ボードゲームにはまる人、増えてます。
皆さんはボードゲームと聞くと何を想像しますか?トランプやオセロ、人生ゲームなど様々なゲームが上がってくると思います。実はボードゲーム、海外のものも含めると年間に千以上もの種類のボードゲームが登場しているそう・・・。今回インタビューにお答えいただいた田村さんは、楽しそうにそう教えてくださいました。
そんなボードゲームに魅了された田村さん。今回はたくさんのボードゲームを通して生まれた健康おせっかいについて、田村さんにお話を伺いました。
——まず、田村さんがボードゲームにはまったのは、どのようなきっかけがあったのですか?
大学2年生の時、松江市でカフェを営業されているオーナーさんが、カフェの営業終了後にボードゲームのイベントを開催されたことがあり、SNSでイベントの告知を見かけて「楽しそう」と思いそのイベントに参加したのが始まりでした。そこで感じたのは「立場、年代、仕事、関係なく楽しめるのって良い!」というボードゲームの魅力。それがきっかけで僕はボードゲームにはまっていきました。
——おせっかい会議には、どのような経緯で案件として繋がったのですか?
もともとCommunity Nurse Company 株式会社とは、活動を始める前から関わりがあり、何度か「みんなのお家」などに行っていました。6月に初めて自分でボードゲームのイベントを開催したのですが、そのお話を聞いたおせっかい会議のメンバーさんが「おせっかい会議に一度出てみませんか?」と声をかけてくださったのがきっかけでした。
僕自身、イベントを行う目的の一つとして「多世代交流」というのがありました。また、その方とお話をしていくなかで「ボードゲームをすることで認知症予防になるのではないか。」「ボードゲームを通して初めての人とも仲良くできて、心の健康おせっかいに繋がるのではないか。」など基本的な「健康おせっかい」に繋がっていくという色々な意見も出てきたこともあり、おせっかい会議に参加してみることにしました。
——ボードゲームが健康おせっかいにつながる例として、どのような場面があって、どのようなボードゲームが活躍していたのですか?
おじいちゃんおばあちゃんの集まるサロンに出向いてイベントを行ったことがあったのですが、その時は75~90歳くらいの年齢の方と一緒にボードゲームをやりました。その時いくつか持っているボードゲームの中でも、認知症予防になりそうなものや、ルールが単純で適度に体を動かす事の出来るゲームを持っていきました。パズルのようなゲームは頭と手先を使うのに良く、又、認知症予防につながるようなカードゲームなど、難しさを感じにくいものを持っていくことで、楽しみながら参加していただきました。
——ボードゲームって色々なものがあるのですね。実際に田村さんは今どれくらいのボードゲームを持っておられるのですか?
今は60種類以上持っていますね。
——えっ、沢山お持ちですね!だから、頭を使うものや体を動かすものなど沢山の種類のゲームがあるのですね。
はい。海外のメーカーのものも合わせると、本当にたくさんの種類のボードゲームが存在します。中には、積み木のようなものを積み重ねるゲームや、脳トレのようなものもあります。集中力や手先の器用さなど、そのゲームによって求められるものが様々です。又、ものによっては8人くらいの大人数はもちろん、一人で楽しめるゲームもあります。
——時代としてはどうしてもゲームといえばデジタルゲーム、というイメージがあります。そんな中でボードゲームというアナログなジャンルに分類されるゲーム達の魅力はどこにあると思いますか?
お互いの顔を見ながら一つの共通の楽しみをする、というところがまずボードゲームの魅力として挙げられます。デジタルゲームもオンラインで共通のゲームを一緒にやるという事はかないますが、やはり実際に相手の顔を見ながら同じ空間で楽しみを共有できるというところはアナログゲームとしての良さだと思います。
また、バラエティ豊かに遊べる面も魅力の一つです。一つのボードゲームを使って1、2時間のうちに5~6パターンの遊び方もできますし、デジタルゲームはクリアすると大体そこでゲームをやめてしまいますが、ボードゲームは何度も何度も繰り返し楽しむことができます。リアルでするゲームなので、その都度何が起こるかわからないし、ほんとにたくさんの種類のゲームがあるので楽しみかたは様々です。ゲームのルールを自分たちでアレンジしてもいいので、自分たちでより楽しいゲームを発見したり、簡単なルールでやりやすくしたり、反対に難しくして盛り上げたりすることも可能です。
そして、多彩なゲームの中で楽しむだけではなく、教育の場で使うことで、子供たちの新しい才能を身に着けるきっかけに利用するなど、勉強の題材として使われていることもあります。例えば、算数のカードゲームや、演劇っぽい要素のあるゲームも存在します。国語の勉強として言語力をつけるようなゲームもあります。遊びながら、様々な能力を身に付けるきっかけに繋がっています。こういった事から、ワークショップの題材としてボードゲームを取り入れる方もおられますし、会社のコミュニケーションツールとして取り入れているところもあります。
——おせっかい会議に今回の案件をかけて、どんないいことがありましたか?
イベントを開催するにあたって「多世代交流」をするにはどうしたらいいかというところで躓いており、その内容をおせっかい会議に議題として挙げてみました。そうしたところ、「最近のボードゲームはあまり馴染みがない」という意見を頂き、何か別のコンテンツとセットでイベントを行うことで人が集まるのではないかという事になりました。そこで雲南のもともと色々な活動をされている方と一緒にイベントを開催させていただいたことにも繋がりました。その時のイベントはボードゲームをしながら、お食事やドリンクを参加者に楽しんでいただく内容でした。そうすると、僕自身で開催した時とはまた違う年齢層の方などが参加をしてくださり、「多世代交流」の良いきっかけにも繋がりました。
また、自分にはなかったアイディアを提案して下さる方もおられて、どういった仕掛けがあればボードゲームで遊びたくなるか、どんなことが出来るか、という視点を拡げることができました。
——「多世代交流」という事ですが、実際の活動の中でどのような多世代交流の様子が伺えましたか?また、ボードゲームを介しての多世代交流の生み出す良さはどのような部分がありますか?
