#26 生地胴=ジーンズ論 vol.2
■01 稽古用の胴
そもそも生地胴とは、牛革に漆などを一切塗ることをせず、革目のままの胴台として完成させたものである。
稽古用の剣道具として、見栄えを度外視し、コストをかけずに稽古用に使い込むことを目的とした胴台である。
30年以上前には、少年剣士が稽古用として身に着けている姿を見かけることは今ほど珍しくなかった。
また、革目を露わにした稽古用の生地胴がある一方、様々な技巧を凝らし、ときには華やかさを表現した本漆塗を施した革張りの胴台も「変わり塗」として存在していた。もちろん、これは数は減りつつも現存している。
■02 化学製品の普及
牛革に替わり、ファイバーや樹脂の胴台が普及すると、漆ではない化学塗料などが用いられ、一見のみでは本漆とも遜色のない、煌びやかに仕上げられた変わり塗の胴が安価で入手できるようになった。このことによって、様々な風合いの胴台が気軽に選択できるようになると、ますます生地胴は、稽古用の普及品として存在する必要性が薄らいでいくのである。
(続く)
■ちょっとおことわり
この投稿は、生地胴の変遷について、私が仮説も交えた上で書いていく清水義範風のパスティーシュ(文体模写)とでもご理解の上、お読みください。
2023/06/02 『#25 生地胴=ジーンズ論 vol.1』に序章と本稿両方載せていたのですが、やはりわかりにくいので、両者を分けた上で再掲しました。