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伝統ある祭りの心意気を持った“お祭りコミナス”(三重県桑名市)

コロナ禍でも守りたい伝統をどうするか

三重県桑名市にはユネスコ無形文化遺産に登録されている伝統的な「石取祭(いしどりまつり)」があります。しかし、コロナ禍に2年間休祭せざるを得なくなりました。2022年、伝統を守り絶やさないという強い決意で開催を決定しました。しかし、課題は残ったままでした。

石取祭は毎年8月上旬に開催されます。熱中症対策はもちろんのこと、新型コロナウィルス第7波に対応すべき感染防止策の決め手はありませんでした。祭に参加する予定の43町のうち、約4割の町内が参加を断念したほどです。

祭りの医療ニーズへ“お祭りコミナス”募集!

そんな中、祭り参加を決意した町内のひとつ西矢田町は、「祭事に同行し、力になってくれる医療従事者がいてくれたら安心できるに違いない」と考えました。
以前から、「人とつながり、まちを元気にするあり方」を実践しているコミュニティナースと関わりがあった自治会長は、今回の祭りのためにコミュニティナースを募集することにしました。

石取祭は、毎年8月初めの真夏に行われるため、怪我、熱中症、体調不良など、市内いたるところで救急搬送が絶えないことが課題でした。この年は、それに加えて新型コロナウィルスの感染対策も必須です。

コミュニティナースは、職業や資格ではなく誰もが実践できるあり方ですが、今回は医療ニーズの高さから医療従事者のコミュニティナース、“お祭りコミナス”を募集したのです。
しかし、前例のない新しい取り組みです。お祭りコミナス自身もそれを受け入れる町内会も、はじめは戸惑いがありました。

観光客視点ではなく“心意気”を持ったおせっかい

お祭りコミナスは、「伝統ある神聖な行事に受け入れてもらえるのか?」「医療従事者として何ができるのか?」試行錯誤しながら祭に寄り添い続けました。
しかし、戸惑いとは裏腹に、体調不良や怪我など次々と現場での対応が求められます。

お祭りコミナスは、適切な距離感とコミュニケーションで、「GOODなおせっかい」に奔走しました。その結果次第に頼られるようになり、祭り3日目には町内に受け入れられ、太鼓を叩く機会をもらえたほどでした。

町内会の人々は、お祭りコミナスがいることで「とても安心で心強かった」「他の町内に自慢したくなる存在だった」と話したそうです。
外部の人間であるお祭りコミナスが、観光客の視点ではなく、お祭りの心意気を持って深い関心を寄せながらサポートし続けたことが大きな喜びにつながったそうです。

2年目に受け継がれ進化する“お祭りコミナス”

お祭りコミナスは、次の年にも受け継がれました。しかも、保存会の運営する救護班と連携し、前年の西矢田町だけでなく、6町内を任されるほどに進化したのです。
2年目の祭り終了後、救護班の責任者からは「全町内にお祭りコミナスのように町内専属救護班ができるといい」という言葉も出るほどでした。

祭りの中で医療ニーズに応えつつ、祭り特有の高揚感・凝集性・排他性などに配慮し、適切な距離感と一体感を持って活動したお祭りコミナス。
2年目の祭りを終えた今、祭事長から「また来年もよろしく」との言葉をもらったそうです。
古き良き伝統に、現代ならではカタチに進化した石取祭。毎年の開催が楽しみですね。


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