしかしたらライブラリにコンポーネントが入れられない問題はそんなに気にならないかもしれません。


一旦まとめ

最後のコンポーネント問題は解決できませんでしたが、それさえ我慢すればFreeプランもそれなりに使えます。

記事の最初の方で書いたように簡単にまとめてしまうと、

・個人で使う場合はFreeプランで充分かもしれない
※ライブラリにコンポーネントが入れられないのでこの機能を使いたい場合はProfessionalプラン

・2人ならまだFreeプランでも大丈夫
※ライブラリにコンポーネントが入れられない&プロトタイプの共有が少し面倒という点を我慢すれば

・3人以上で使う場合はProfessionalプランに入らないと使えない
※メンバー数の制限があるため

となります。

......なのですが、この記事を書いてて思ったのがProfessionalプランでもチーム1つで運用すれば月12ドルで済むのでは?という事です。 


Figmaは運用を間違えるとお金がかかる

Figmaはチームごとに料金がかかるので、何も考えずにProfessionalプランのチームを増やしていくと月1万円以上の請求が届いてしまったりするかもしれません(途中で気づくとは思いますが)。

多分ここまで読んだ方の多くは、月12ドルは払っても良いからライブラリにコンポーネントもいれてデザインシステムに使いたいという気持ちなのではないでしょうか。


デザインシステムはいいや、という方は多分FreeプランでもFigmaを使っていけますが、ライブラリのコンポーネントの同期は何だかワクワクするし普通に便利なので15ドルでひと月試してみてからでも良いかもしれません。


さて、話を戻してProfessionalプランでもチーム1つで運用すれば月12ドルで済むのでは?という仮説についてです。

Freeプランではプロジェクトは3つまでという制限がありますが、Professionalプランではプロジェクトの数に制限はありません。

ということは、プロジェクトをチーム的に使い分ければ1つのチームをProfessionalプランに契約するだけで全てのファイルでライブラリのコンポーネントが使えるのでは無いかと考えました。

それはProjectを「Test Inc_Project A」「Test Inc_Project B」ように、「チーム名_プロダクト名」の形で管理する方法です。


実際にはこのようになります。
「Team NK」は自分の名前の頭文字ですが、ネーミングは屋号とかが良いのではないでしょうか(エディターが増えた時も考えて)。
まぁ後からでも変えられるのであまり気にせずいきましょう。


こうすることで、Professionalプランに契約している「Team NK」というチーム内のプロジェクトであればどのファイルでもライブラリでコンポーネントが使えるようになりました。


また、1つのチームで複数のチームのライブラリをまとめると混ざって扱いづらいかな、とも思ったのですが、同チーム内でも使いたいライブラリだけを同期させることが出来るので特に不便な点はありませんでした。

↓検証段階のSSでネーミングが汚いですが整えれば大丈夫


さらに、この運用方法で気になるのが共有方法ですが、ビュワー/エディターの権限はチーム以外にもプロジェクトとファイルの狭い範囲でも付与できるので、クライアントへビュワー権限でのプロトタイプの共有や、エンジニアへエディター権限での素材の共有も際限なく出来そうです。



↓「Team NK」に所属しているメンバーは基本的にどのプロジェクトのファイルも編集できますが、このように指定のプロジェクトだけにユーザーを招待することが出来ます


ということで、結論は
1つのチームをProfessionalプランにするだけでFigmaは運用できる!


※追記
すみません嘘ついてました。

チーム以外のプロジェクト・ファイルの狭い範囲でエディター権限付与した時請求金額がどうなるかのテストはちゃんとしていまして......
そのテストの結果、請求金額が変わらないので際限なく権限付与出来るのかと思ったら数日後に請求金額変わってました

自分のアカウントを他に3つ作って全部追加してたので15ドル×4で60ドルと表示されていて「あーやっちまったなー」なんて思って、来月はそうならないようにしようとすぐビュワー権限に戻しました。(この時はまだ月払いの請求前)

しかし、また数日後見てみたら1人分の料金の15ドルに戻っていました。

請求料金確認のメールは毎月届くのですが(月払いだと)、そのメールに新しいエディターメンバーが追加された旨が記載されるようで、そのタイミングでエディター権限を解除すれば請求されないみたい?

そんな記述がありました。

実際に試せてはいないので確証はないのですが、1ヶ月の期間であればエディター沢山増やしても大丈夫かも?しれないですね。

長期で動くような案件であれば、エディター権限の数分毎月お金もらえばオールOK。それか、チームの責任者が新しくFigmaのチームを作れば良いのです。柔軟にやっていきましょう。


おわり

現在のFigmaの料金体系だとチーム1つだけをProfessionalプランにするのがベストなのではないでしょうか。

そうすることによって困りそうな点は網羅したつもりですが、もしかしたら何か見落としがあるかもしれないのでFigmaのプランを契約する際は割としっかり確認したほうが良いです。


最後に月45ドルのOrganizationプランに軽く触れて終わりにしたいと思います。

こちらは大企業向けのプランで、他のプランと比べてセキュリティ面がかなり強化されているみたいです。
また、以下のような記述もあり、会社内で複数のデザインチームがある場合は重宝しそうな感じですがイマイチどういった機能が使えるのか分かりません。

Companies can publish broader design systems across the entire organization, while still granting individual groups the ability to use their own Team Libraries. When new hires join their specific team in Figma, they’ll be able to access the appropriate materials from day one — no onboarding, software setup, permissions granting or other menial labor necessary.

企業は、組織全体に幅広い設計システムを公開しながら、個々のグループに独自のチームライブラリを使用できるようにすることができます。新しい雇用者がフィグマの特定のチームに参加すると、オンボーティングやソフトウェアのセットアップ、許可の許可、その他必要な労力を必要とせずに、適切な資料にアクセスすることができます。
※Google翻訳そのまま

Figma 3.0 (!)

料金ページでもOrganizationプランの場合は、会社名や会社の規模を入力してエントリーしたのち、Figmaから連絡が来るようなので詳細を確認してから契約という形になるのではないでしょうか。

憶測の域をでませんのであくまで参考程度に。


長々とありがとうございました。
前の記事にも書きましたが、日本語のFigmaの記事はまだまだ少ないので間違いがあったら遠慮なく教えていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

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Nao Komura
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