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「昼、何かに行き詰ると散歩に行き、夜になると星を観に行く。」 - 人生まれにみる豊かな時間をふりかえって。

暮らしの中に豊かさを見つけていく。

陸前高田市広田町にいるとそんな日々が続きます。
その豊かさは、何気ないものばかり。

今回体験記を書いてくれたこうきも、
その何気ない景色に豊かさを感じてくれた一人です。

コミュニケーションは苦手。
でも何かを他人と共有することは楽しそう。

そして、小説を書く楽しみにも出会ったこうきから見た世界を、
たくさん表現してくれました。

ぜひご覧ください。



人生まれにみる豊かな時間…
 
楽しかったこと、悔しかったこと、
面白かったこと、新しい発見、
新しい自分…。

アルバムで、広田の写真を見返すと、
様々な思い出がよみがえってきます。

気が付けばもう11月。
広田を出てから、約2ヵ月半が経ちました。

インスタグラムやLINEグループでは広田とつながりがあり、
まだ近しくも感じるのですが、
写真を見ると遠く感じます。

そんな中、
卒業後の感想文を書いてほしいとトリーネから依頼を受けたため、
何を書こうか迷いながら筆を執りました。

あるときふと気がつくと増えているこうきの作品。
シェアハウス内にこっそり貼られている。

*「CMC(Change Makers College)」
  広田町で4ヶ月の移住滞在をメインに、
  持続可能なライフスタイルを探求する学び舎。

*「SET」CMCを運営している、
  陸前高田市広田町に拠点をもつNPO。
  トリーネはデンマーク出身、
  広田町に移住しているCMC運営メンバー。

改めまして、7期卒業生の水口皓貴(こうき)です。

私は神戸出身の大学生です。
私は、大学を休学し、CMCに参加しました。

休学のきっかけは、就活に行き詰ったことです。

私はもともとソーシャルビジネス方面で就職活動をしていましたが、
就活に行き詰まり、CMCへの参加を決めました。

CMCへ参加すると決めた要因は、ただの直感でした。
なんか面白そう。
そう思ったため参加したのです。

けれど、そこでの時間は豊かなものでした。


就活が上手くいかず、
何か人生行き詰った感じがして、
心が若干殺伐としていた気がします。
しかし、CMCに参加し、豊かな時間を過ごしました。


広田に着いたのは夜だったので、真っ暗でした。


暗かったため、綺麗な星と、
明かりがついた家しか認識できず、
初めは広田がどんな場所かわかりませんでした。

そんな中、山田中に行くと、
私が来る数日前に来た人々がもう仲良くしていて、
すでにCMC7期生の雰囲気が出来上がっていました。

*「山田中」
期間中に滞在するシェアハウスの屋号。
広田町では各家を屋号で呼ぶ風習がある。

一方の私は、人見知りだったこともあり、
一瞬ここに馴染めるか心配になりました。

それでも、コミュニケーションをとり、
自分らしくしていると、すぐに馴染めました。

この時に関しては、本当にすぐで、
翌日にはなじんでいました(笑)。


それでも、まだまだお互いのことを知らず、
クラスや日々の生活を通じて、
みんながどのようなキャラクターなのか徐々にわかってきました。


みんながどのようなキャラクターなのかわかってくると、
関わるのが面白く、
自分自身を見つめ直す刺激にもなりました。


個性的なキャラクターの人が集まっていたことは、
CMCで豊かな時間を過ごせた一つの大きな要因かもしれません。

そのうえ、単に個性的なだけでなく、
意外な一面などを皆持っており、時間が過ぎるにつれ、
みんなの印象が変っていきました。


関心のあるものから、
過去のこと、悩み、そして将来のことに至るまで、
お互いにフラットにシェアし、
みんなと本当に仲間になれた気がします。

このような生活の中で、私は様々なことで悩みました。

まず、車の運転について悩みました。
車の運転が上手くできず、こうへいさんやわたるん、
ひろさんなどの人に運転を教わったり、
横についてもらったりし、運転を練習しました。

