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【アーティスト向け】資金を無駄にしないために!Spotifyのプレイリストピッチングとボット再生のリスク
こんにちは!akira sorimachiです。
普段は作曲家として活動するほか、アーティストの広告配信のサポートをしています。
Spotifyでの音楽プロモーションにおいて、多くのインディーズアーティストが直面する問題、それは「プレイリストへのピッチング」です。キュレーター=プレイリスターが作成したSpotifyプレイリストに曲をピッチすることでリスナーを増やしたいと考えているインディーズアーティストは多いでしょう。
しかし、ユーザー生成プレイリストが増えてきたことで、残念なことにアーティストにとっても害となるプレイリストも増えてきました。
この記事ではプレイリストピッチングの問題点と代替策について解説していきます。
ユーザー生成プレイリストとは
今回の記事で取り上げる「ユーザー生成プレイリスト(UGCプレイリスト)」とはSubmitHub、Playlist Push、Soundplateなどのプラットフォームを通じてピッチを行う、フォロワー数が1,000〜100,000人程度のプレイリストのことです。「Release Radar」や「Discover Weekly」といったSpotifyの公式プレイリストや、レーベルが運営するプレイリストは問題ありませんのでご安心ください。
上述のSubmitHubやPlaylist Pushの売りは、数ドル(¥150~¥500)でキュレーターに直接楽曲を提出できる点で、キュレーターの扱うジャンルや曲の承認率によって誰に送るかを選択することができます。
ユーザー生成プレイリストへのピッチで起こること
1. フェイクストリームの増加
Spotifyのユーザー生成プレイリストにピッチを送り楽曲が採用された場合、一時的に再生数が急増します。ところが、そのプレイリストから楽曲が外された瞬間、再生数は急激に減少し、アーティストのプロフィールデータにもこの落ち込みが記録されてしまいます。
Spotifyのアルゴリズムが好むのは、継続的で緩やかに成長しているアーティストです。つまり、小さな増減を繰り返しながら最終的にはゆっくりと増加していくデータが理想的です。株に少し似ていますね。一方、プレイリストを通じて得たストリームは急激な増加と減少を繰り返しますので、アルゴリズム的には予測ができず、不利となってしまいます。
2. フォロワー数の減少
このようなプレイリストでは、スクリプトで大量のフェイクアカウントを作成し、それを使って再生回数を増やす方法が流通しています。しかし、Spotifyがフェイクアカウントを検出して削除すると、それに関連するフォロワーも消えてしまいます。
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健全なユーザーであればSpotifyアカウントを削除することは少ないので、通常はフォロワーが減るという現象はあまり起こりません。そのため、下記のようなグラフになります。
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3. アルゴリズムデータの歪み
Spotifyの「関連アーティスト」のセクションには、アーティストの音楽と関連のあるアーティストが表示されることが理想的です。しかし、ユーザー生成プレイリストでは様々なジャンルの曲が混在していることが多いため、アルゴリズムが「どのアーティストに似ているのか」を適切に判断できなくなります。そして楽曲を関連度の低いリスナー層に推薦することで、スキップされる確率が増加します。結果、新規のリスナー獲得に結び付かず、数値が伸びないことになります。
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プレイリストピッチングで期待できないこと
1. 継続的なリスナーの獲得
今回の取り上げているようなプレイリスト経由で楽曲を聴くリスナーの多くは、その楽曲を保存することはあってもアーティストのプロフィールまで訪れることは少ないです。結果として、アーティストの楽曲全体を聴いてもらえる可能性は非常に低いのが現状です。
2. リスナーとの再接触の機会
プレイリスト経由での再生では、リスナーのデータをアーティストが取得することができないため、再度こちらから接触することが難しいです。そのため、リスナーとの継続的な関係を築くことができず、リリースの度に新たなリスナーを一から獲得する必要が出てきます。
ユーザー生成プレイリストには良いものもありますが、質の低いプレイリストやボットによる不正があるのも事実です。外部ツールを使用してプレイリストの信頼性を調べることはできますが、完全に見極めることは難しい状況です。結果として、ピッチングに費やす時間やお金がアーティストの成長に繋がらない場合も多く、「成果保証型ではない」モデルのプレイリストピッチングは、アーティストへの「お手軽な成功法」を利用したビジネス的な面が強いのではないでしょうか。
代替策
1. Spotify for Artistsを活用したプレイリストピッチング
Spotify for Artistsを通じて、楽曲をエディトリアルプレイリストへピッチすることは、ユーザー生成プレイリストとは異なってかなり効果があります。しかし、実際には主要なアーティストやメジャーレーベルのピッチが優先されてしまいますので、インディーズアーティストにとっては、主に「Release Radar」に掲載されることを目指すのが良いでしょう。これにより、Spotifyのアルゴリズムに乗り、次のステップとして「Discover Weekly」「Spotify Radio」など他のプレイリストに進むための基盤を作ることができます。
「Release Radar」や「Discover Weekly」に掲載されるにはSpotify Popularity Scoreという数値が大事になってきます。この内容については、こちらの記事で詳しく解説していますので、是非目を通してみてください。
2. 広告の活用
Spotify以外のツールも利用可能で、例えばInstagram広告からSpotifyに誘導することも効果的です。
僕は普段アーティストの広告配信を行なっていますが、Instagram広告(Meta広告)には「Spotify関心ユーザー」というカテゴリがあり、このユーザーを中心に詳細なターゲティングができます。そのため、楽曲に興味を持ちそうなユーザーに絞ったプロモーションを行うことが可能です。
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※ Instagramアプリから広告を配信することも可能ですが、フォロワーを除外できなかったり、Spotifyに飛ぶことを目的として配信ができなかったりと色々な制約があります。本格的にプロモーションを行いたい方は広告マネージャを使用して配信することをお勧めします!
結論
アーティストとして成功することにおいて、プレイリストピッチングは間違いなく「近道」ではあります。しかし、それを利用したビジネスが存在することも事実であり、結果として長期的な効果が得られずボットや質の低いプレイリストに接触してしまうのは、アーティストの活動資金が無駄な投資に終わってしまう可能性もありますので、非常に悲しく思います。
アルゴリズムによる発見とファンやリスナーとの繋がり、この両方にバランスよく焦点を当てつつ、Spotifyを活用できるアーティストが増えたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
広告配信・楽曲制作のお問い合わせは下記LINEまたはInstagramのDMまでお願いいたします!
【参考サイト】
・Spotify for Artists - All you need to know about artificial streaming
・Spotify for Artists - 人為的に操作されたストリーミングと、再生数の獲得を保証するサードパーティーの有料サービス
・All Digital Music - Spotify活用に繋がるデータの読み解き方と、ボットを使った不正再生の見分け方