見出し画像

#35 生地胴=ジーンズ論 vol.10

◾️19 そろそろジーンズの話

そろそろ(ようやく?)ジーンズについて触れておきたい。
今やファッションアイテムとして老若男女を選ばす、かつ世界中で愛されているジーンズのルーツが作業着であったということはご存じのとおり。最初はテントや帆に使われているキャンパス生地(帆布)で作られていた作業用のズボンが、より丈夫な素材としてデニムが選ばれ、今に至る。ジーンズの歴史をたどる前に、デニムのメリットを挙げてみる。

●カジュアルに着られると同時に実用性に富んでいる
●性別、世代を問わず、誰にでも似合う
●コーディネートがしやすい
●カジュアルでありながら、だらしなさがない(履きこなしにもよる)
●周囲に親しみやすい印象を与える
●履けば履くほど体になじむ
●エイジングが楽しめる

このようにデニムのメリットを挙げて見ると、生地胴のメリット(特徴)と似通っていると感じられないだろうか。

◾️20 ジーンズの歴史

アメリカのカリフォルニアで金鉱が発見されたのが1848年。ゴールドラッシュのなか、金の採掘は過酷なものであった。実はゴールドラッシュで利益を得たのは金山を掘り当てたプレイヤーではなく、集まったプレイヤーに物資やサービスを提供したサプライヤーであったといわれる。
サプライヤーの一人に衣類を扱う雑貨商のリーバイ・ストラウスがいた。後のリーバイス社の創業者である彼のもとに「丈夫な作業着がほしい」という声が寄せられ、1850年にキャンバス地のワークパンツが生まれた。最初のワークパンツの色はオフホワイトだったという。

◾️21 副産物的な効果

キャンバス地も決して弱い生地ではないのは、剣道愛好家の間では知られているはずである。キャンバス地とはいわゆる帆布(はんぷ)のことで、最近では他の素材に替わって来ているが、竹刀袋や防具袋に用いられている生地のことを指す。しかし金鉱での作業は想像をはるかに超えた過酷な労働条件にあり、やがてキャンバス地より丈夫なデニム地が用いられるようになる。インディゴの染料が用いられたのは、イメージの統一と同時に汚れを目立たせないことにあり、更に副産物的な効果として独特の風合いが生まれるという面白さがあった。しかしこの時点ではまだ「ジーンズ」という名称を冠してはいない。これがジーンズと呼ばれることとなるポイントは、ポケットの補強にあった。
なお余談となるが、デニム地のインディゴの染料が蛇や虫を避ける効果があると聞いたことのある人がいると思う。しかし詳しくはここでは割愛するが、色々調べてみるとその効果はさほど期待できないのが実際とも言われている。

帆布(はんぷ)の袋

◾️今回のあとがき

「生地胴=ジーンズ論」のタイトルの後半部分「ジーンズ」にようやく触れました。カミングアウトしておきますが、私はジーンズのことはあまり詳しくありません。生地胴ってジーンズに似ているなあと思った際にあれこれ調べたことをさも分かったかのように書き連ねていますが、あちこちに綻びがあるかもしれません。何か間違いなどあったら教えていただければ嬉しいです。

さておき、ジーンズの生い立ちを辿ってみると、とても興味深いエピソードが多いです。
これは剣道と全く関係のない世界の話ともいえますが「剣道」から別の世界を旅することもできるという展開であり、技術的な向上だけではない剣道の楽しみ方の一つとして「違う文化に枝を広げる面白さ」があると私は考えています。このことは、以前書いた記事の中でも触れています。

いいなと思ったら応援しよう!