MLBでの、三振数とホームランなど各指標の相関
「ホームランの多い選手は三振も多い」これは、野球界によくある直感的なイメージの1つだろう。実際、現在MIN在籍のギャロのように、「三振かホームランか」を地で行く選手もいるし、スタッツを一見するとそんな感じに見えなくもない。ただし、統計的に見た場合本当にそうなのだろうか?
現在のMLBで、以下の点に関して調べてみた。
1)本当に三振数とホームラン数は相関するのか?
2)打率など他の指標と三振数との相関はどうなっているのか?
3)これらの相関の変化はどうなっているのか?
対象とするシーズンは、2022年(通年)と2023年(現地時間5月29日)まで。三振との比較対象は、ホームランのほか、塁打、OPS、打率を取り上げる。両時点の規定打席到達者を分析対象選手とする。
X=三振数、Y=各指標とした回帰分析をまとめると、以下のようになる。グラフは末尾にまとめて示す。
この結果から以下のことがうかがえる。
A)三振とホームランはある程度相関はある。
B)三振との相関は、ホームラン>塁打>OPSとなり、OPSになるとほとんど三振数と関係がなくなる。
C)三振と打率には負の相関がある。
D)三振とホームラン、塁打、OPSの相関は、2022年→2023年中途の間に弱くなった。一方、打率と三振の負の相関は、2022年→2023年中途と強くなった。
上記D)に関する変化の要因は何だろうか?あえて考えるとすれば、打撃シフトの制限が2023年になって設けられた結果、無理に一発狙いするケースが少なくなったのではないか?というのが1つの仮説である。
一方、MLB全打者を対象とした、下記の各指標の推移からは、三振とホームランの相関が弱まる理由は見いだせない。下記3指標とも上昇しているのだ。
・打数に占める三振の割合:2022年25.0%→2023年25.4%
・打数に占めるホームランの割合:2022年3.2%→2023年3.4%
・塁打数÷打数:2022年39.5%→2023年40.9%
(※2023年は5月30日終了時点)
三振とホームランの相関の強弱は、その時点の戦術をはじめとする野球のトレンドを示しているかもしれない。また詳細に分析すれば違ったものが見えてくるかもしれない。