高齢化社会という名の無理ゲーを攻略する
文化や芸術の目利きが集まるべきなのに、うっかり口利きが集まってしまった東京2020オリンピックの開会式。不自然に思えた江戸の火消しはK都知事(69)の、歌舞伎役者の登場はM組織委員会元会長(84)による口利きだったと。それらをもれなく組みこもうとしたS(67)元電通社員が、Mさん(44)が丁寧に構築してきた演出をぶっ壊したと文春は伝えている。記事が全て正しいかどうかは分からない。唐突に思えたジョン・レノン(生きてたら81)のイマジンは「なんとなくこういう曲かけておけば丸くおさまるでしょ?」っていう非芸術的な迎合だろうし、インテルのエンタメ商品パッケージ(特許にはディズニーが1枚噛んでるという噂もあり)であるドローンを飛ばしたのも「なんか見たことあるしテクノロジーっぽい雰囲気出るでしょ?」っていう浅はかな算段だろうし、五輪の開幕を祝うだとか日本文化を世界へアッピールするという大義よりは既得権益者の利権をがっちり守るための式典だったように思う。
御都合主義で芯のない演出、ツギハギでお金かけてるはずなのにどこか貧乏臭くて、何のメッセージ性もトータル感もない。一体何が開幕しようとしているのか。よくわからない。吐き気とめまいを堪えながらこの式典が伝えようとするものを最後まで読み取ろうとした。ピクトグラムのネタでひと笑い、が〜まるちょばさんガベジさん混乱のなか超おつかれさま。FPMさんも代役大変だっただろうな。不意に長渕剛さんが登場して、聖火台もろとも蹴り倒して開幕するやいなやに閉幕なんてことがあったらスカッとするな。関係性のある人たちへの労いや妄想もあってだんだんと我を取り戻してきたところでハイライトに突入。聖火ランナーとして長嶋茂雄さん(85)、王貞治さん(81)、松井秀喜さん(47)が登場。ここでようやく僕は理解した。ああ、これはオリンピックの開幕を伝えるものではない。高齢化社会の開幕を実質的に伝えるものだ。
先進国の多くが抱える少子高齢化社会
世界的な新型コロナウイルスの流行、本格的なロックダウンが求められるなかでの東京五輪の強行開催。次から次へと降りかかる禍(わざわい)で忘れそうになっていた少子高齢化問題。たった9年後の2030年には3人に1人が65歳以上となる。団塊の世代がもれなく後期高齢者(75歳以上)に該当。人口の2割に値する。社会保障制度の担い手となる現役世代1.8人に1人の割り合いで、老人を支えなくてはいけない。ずっと言われ続けたものの現実味のなかった問題が、開会式によって前倒しで明るみになったのである。開会式のなんだかわからない演出は、裁量権あるけどセンスない人たちがとっくに委ねるべき若い才能に委ねないまま高年齢化したことがシンプルな原因。センシティブな判断ができない。責任を取れない人たちに預けてしまったことが問題。まずはこの流れを根絶、攻略してゆく必要がある。
政治家が握ったつもりでいるものの正体
文春の記事のように、票田のための口利きを政治家が本当にしたのだとしたら、五輪憲章を大きく損なっている。直ちに正すべき、何かしらの責任を追求するべきなのだが、それだけの自浄作用が現在の政治およびオリンピックの組織委員会にあるとは思えない。国家の中枢にいる政治家たちは勘違いしてないか。あらゆる予算は国民が支払った血税が元本となっている。国債で特別に調達した資金だって、要するに国民が背負わされる借金だ。コロナで大変なときにオリンピックを強行開催するのも、開会式で口利き優先しちゃうのも、組織委員会の幹部に政治与党の元スポーツ選手議員を送り込むのも、五輪で得た何かしらのフィードバックを次の選挙で期待するのも、全部オカしい。開催するのであれば、たとえば前回のnoteで僕が提案したような、国民の不安や不満を少しでも解消するものでなければいけないし、未来の国民の利益につながるものでなくてはいけない。
ここで伝えてゆきたいのは政治の腐敗ではなく、未来を象ってゆくための具体的なアイデアである。僕はテクノロジーのなかでも、とくにARに詳しい。選挙の公示の際、冷静な判断を促すような仕組みを提案したい。意見が偏らないよう、シンプルに数字を明示するのが良いだろう。候補者は税金をいくら何に使い込んだのか。票田はどこにあるのか。公示ポスターに印刷していない政治家にとっての不都合を、もれなく可視化するARはどうか。票田も使い込んだ税金の使い道もオール理解したうえで有権者が投票すれば、開会式のような悲劇的齟齬も生まれない。政治家の若返りも必須だ。若年層が投票しやすいようにインターネット投票もここで同時に実装したい。斬新とは省略すること。きっと新しい風が吹き込むに違いない。さらっと書いてしまったがわりと重要な話なので、後日改めて記事(あるいは実装してプロトタイプ化)する。
