クサガメ・粒(つぶ)ちゃん
粒ちゃんと共に歩んで今年で早10年。
幼少期に亀を飼っていたが短い生涯にさせてしまったし、
ハムスターも計6匹飼っていたけど寿命が短かったから、
こんなに長く連れ添った生命体は私にとっては初めてだ。
粒ちゃんとの出会いは本当に唐突だった。
10年前、私は地元で学童の支援員をしていた。
もともと子供が好きだったので、楽しみながらも責任感のあるとても充実した期間を過ごした。
当時、ミーティングで同僚の先生が家で飼っている亀の話をしていた。
幼少期の僅かな期間に亀を飼っていたこともあり、ミーティング終わりに個人的にちょっとだけ亀の話をその先生とした。
ほんとにただ少し亀の話をしたかっただけだった。
そして翌日、
先生は小さなプラスチックの虫カゴにものすごく小さなクサガメを入れて、出勤した私に、
「はい!」
と、笑顔で手渡した。
唐突すぎた。
予想だにしてなかったプレゼント。
今でも少し亀に興味があるから話をしたんだけれども、
私は一言も欲しいとは言わなかった筈だ。
欲しい?とも聞かれてないし。
それが粒ちゃんとの出会いだった。
また亀を飼いたいとは微塵にも思ってなかったけど、幼少期に飼っていた2匹の亀
(名前はチョコとおせんべい)
を何も知識のないまま飼い始め、最終的にはとてもかわいそうな終わり方をさせてしまった事をずっと引きずっていたのは事実だった。
もうそんな事はしたくないし、してはだめだ。
あの子達にしてあげれなかった分まで、この子を大切に飼うんだ!
と、使命感に駆られた私は支援員のバイト終わりにチャリを漕ぎながら近所のペットショップへ向かった。
何を揃えれば良いのかすら分からなかったので、その日はひとまずエサを2種類購入して家へ帰った。
新しい環境に来た亀は普段以上に繊細なようで、ご飯を食べる事すらスムーズにいかない。
しばらく様子を見ていたが買ってきたエサを食べてはくれず。
その状態にも凄く焦りを感じた。
このままこの子は何も食べなかったらどうしよう?と。
以前飼い始めた時とは比べ物にならない程、命の大切さについて向き合っていた。
当時子供たちに関わる仕事をしていたこともあり、無責任な事はできないと思った。
勝手な使命感はむくむくとデカくなっていった。
そこから少しずつではあるが亀の飼育についての知識を増やしていった。
本を買って読んだり、
ネットで調べたり、
水槽と岩場がセットの飼育キットを買ったり、
日光浴用バスキングライトとUVのライトを用意したり、
すぐ水が汚くなるから濾過装置を設置したりと、
快適な住まいが整っていくのと反比例して、私のお金はどんどん減っていった。
ただ、やはり命は何にも変え難い。
住みやすい環境になるに連れて次第にエサももりもり食べ始めた。
甲羅干しをしたり、すいすい泳いだりと、元気な姿を見せてくれた事により、私の心配性は少しずつマシになっていった。
そんな矢先、またもや心配事が勃発!
当時私の脳内は100%亀の事しか考えられなくなっていた。
(続)
以上、そんな感じで今回は終わります。
次回もどうぞ暇つぶしにお付き合いください。
Co.2