まず活動をしていく中で、子どもさんを連れた方などの年代の違う様々な方の参加も見られました。ボードゲームを通して遊んでいく中で、最初はなんとなく緊張をしていましたが、いつの間にかみんなで夢中になって楽しんでいるという様子が伺えました。これはボードゲームをしていく中で「共通の目的に向かってみんなで遊ぶ事で、初めましての人でも仲良く出来る」という部分の働きだと思います。参加して下さった方の中には、大きな声で笑い声をあげている方もおられました。
大学二年生の頃ですが、実は少し落ち込んでいた時期があったんですね。そんな時に出会ったのが「ボードゲーム」です。松江市のとあるカフェの店主さんが主催されたボードゲームイベントに参加したのですが、そこでみんなでボードゲームをしている際に、世代も立場も関係なくなり、みんなが対等になった状態でゲームを楽しめるという事に、とても感動しました!昔からオセロ、トランプ、UNO、将棋などが大好きだった私ですが、このイベントを機会に一気にボードゲームにはまっていきました。
そして、それらのボードゲームを中心に、みんなで車座に座って顔を突き合わせるというその空間が本当に良いもので、そこからコミュニケーションも生まれるのだなと体感しました。実際に対面した状態で楽しい空気を共有することで、アナログならではのコミュニケーションの取り方もあるのだと感じました。
——楽しいことも多かったと思いますが、反対に大変だったことはなんでしたか?
イベントによっては全然参加者が居ない時もありました。イベントの前日に大きな台風が来てしまったり、また雲南では農業が盛んなこともあり、田植えの時期と重なったことも大きな要因として影響がありました。日にちの設定以外にも、告知のツールにSNSをメインで使ってSNSに馴染みにない方への告知が難しく、それ以外の宣伝告知をどうしたらいいのか・・・、実際に学校や交流センターなどにチラシを持って行ったりしたらいいのか?持って行っていいのか?というところにかなり躓きました。
ですが告知の面に関しては、3月に雲南のチェリヴァホールでイベントを開催させていただくことになったとき、みんなのお家におられる方のつながりから教育委員会の方に許可を頂き、地元の小学校に宣伝に行くことが出来たりして、たくさんの方にイベントに来ていただくことへと繋がりました。
そういった経験を経て、人を集めることの難しさや効果を知る事が出来ました。
——今回の案件を通して、田村さん自身に何か変化や良い影響などはありましたか?
イベントを通して知人が増えたことはすぐに感じた良いことの一つでした。イベント後、「一緒にイベントをやりませんか」と声をかけて頂くこともありました。例えば、防災に関するイベントに誘ってもらって、防災関連のボードゲームを持参してイベントに参加したり、普段しないような場所でのイベント開催をすることもありました。ボードゲームが種類豊富という事もあり、『ボードゲームと〇〇』といったような、何かと結び付けた事がやりやすいことがおせっかい会議での出会いと良い感じに重なり、コミュニティが広がる良いきっかけになったとも思いました。
——今後ボードゲームを活用した活動は、どのように続けていかれますか?
今現在自分は島根にいないのですが、島根を発つ際に一緒に活動をしていた友人に引継ぎをしました。今後は、おせっかい会議に出てきたような「健康おせっかい」という部分をしっかりと大切にしながら、彼がやりたいように、やりたいことをやってみてくれたらいいなと思っています。
一方僕自身は、副業的にではありますが各地でボードゲームの良さなどを、活動に関する経済面なども含めて継続的に、広める活動を行っていけたらいいなと考えています。行った先々でボードゲームを持ち込んでイベントなどを行っていきたいです。
——田村さんにとって、一番のボードゲームの魅力は何ですか?
やはりコミュニケーションですね。何人か僕とボードゲームを遊んだことで、ボードゲームにはまって自身がボードゲームを購入して、違うところで人を誘って遊ぶという、すごい広がりを見せています。ボードゲームの楽しさは人をいい意味でまきこんでくれるので、そこから色々な楽しさや元気が生まれていることを感じることもできます。
——田村さんが島根を発った後も、雲南ではボードゲームの熱が良い感じに広がりを見せていますね。
はい。なかなか今回の案件は成果を見いだす面では難しい所がありますが、雲南でボードゲームが広がっていくことで、人との繋がりや健康おせっかいが広がっていってくれたらいいなと思っており、それが少しでも根づいている様子が伺えたことは本当に良い成果として残ったのではないのかなと思います。ちなみに、おせっかい会議にも「人にやさしくなるゲーム」というゲームが置いてあるので、面白いのでぜひやってみてください。
田村さんのお話を伺った後に、私も実際に気になるボードゲームを購入してやってみました。みんなで同じテーブルでゲームをし、おばあちゃんから孫まで涙が出るほどの大笑いをしながら楽しむことが出来ました。大きな笑い声ほど、元気がお腹の底から湧き上がってくるような感覚が、幸福感とともに健康おせっかいに繋がっているのだなと実感しました。今後もおせっかい会議では、色んな素敵な「健康おせっかい」を広めるお手伝いをしていくことでしょう。
ライター 河田知佳