見出し画像

「脱炭素まちづくりファシリテーター」になった理由

「脱炭素まちづくりファシリテーター」

 私にこの新たな肩書が加わった。2022年9月28日に夜のオンラインで、その3日後の10月1日に福岡市内の会場(オンラインとのハイブリッド開催)で2回に分けて行われた養成講座を経て、この認定を受けることができた。この認定により、私自身が、気候変動問題の課題解決を先導する人材を育成する教育プログラム「脱炭素まちづくりカレッジ」を開催できるようになった。
 近年は、SDGsの教育・理解促進を目的としたカードゲーム活用型のプログラムが複数開発されており、「脱炭素まちづくりカレッジ」はその1つである。同カレッジは、知識の習得(BASIC)、カードゲームを通した未来体験(PLAY)、個人や地域のカーボンフットプリントを可視化して今後の行動を考える実践(Design)の3つに構成される。その詳細については開催されたときに参加して体感してもらうのが一番いいだろう。

なぜファシリテーターになった?

 では、私がこのファシリテーターになったのか、これをどう生かすのか?結論をまとめると、「2100年以降も人々の頑張り、挑戦、貢献、感謝を守る」「2100年も気候変動に負けず頑張り、努力できる世の中を作る」という自分理念の実現、さらにこれを具体化した「Sports×地球環境保全×SDGs」のビジネスモデルづくりに向け必要なピースと考えたからだ。(※1)その問題意識を一言に絞ると「気候危機」であり、もうちょっと書くと「気候危機による活動機会の喪失」である。
 絵にすると早いだろう。彼らをどうこの檻から解き放つかだ。

 上記の実現に向け、福岡市主催のGlobal Challengeへの参加経験を経て、まずはアスリート、さらに広げてエッセンシャルワーカーをターゲットとした、水分補給を切り口としたプロダクト・サービスを構想してきた私。その過程で、以下の疑問が出てきたのも事実だ。

プロダクト・サービスだけでは、私の理想や目指したい社会課題解決は50%くらいしか実現できないのでは??

 スポーツチームや建設会社などへのヒアリング、VCとの面談、様々な人への壁打ちをして気が付いたことが1つある。それは、話しているうちにユーザーからの使い勝手やテクニカルな話ばかりに頭が行き、私ですらつい根本の「気候危機」の意識が頭から一旦消えているとことだ。ユーザー目線に立てば、「2100年地球がどうなるか」より「このプロダクトを通じてどんな利益が得られるか」がまず自分ごとになり、この自分ごと感がマネタイズに直結するので致し方ないが、「これでいいのかな?」と考えることも多くなった。
 一方、フィードバックの中には、「普及には教育も合わせて必要」ものもあった。具体的なものを1つを挙げると「まずは自分が何かカルチャースクールで教室を開けばいいのでは?」という声である。ここで数か月前に知ったキーワードが「プラネタリーヘルス」(※2)である。その根底の考えの1つが「人間の健康と地球の健康は密接に関係している」ことだ。この考えに立てば、必要な教育的アクションは、単にテクニカルな「水の飲み方教室」ではなく、「健康と気候の問題とを連関して考える機会」とすることが望まれる。「プラネタリーヘルスからの教育活動」をもう1つの柱とし、プロダクトと組み合わせることにより、プロダクトの成長だけでなく私の理念や私の目指す社会課題解決により近づくのではないか?と考えるようになっていった。
 こうした中、参加したのが「脱炭素まちづくりカレッジ」である。福岡県では2022年7月9日と9月23日に開催されているが、ここで、気候危機の現状やこれに対するアクションに仕方につき、複数の参加者と協働したゲームやシミュレーションで楽しく学ぶことができた。この場で出てきたのが「ファシリテーター養成講座」の話である。これが、私の関心や問題意識の1つと合致し、私の目指す課題解決のストーリーに向けたピースになるかもしれないと思うようになった。そして、熟考の結果、「今申し込まなかった場合の損失の方が大きいのではないか」と思い至って養成講座を受講した次第である。

目指すファシリテーターの姿と私自身の活用

 養成講座では、最後に講座での学びの感想やこれから実践したいことを各参加者がシェアする時間もある。私がこれから実践したいことについて、私はこんなことを言ったと思う。

