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【クラスターが描くメタバース教育の未来:中編】『教育の選択肢が少ない家庭だった』CEO加藤の語る教育への想い

「人類の創造力を加速する」をミッションに掲げ、国内屈指のメタバースプラットフォームを築き上げたクラスター株式会社が、いま新たに挑むのは『教育』。
少子化、デジタル化、そして社会全体の学びの変革が求められる時代において、メタバースの可能性を教育にどう活かすのか。

前編ではCEO加藤がメタバース×教育のビジョンについて語っています。

中編であるこちらの記事では、引き続きCEOの加藤に構想の原点となった原体験と、教育への熱い想いを深く掘り下げて聞いていきます。


代表取締役CEO
加藤 直人

京都大学理学部で、宇宙論と量子コンピュータを研究。同大学院を中退後、約3年間のひきこもり生活を過ごす。2015年にVR技術を駆使したスタートアップ「クラスター」を起業。2017年、大規模バーチャルイベントを開催することのできるVRプラットフォーム「cluster」を公開。現在はイベントだけでなく、好きなアバターで友達と集まったりオンラインゲームを投稿して遊ぶことのできるメタバースプラットフォームへと進化している。2018年経済誌『ForbesJAPAN』の「世界を変える30歳未満30人の日本人」に選出。同じく2022年、2023年には「日本の起業家ランキング」のTOP20に2年連続で選出。著書に『メタバース さよならアトムの時代』(集英社/2022年)



ー前編では、メタバース×教育の可能性について伺いましたが、その根底にある、加藤さんの教育に対する考えについても伺えますか
加藤:前提として、現在の学校教育システムそのものを否定するつもりはありません。ただ、より良くできる部分があるのではないかと考えています。特に教育における負の側面については、バーチャル空間の活用によって解決できる可能性があると思うんです。


具体的に3つの課題があると考えています。1つ目は「身体的ないじめ」の問題です。バーチャル空間では物理的な暴力が存在しません。これは、圧倒的なメリットです。いじめによって教育を受ける機会を失ってしまった生徒たちにとって、新たな可能性を開くことができるのではないでしょうか。

2つ目は「引きこもり」の問題です。僕自身、3年間の引きこもり経験があります。引きこもりの背景には、いじめだけではなく、人間関係や学習の進捗、環境的な制約など、様々な要因が関係してきます。例えば、親の仕事の都合で転校を余儀なくされたり、地理的な制約で学校の選択肢が限られてしまったり。バーチャル空間であれば、そういった制約に縛られることなく、新しい学びの場を提供することができます。

3つ目は教育現場での「価値観の偏り」、いわゆる「蛸壺化」の問題です。限られた環境や人間関係の中でしか学べないと、どうしても視野が狭くなりがちです。しかし、バーチャル空間では地理的な制約を超えて、多様な価値観や考え方に触れる機会を作ることができます。こうして様々な選択肢が持てることで、教育の質の向上にもつながっていくと考えています。


ー その考えに至った背景はあるのでしょうか

加藤:僕は経済的な事情から教育の選択肢が少ない家庭で育ちました。学生時代は、塾に通うことができず、進学先も公立高校しか選べなかったんです。私立高校が必ずしも良いというわけではありませんが、様々な特色を持った学校から選べる選択肢があることは、それだけで大きな違いだと思います。

また、中学・高校の授業に物足りなさを感じていたことも、今の考えに影響していると思います。特に公立学校では、落ちこぼれを出さないということが最も優先度が高いため、一律の進度で授業が進められます。結果として、個々の生徒の可能性を最大限に引き出すような教育にはなっていないのが現状です。

幸い僕の場合は、高校時代に理解のある先生に恵まれ、得意の物理や数学を伸ばすために独自の学習を認めていただけました。しかし、もしこの環境に恵まれていなければ、あの時感じたやるせなさや、どうしようもない気持ちは、ずっと抱えたままだったかもしれません。

バーチャル空間を活用すれば、このような課題も解決できると考えています。一人ひとりの理解度や興味に合わせた学習環境を提供できるからです。例えば、生徒の反応をシステムが自動的に分析することで、授業につまずいているけれど声を上げられない生徒のサポートが可能になります。理解の早い生徒に対しては、その生徒の興味や学習スピードに合わせて、より深い学びの機会を提供することができます。そんな世界が実現できたら、教育はもっと一人ひとりに寄り添えるものになるはずです。

このように、個々に最適化された教育を提供できることは、学びの質を大きく向上させると考えています。そして何より、自分で選択できる自由があることは、人としての豊かさにつながると信じています。

さらに、昨年末に子どもが生まれたことで、より一層、日本の教育の未来について考えるようになりました。教育は戦後、さまざまな改革が試みられていますが、本質的な変革には至っていません。しかし、今ならテクノロジーの力を借りることで、真の教育改革が実現できるのではないでしょうか。僕たちの挑戦には、そんな想いが込められています。



ーありがとうございます。 最後に、これから教育事業を一緒に進めていく未来の仲間に向けて、メッセージをお願いいたします。
加藤:クラスター社は、最先端のテクノロジーを活用してイノベーションを起こし、世界に届けようとするカルチャーがDNAレベルで刻み込まれている会社です。教育分野にはまだまだ大きな可能性があり、それを実現することで日本の未来を切り開けると確信しています。

僕たちは必要なシステムと開発力を持つテクノロジーの会社として、今回お話しした教育の課題に真摯に向き合っていきたいと考えています。この想いに共感していただける方、一緒に未来を創っていきたいと思ってくださる方と、ぜひ共に次世代の教育を形作っていけたら嬉しく思います。



近日公開予定の後編ではCOOである成田が教育事業の具体的な進捗と構想について語っています。こちらも合わせてご覧ください
クラスターが描くメタバース教育の未来:後編】COO成田に聞くメタバース教育の取り組み
(近日公開予定)

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