ニラ
体を温め、疲労回復にいい「陽起草」
[韮] Chinese Leek
◎旬=春 ◎効能=強壮作用、胃腸病・生理不順・生理痛の改善、血液サラサラ
東南アジア、中国、日本原産のユリ科の多年生草本。ニラは「陽起草」といわれるほど生長力と生命力の強い野菜であり、一度植えるとほとんど手をかけなくてもよいので、「懶人草」(= なまけ草)とも呼ばれている。「軍酒山門に入るを許さず」の軍とは臭いの強い野菜のことで、酒と共に禅寺の山門内に入れることを禁じられていた。
ニラ、ニンニク、ネギ、ヒル、ラッキョウなどは「五重」といわれている。
『本草綱目』に「根、葉を煮て食えば、中(胃腸)を温め、気を下し、虚を補い、腸を益し、臓腑を調和して食をよくし、腹中の冷痛するのを止める」とあるし、宮崎安貞(1623~1697年)の『農業全書』に「陽起草として人を補い、温まる性の
よきものなり」とあることなどから、ニラは体を温め、胃腸の働きをよくし、強壮・強精作用のあることがわかる。ニンニクと同様、消化促進、殺菌、消炎作用も有するが、こうした作用の主役は、やはり硫化アリルだろう。また硫化アリルは、ビタミンB1の利用効率を高めるので、疲労回復の妙薬ともなる。
さらに、ニラに特有の働きとして、活血化療(=駆癖血)作用がある。これは、汚れたドロドロの血液を浄化して血液の循環をよくし、血液をサラサラにする働きだ。
つまり癖血(血の汚れ)から生じる肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、生理不順、生理痛、吐血、喀血、下血、鼻血などを改善する作用があるのである。これらの改善には、ジューサーで絞った生汁を1日おちょこ1~2杯、毎日飲むとよい。
わさっていて、疲労回復、虚弱体質の改善、貧血、低血圧、夜間頻尿などの陰性病に格好の料理だ。
【民間療法】
●下痢……葉を味噌汁に入れて食べる。
●風邪……茶碗に刻んだニラと醤油を適量入れ、熱湯を注いでフーフーいいながら飲み、すぐに寝る。
狭心症・腹痛……生葉数枚をすり鉢などですり砕いて酢で練り、ガーゼに塗って患部に貼って湿布する。不思議なくらい痛みがとれる。
切り傷・あかぎれ・虫刺され……葉の生汁を塗ると、殺菌、止血作用がある。
腰痛・インポテンツ・婦人病……ニラの種子(韮子)を、空腹時に2~3粒飲む。下半身の血行がよくなり、効果がある。
便秘……ニラをさっとゆでて刻み、納豆に混ぜたニラ納豆にして食べる。
疲労……ニラをすりつぶしておちょこ1杯分に絞った汁に、ハチミツを適量入れたものを1日2~3回飲む。