国内から試作を進めて、やがて世界へ。
もういちど、2030年に本格化する高齢化社会下の人口推移を見てみよう。まず日本全体の人口が720万人くらい減少する。新型コロナウイルスの影響を考慮する前の試算なので、もっと減ることが予想される。悲しい。全体が減って高齢者が増える。悪い意味でヤバい。肉体労働者が減る。頭脳労働者も減る。こういうときこそ、テクノロジーの出番。能力が損なわれつつあるお年寄り、少ない時間でより多くの成果を上げなくてはいけない現役世代、新人研修やインターンの時間さえもらえない新入社員。もれなくイノベーションが求められている。
人工知能周辺の技術が扱いやすくなっている。これから医学・法学・商学を学ぼうとする人は、勉強するのと同じくらいの努力をAIとサービスの開発に傾ければ、商機はまだ大いにある。予防医学にしても、決定打になるようなサービスはまだ存在していない。使い道を絞って人間の経験を宿したAIは、やがてロボティクスと接続してさらに商機を拡げる。見極めは、人件費とメンテナンス費用の対比。出るお金と入るお金、シンプルな話。
ターゲットそして商流の話ですが、まずはコアとなる現役世代から拡張を進めると良いでしょう。そのつぎに高齢者、動かしにくい部分があってもテクノロジーで補強すれば現役世代よりも頼りになる存在になり得る。数が多いので商売になりやすい。助成金もつきやすい。奇しくも日本には映画やアニメーションなど、老人を拡張した物語が多く存在する。老人Z(1991)、ロボジー(2012)、いぬやしき(2014)辺りを参考に、拡張される側のおじいちゃんの気持ちをまずは理解しておく。半分冗談で、半分本気で書いてます。
単体では限度のあったARは、ブレインテックなどセンシング技術と組み合わせてより高度な成長を遂げます。自動運転にもやがて紐づくセンシングの根拠としてのミラーワールド活用も増えるでしょう。データの整備が膨大に必要となります。これはプログラマーでなくとも設計さえしてしまえば拡張が可能な分野。国土交通省が主導するPLATEAUを有効活用するのも良いでしょう。長くなってきたので、それはまた別の機会に。鏡像世界がまもなく生み出す経済圏によって、ツーリズムやファッションにも大きな変革をもたらそうとしています。現実の誘致は上の年代(のちほど登場する超アクティブシニア)に任せて、僕らはデジタル誘致に動きましょう。
いまのところ日本がいちばん深刻に思える少子高齢化ですが、この現象はやがて全世界へ派生します。国内で開発したサービスは、ローカライズすれば問題なく世界展開を望めるでしょう。日本よりも問題が深刻な中国は、国ぐるみで急ピッチで動いているので、注視してみると良いです。やけに戦略的。国家ぐるみで動かないと実現できないような、開発者としては少し羨ましい側面もあります。また、高齢化社会に政策で立ち向かって成功してきたフランスや北欧諸国のやり方も参考になります。有権者として一票を投じる際の、マニュフェストを評価する際の、判断材料にしましょう。
広告と政治が全部終わってしまったわけではない
話を戻します。電通五輪と揶揄されたり、そもそもインターネット広告はスキップされる傾向があったり。広告業界そのものがダサいと感じる若い人が少なくないと聞きます。でもね、聞いてほしい。広告は必ずしもダサいものではないですよ。法人が法人として出せないようなメッセージを、通常では届かない場所へ届けられる。或いは近過ぎてメッセージを伝えようとさえ思わない人たちに、メディア越しに声をかけられる。広く告ると書いて広告、まさに告白するかのような切実さで一言一句を考えるコピーライターがいるし、一分一秒に命を賭けるディレクターも存在します。僕はプログラム言語を使わないタイプのプログラムだといまだに捉えています。広告はまだ終わっていない。一部の人間が、構造由来で腐ってしまっただけ。それを正せばいい。失敗の本質を洗い出せばいい。いいところは残せばいい。広告的な軽やかな考えが、世界の雰囲気を変えることだってある。それを信じて、広告の世界で働いている人間がいる。これをぜったいに無視してはいけない。ここに書いた「広告」を「政治」という言葉に置き換えても同じ。何回でも書くが、人間を引き摺り下ろすだけの力学では新しい文化など到底生まれないと僕は考えます。どうしたら腐った部分を根絶して前進できるのか。内外で会話を続けませんか?
