母の鞄

ぼろぼろの鞄を使っているおかあさん。

「違うの、使えば良いじゃん。持ってるでしょ?」

一緒に出かけるとき、恥ずかしくて。
高校性の私は、そう、つい言ってしまいました。

「うん、でも、これが良い。」

頑固なのは今に始まったことではないし、まあ良いか、なんて。
なんとなく流して。

大人になった私は、ぼろぼろの鞄を使い続ける母に尋ねた。

「うん、でも、これあなたが産まれてきてくれたときに、買ったやつだから。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?