1.ファシリテーターもプレゼンターの1人であることには変わりないと思う。そして、プレゼンテーションはプレゼント。3時間程度、長いときには8時間程度時間をお借りするわけだから、時間を使ってよかったと思われるプレゼントをしないといけない。澤円さんのような人をひきつけ自分ごとにさせるプレゼンテーションを取り入れて、楽しんでもらえるプレゼントをできるようにしたい。
2.ターゲットとして考えているものの1つがスポーツチームである。なぜなら、気候変動を直接的に自分ごととして感じやすいユーザーで、地域への波及効果も大きいからだ。

 上記のうち2.は、最初に掲げた私のミッションや今後も見据えた時浮かび上がるターゲットで、ビジネス上のターゲットとも合致する。副次的効果としては「アスリートのセカンドキャリア」の選択に道を開くことが挙げられる。今回の養成講座参加者は行政や教育機関の方が半分近くいて、「学校での活用」「企業研修での活用」「市民向け環境講座での活用」という方向性を挙げる人が多かった。というかこうした方向性が一般的なのだろう。私の視点は異質に映るかもしれないが、多様なターゲットがあっていいし、他の人の関心からそれるターゲットに目を向けるのも考え方の1つだ。
 実は、後になって「しまった…言い忘れた…」というターゲットがあった。若手起業家、スタートアップだ。日本では海外に比べ、いわゆる「クライメイトテック」気候危機に問題意識を持ったスタートアップは少ない。私の住む福岡市は「スタートアップシティ」と言われ、昔の小学校を改装した拠点「Fukuoka Growth Next」(以下、FGN)もあるが、クライメイトテックや気候危機をミッションにしたスタートアップは日本全体の傾向に輪をかけて少なく、特にFGN発の「クライメイトテック」は皆無と思われる。2回参加した「脱炭素まちづくりカレッジ」には、「FGNに入居するスタートアップ」「福岡発の起業家」の参加者は誰もいなかった。というより、似たようなイベントで類するペルソナの参加者は見たことがない。気候危機に立ち向かうスタートアップ、起業家やクライメイトテックがFGNをはじめ福岡から出てほしい…この基盤になるなら私もぜひ全力を出したい…これが私にある思いの1つだ。
 私自身も、「福岡発のクライメイトテックづくり」を目指していることには変わりはない。ファシリテーター活動も潜在的なユーザーづくりの基盤だけでなく、私の目指す社会課題解決の手段として生かし、ファシリテーター活動とビジネスデザイン活動が相乗効果を生み出していけたらと考えている。これが私の目指す社会課題解決や自分理念の解決に必要なことだろう。
余談だが、今年度もスタートアップ研修の「Global Challenge」に申し込んでみたいと考えている。

 ファシリテーターに関しては、実は、海外でもやってみようかな?という頭がよぎった。SFやシリコンバレー、NYはどうだろうか?

付記:ファシリテーターコミュニティとスタートアップコミュニティ

 特に九州地方ではファシリテーター間のコミュニティが強いようだ。一方、私はGlobal Challengeへの参加や各種スタートアッププログラムにも参加し、スタートアップコミュニティにも顔を出している。結果として、両者は結構性格が違うな?という気がした。
 スタートアップ界で最近よく出てくるWeb3、DAO、NFTといったワードは、ファシリテーター養成講座間の話や雑談、さらにその後の懇親会も含め、全く聞くことがなかった。一方、スタートアップコミュニティには、教育関係や行政関係は、福岡市の関連窓口の方を除けば、ほとんどみることがない。そして、ファシリテーターコミュニティではスタートアップを目指す人はほとんど見たことがない…というよりゼロだろうか?年齢層はファシリテーターコミュニティの方が高く感じる。ファシリテーターコミュニティからは、グローバルな話があまり出ないかな?というのも感じたところ。
 2つのコミュニティの特質を活かして、これを掛け合わせてどう新たな価値を生み出すかというのも、今後のテーマとして面白く思えた。私自身、単独ではとびぬけた価値を生み出すより、複数の考えを掛け合わせて価値を生む出す方が合っているようにも思えるし。

 別の観点からは、ビジネス・創業のマインドを持った若い人がもっとファシリテーターを目指し養成講座に参加してほしい、まずは脱炭素まちづくりカレッジなあともちょっと思うところもあった。私が過去参加した類似の各種SDGsのカードゲームに関しても同じようなことを考える。

(※1)
この問題意識を背景に書いた私のNote記事の主なものとして以下がある。

https://note.com/clutchman/n/nedf069b73f6a


(※2)
プラネタリーヘルスの定義を取り上げた例として下記サイトなどがある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?