超アクティブシニアの存在
広告や政治と関わっているからといって無条件で悪者扱いするのがダメなのと同じように、年齢が高いというだけで高齢化社会の諸悪としてはいけない。若いというだけで、女というだけで、男というだけで判断されるのをあなたは一番嫌うはずです。年を取っているというだけで実は超有能な人を、けして敵に回してはいけない。元気でアイデアフルで若い感性をキャッチできてチャンスをべら回ししてくれる超アクティブシニアは必ず存在している。そういう人間を味方につけて、時に相談して、未来をともに考えてゆくのが攻略の鍵。
ナイスミドルの存在
1966年から1976年生まれ、現在44から54歳の人たち。要するに同世代のみなさま、次は僕たちがリーダーシップをとってゆく番です。自分たちが上の世代から受けてきた横暴や理不尽、無理解。ここで断ち切りましょう。一部のパイセンたちが自分たちにしてくれたように、いいと思う才能をフックアップして、もう感性が終わっている年配には、やさしく引導を渡しましょう。子供がいない、結婚もしていない人がこの年代には多く存在します。未来なんて関係ないと考える人も少なくないでしょう。でもね、考えてみてください。自分たちもやがて後期高齢者となります。託せるものは託して、身を軽くして、明るくて悠々自適な老人ライフに備えましょう。「世の中腐ってる」からといって自暴自棄にならず、まずは現実を立て直しましょう。それをやらずして、後ろの世代が自動的に助けてくれるはずがありません。
Z世代、そしてゆとり世代と言われた人たちへ
勝手に「ゆとり」とか「Z」とか名付けやがって。君たちの感性は正しい。ネットを中心に数字を集めておくのも凄く良い。まだ既得権益者が気付いていない価値をフル動員して、自分たち以降の世代への影響力を担保しておいて欲しい。皺寄せの坩堝にいるあなたたちの経済的精神的負担は計り知れない。不満が大いにあるだろう。その不満を不満のままぶつけて笑ってくれるのは、親か親友だけです。どうか良き理解者、同世代の仲間や少し年上のナイスミドル、そしてお父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃん世代の超アクティブシニアをポケモン感覚でみつけて、大切にして、いざという時に役立ててください。相談してください。頼ってください。腐臭のする連中は切り捨ててください。
ラストドリームという名の夢の跡
今回のために作ったキービジュアルは、ファミコンウォーズというゲームを下地にした。このゲームの最終局面にラストドリームというステージが登場する。不当に土地や工場が占拠された状態からのスタート。完全なる無理ゲーだが、戦い方が残されていないわけではない。少ない予算をやりくりしてまずは歩兵を増やし、ヘリコプターで歩兵を輸送し、相手が重要視していない土地をひとつひとつ占領してゆく。戦う姿勢はまだ見せない。お金と戦力を秘密裏に蓄えておく。土地ばかりに目をとられている相手を尻目に、やがて制空権と制海権を奪いにゆく。雰囲気で購入した戦車やお飾りの戦艦では戦いにならない。戦略なき装備はマスを埋めるコマに過ぎない。攻めにも守りにも転じることができない。一気に攻め込み、牙城を崩す。
拝啓、老若男女。オール・オブ・ザ・読者のみなさま。僕はこんな感じで、ときにユーモアを交えて、日本が良くなるアイデアを連続的に書いてゆくことにしました。書いたことは、段階的に実装してゆきます。通りすがりの天才とはいえ、ひとりの人間が考えたことです。気に入らないことあればぜひコメントを、賛同してくれる人はフォローおよび「スキ」をよろしく。noteの反応がとにかくうれしい。ミスター褒められたら褒められた分だけ伸びるタイプです。