麻雀初心者がMリーグにドハマりし、赤坂ドリブンズを応援するようになるまで
実家で一人暮らしをしている。
と言っても、半月程度は両親と暮らしている。
昨年初頭から、父の仕事の都合で、両親が広島と島根の二拠点生活を行うようになった。
私は、大学以来の一人暮らし生活を月の半分だけ謳歌しつつ、残りの半分は引き続き子ども部屋おばさんとして過ごす生活を1年半ほど続けていた。
事の発端
今年(2024年)の2月ぐらいだっただろうか。
父がスマホで麻雀の動画を見るようになった。
だんだんと、居間のテレビにつなげてあるTVerやABEMAでも、麻雀が流れるようになっていった。
確か父は、学生時代に麻雀と競馬とパチンコにハマり、大学を中退した。
しかし所帯を持ってからは、麻雀とはあまり縁のない生活を送っていたはずである。
そのため、母も、私も、今は県外に就職した妹も、これまで麻雀とは接点のない人生を送ってきた。
私と母と、「大学時代の麻雀熱が復活したんかね~~」と、他人事のように父の言動の変化について推測していた。
そうこうしているうちに両親は、もう一つの拠点である島根へと旅立っていった。
母、Mリーガーの虜に
3週間の一人暮らし生活の後、両親がこちらに戻ってきた。
仕事から帰宅すると、テレビには麻雀の対局が流れていた。
おそらく「Mリーグ」とかいう、麻雀のプロリーグだろう。
「父も完全に麻雀が大好きなおっちゃんになったもんだな」と思っていた矢先の出来事だった。
タカハル、ショウチャン、ルミアキ、ガセサン、ホリポヨ、ウッチー、コバゴー、ジャガ、ソノケン。
私は唖然とした。
母が知らんMリーガーの名前を、口々に唱え出したのである。
こ、こ、この3週間で、一体母の身に何が起こったんだ……!!!????
"エンタメ"としての工夫が凝らされたMリーグと、個性的なMリーガーたち
母に話を聴いてみると、麻雀のルールは現在勉強中でまだよく分かっていないものの、Mリーガーたちが個性豊かで面白いため、Mリーグを見るのが楽しいとのことだった。
母は、渋谷ABEMASの多井隆晴選手が試合後のインタビューで、延々と真剣に前髪の話をしている姿を見て、多井ファンおよびアベマズファンになったらしい。
仕事から帰宅すると、テレビでは大体Mリーグがついているし、母から知らんMリーガーの話を毎日聞かされ続けると、さすがの私もちょっと興味が湧いてくる。
私はMリーグおよびMリーガーについて、自発的に調べ始めた。
調べれば調べるほど、「これは、麻雀初心者にもとっつきやすいよう、かなり工夫されているな」と感嘆が止まらなくなった。
絞りに絞った選手数
まずMリーグには、4人×9チーム=計36人のMリーガーが所属している。
そうまず、選手数が厳選されていて超少ない。
プロ野球1球団が支配下登録できる選手数よりも少ない。
そして、その36人はチームごとに4人セットになっているため、36人を一人ずつ覚えるより効率的に頭に入ってくる。
それぞれ特色が違うチーム
次に、各Mリーガーが所属しているチーム。
一部を除いて、チーム名にはスポンサー企業の名が冠されており、「この企業がこのチームを持っているのか」と、頭の中で企業名とチーム名がするすると結び付いていく。
そして、チームカラー。
各選手が着用しているユニフォームは、チームカラーを基調としたデザインになっている。
また、試合中に画面下部表示されるテロップは、背景色がそれぞれのチームカラーになっている。
そして試合後には、トップを取ったチームの色に会場が染まる。
極めつけは、インタビュー後のポーズ。
トップを取ったインタビューの最後に決めるポーズが、チームごとに設定されている。
それを一部選手、一部チームなどではなく、全チーム、全選手が必ずやるのである。
個人的にこの点がかなり新鮮だったし、選手名とチーム名を脳内で紐付けるのにかなり寄与したと感じている。
個性的で魅力的なMリーガー
Mリーガーには、プロ雀士以外の仕事を兼業している人も多い。
私自身も実際、伊達朱里紗と中田花奈に関しては、Mリーグを見始める前から存在を知っていた。
(前者については、幕張メッセでライブも見ているので、知っているどころの騒ぎではない。アイマス最高)
彼女たち以外にも、俳優、モデル、グラビアアイドル、棋士、医師など、二足の草鞋を履いているMリーガーが一定数いる。
そのため、「この選手は、麻雀以外にあの仕事をしている人だ!」というように、副業を軸に選手名がするすると頭に入っていった。
また上記のような副業をしていなくても、Mリーグという大舞台に立つまでに、それぞれで何かしらの下積みがある場合が多い。
富山在住で対局のたびに東京へ出てきていた本田さんのエピソードや、自身が経営していた雀荘を閉め東京に単身赴任してきた優さんのエピソードには、地方在住者として胸を打たれた。
こうしてMリーガーの経歴についてあれやこれや調べていった結果、私はものの1週間足らずでMリーグ9チームとMリーガー36人を完全に覚えてしまうこととなる。
普段は、「10人以上いるアイドルグループは、全部同じ顔に見えるので推せない」などとのたまっているのに、不思議なものである。
わずか3週間でMリーグ(というかMリーガー)にハマった母の気持ち、そして今まで散々小馬鹿にしていた、野球のルールがよく分からないのにプロ野球選手のファンをしているカープ女子(死語)のような人々の気持ちが、少し分かるような気がした。