*こうへいさん、わたるん
CMCのファシリテーター。
こうきの運転を上達させるべく、何度か助手席に乗った。

*ひろ
こうきと同じタイミングで参加していたCMC生。

免許は当然持っていたのですが、
教習を受けて以来、一度も運転しておらず、
そのうえ運転は得意じゃなかったため、苦労したのです。

特にこうへいさんが長い時間運転練習に付き合ってくれ、
最終的には運転ができるようになりました。

それでも、運転に関しては、引け目を感じていました。


次に、悩みとは少し違うかもしれませんが、
5月頃になると、何かしなければと焦っていました。

私は脳の特性上、
アイデアを出したりすることが得意である
と分析していたため、

将来は起業の方面に進むと良いのではないか
と考えていました。
これに関しては、あまり深く考えておらず、
単純にそう思っていただけです。

それでも、広田で何かに挑戦し、
成長しなければならないと考えていた私は、
学生起業に挑戦しようと考えていたのです。

ですが、CMCの仲間のアドバイスを聞いたり、
ヒアリングをしたり、いろいろ考えた結果、
うまくいかないと感じ、進まなくなりました。

起業に関しては、
アイデアの段階で止まってしまったのです(笑)。

その時は、起業のことよりも、
もともと趣味で書いていて、
広田で再開した小説執筆の方が、進みがいい状態でした。

何かを夢中になって書くこうき。

このような状態だったので、
私はかなり焦っていました。

その代わり、将来のことについて考えるようになり、
その時、ようやくもっと広い視野で人生を考えられるようになりました。

ちなみに、今となっては、
小説の方に可能性を感じるようになりました(笑)。

さらに、今度はお金のことで悩みました。

広田に行くとアルバイトがあまりなく、
お金が徐々になくなっていきました。

そのため、5月の中旬くらいになると、
かなり悩むようになりました。

本来であれば、ウニの開口があったはずなのですが、
今年は1か月ほど遅れていたのです。

*ウニの開口
広田町では5月からウニ漁が始まる。
毎年CMC生もお手伝いをし、地域住民との交流のきっかけになっている。

かなり危機的な状況だったため、
こうへいさんなどに相談し、
SETの人にアルバイトについて聞きましたが、
その時は、残念ながらアルバイトはありませんでした。

そのため、私は車を使い、
片道2時間ほどかけて、タイミーで王将のバイトに行くことにしました。

王将で2日間働き、16000円稼ぎ、
しかも、その時はウニのバイトが始まっていたため、
財政破綻を何とか回避することが出来ました。


このように、
財政面の危機を乗り越えることができたのですが、
今度は町の人との関わりが少ないということで悩みました。

私が王将でバイトをしていた2日間、
CMC7期生の間では、
町の人フィーバーが起こっていたのです。

町の人との夜ご飯や畑の手伝いに参加できず、
虚無感や焦りを感じました。

しかし、そんな中、家の近くを散歩していると、
たまたま塗装屋の人に話しかけてもらい、
塗装屋の人と仲よくなりました。

お酒を一緒に飲み、いろいろ話しました。
その後、りょうくんに町の人との夜ご飯に誘ってもらったり、
梅の収穫を手伝ったりし、
この問題は無事解決することができました。


このような形で、
様々なことで悩んだのですが、
これらの問題はある程度解決され、
最後は特に何かに悩むことなく、
楽しく過ごすことが出来ました。

ここまで様々なことで悩んでしまうと、
もしかしてCMC楽しくなかったんじゃないか
って思う人もいるかもしれません。

しかし、そんなことはなく、
むしろ、非常に楽しい時間だったと感じています。

もちろん、たとえば、
あの時もっとお金があったらといったことや、
車の運転がもっとうまくいけばといったことなど、
振り返って思うことはいくつかあります。

けれど、振り返ると、
楽しかったことや良い思い出がたくさん出てきます。

クラス、飲み会、焚火、遠野、
葛巻、フォレストキャンプ、
修学旅行、町の人との交流、紫陽祭。

色々なことがありました。

最初は広田や仲間を新鮮に感じ、



中間になると、
フォルケからの留学生が帰国する時期になり、
さみしく感じ、

後半では、
修学旅行で岩手の様々な場所をめぐり、
町の人との関わりも盛んになりました。


昼、何かに行き詰ると散歩に行き、
夜になると星を観に行く。

そんな生活をしていました。
そのような日々が懐かしいです。

「人生まれにみる豊かな時間」
というと大げさかもしれません。

しかし、普段新鮮な経験があまりなく、
参加する直前もあまり面白いことがなかったので、
このように感じました。

最後に、CMCを卒業し、
私はクリエイティブなことをして生きていこうと思いました。

具体的なことはまだ模索中なのですが、
様々なことに関心があるため、
色々な経験をしたいと考えています。

CMCでアイデア力や文章力、
人を見る力があるとみんなから言ってもらえたので、
これらを大切にし、
自由に生きていこうと考えています。

※追記
ここまでの文章は、広田を出てから、
2ヵ月半くらい経ってから、書きました。

今は、ケニアにいます。

今いる場所は、正直、
CMCの雰囲気や価値観と全く違い、
少し馴染みにくさを感じています。

ただ、ネガティブには捉えていません。
自分の目の前のあらゆることが自分の学びになると、
CMCで気が付きました。


人から自分がどう思われているか、
自分が自分のことをどう思うか、
人と比べて自分はどうなのか、
自分はどう生きるべきなのか。


これらのことが気になり、
何かあると不安になったり、
危機感を覚えたり、
すぐに考え込んでしまうところが
自分の生き辛さを感じているポイントなのかもしれません。

このような自分の特性上、
答えが出ず、模索しています。

それでも、人生は実験だと思っています。
CMCもその一つなのかもしれません。

この文章は、ほとんどが広田を出て、
2カ月半が経った頃に書きました。

時間が経ち、書き直そうかとも思ったのですが、
せっかくなので、このまま残そうと思いました。

それでも、
心境の変化があれば書こうと思ったのですが、
あまりありませんでした。

CMCは豊かな時間であり、
何か青春のようなものなのかもしれません。

最初は参加するか迷っていたのですが、
参加し終わると、このような心境になりました。

CMCはたった4ヶ月なのに、
広田に残り続ける人や広田に戻ってくる人もいます。

それ以外の人も、
SETの人と何らかの形でつながっているように思います。

この体験記でCMCの雰囲気が伝わっているかわかりませんが、
この体験記を読んで、
もし参加してみたいと思う人がいれば、嬉しいです。

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