私は、「今後親が実家にいる時は、麻雀を見る機会も増えるだろうし、まったりルールを覚えていけたらな~」と思っていた。
彼に出会うまでは……。
麻雀シンギュラリティ・渡辺太
その日は、父は出張で不在、母は実家にいた。
Mリーグを見始めた張本人である父は不在だったものの、私が仕事から帰宅すると、居間のテレビには当然かのごとくAbemaの麻雀チャンネルが映し出されている。
時刻は7時10分頃で、ちょうど第1試合の選手紹介が始まるところだった。
ぼんやりと選手紹介を見ていると、初めて見る選手の顔が映った。
そしてこう思った「顔が好きだ」こうして私は渡辺太の顔ファンになった
終
制作・著作
━━━━━
ⓃⒽⓀ
太(いきなり呼び捨て)は、普段の温厚で物腰の低い性格とは対照的に、攻撃的で押せ押せな雀風が特徴で、そのギャップが魅力的なのだと言う。
しかし私は全く麻雀が分からない。
Mリーグを見始めるまでは、麻雀は4メンツ1アタマをそろえるゲームであるという初歩の初歩すら知らなかった。
だから攻撃的な麻雀というものが、一体どういうものを指しているのか、全く理解できなかった。
太は、私が落ちた東大に現役で合格し、その後北海道の大学の医学部医学科に入り直して、現在は内科医とプロ雀士を兼業している。
とてつもない努力家だ。すごい。すご過ぎる。
↑全俺が泣いた太の半生を描いた漫画
当人は、「医者との二刀流であることではなく、あくまでも自分の麻雀の内容に注目してほしい」とよく言っている。
しかし、私は肝心の麻雀の内容がよく分からない。
私はそんな自分が、とても悔しくて悔しくて、申し訳なくて仕方がなかった。
「まったり麻雀のルールを覚えていきたい」という気持ちは、数日で消え失せた。
私は、麻雀のルールをいちから必死で頭にたたき込んでいった。
“推し”の存在というものは偉大である。
ちょうど父が母と私のために、頼んでもいないのに佐々木寿人選手監修の初心者本を買ってくださった(ありがとうございます)ので、その本を熟読した。
偶然にもこの麻雀入門は、ないおトンのキャラデザを担当しているゆるもたん先生がイラストを担当しており、数奇な運命を感じた。
不明点は両親に質問した。
学生時代雀荘に通っていた父が質問に答えられるのはまあ当たり前なのだが、初心者目線で解説してくれる母の回答の方が意外と役に立つことも多かった。
麻雀経験者1人+未経験者2人という家族構成で良かったと、つくづく思う。
もし両親共に既に麻雀に詳しかったら、「いいもん……どうせ私は麻雀分からないもん……」と、途中でスネていた可能性がある。
正直、麻雀についてまだまだ覚えるべきことはたくさんある状態だが、とりあえず国士無効の試合映像を見て心から笑えるレベルにはなった。
「早く太の顔ファンを辞めたい」。
今はその一心で、役や点数などを覚えている。
赤坂ドリブンズというチーム
太のファンになったということは、所属チームである赤坂ドリブンズを必然的に気にかけるようになる。
弁当ドリブンズ
麻雀面以外でのドリブンズの特徴と言えば、弁当への執着心が挙げられる。
ドリブンズの楽屋は、机に弁当を置きっぱなしにしていると盗まれる可能性があるらしい。
なんとも恐ろしい空間である。
また、ある日のドリブンズ楽屋では、弁当の値段でガチ喧嘩を繰り広げ(そしてそれを諌める太)、
ある日の楽屋では、弁当の値段と満足度についてのグラフを書き始め(そしてそれを後ろで静かに見つめる太)、
ある日の楽屋では、高級弁当を獲得(週間トップのチームは、弁当が豪華になるらしい)するために、あと何ポイント必要か真剣に計算し、ドリブンズ楽屋を訪れたぽよに呆れられている。
私はドリブンズ(正確には、越山剛監督と園田賢選手と鈴木たろう選手の3人)の弁当に関する真剣な思いに、いたく感銘を受けた。
なぜならば私も、あの3人並みに食い意地が張っているからである。
そもそも世の中の人間は、弁当の価値を軽視し過ぎていると私は思う。
人間は基礎代謝量だけで、男性は約1,500kcal、女性は約1,100kcalを消費しており、さらにこれに身体活動量が加わるため、適切な食事によってこれらの消費カロリーを(以下略)
そのけんがかわいい
ドリブンズを応援するようになって気付いたのは、そのけんがとてもかわいいということである。
かわいい
かわいい
かわいい
もちろんそのけんはかわいいだけではない。
システムエンジニアとしても腕があり、最高位戦のテロップをExcelとPowerPointで作ってしまったという。
一万行以上もVBAコードを書いたというのだから驚いた。
また、
というエピソードには、親近感を覚えた。
私も仕事柄、日々Googleのアルゴリズムに振り回されているので……。
そして何より、ファイナルシリーズは中盤以降毎日登板し、しっかり結果を残してくるそのけんの姿はかっこ良かった。
赤坂ドリブンズ、楽屋の雰囲気も良くて、本当にいいチームである。
推すしかない!
最後に
まさか私がこんなに急激に麻雀にハマるなんて、今年頭あたりの自分に言っても、絶対に信じてはくれないだろう。
しかし今は、麻雀という楽しくて奥が深いゲームに出会えて、本当に良かったと思っている。
まずはこれからもっと麻雀の基礎知識を勉強し、2週間後に始まるMトーナメントを、より知識が深まった状態で楽しみたいと思う。
そしていつか、見る側ではなく、打つ側でも麻雀を楽しめるようになりたい。
金銭的なサポートは不要です。 スキやアカウントのフォロー、記事の拡散などを行っていただけますと、大変うれしいです。