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夏の風物詩 ドヴォルザーク歌劇『ルサルカ』

 夏が舞台になった、ドヴォルザーク歌劇「ルサルカ」を鑑賞しました。ルサルカは、私の大好きな歌手ルネ・フレミングさんの十八番。フーケの「ウンディーヌ」、アンデルセンの「海の小妖精」などを参考にクヴァピルが台本を書き、ドヴォルザークが作曲した3幕のオペラです。

 物語は、水の精ルサルカが人間の王子様に恋をして、イェジババに人間の姿にしてもらったかわりに声を失いました。王子は1週間ほどはルサルカに夢中になりますが、口がきけないでいるルサルカに次第に冷淡になり、王女に心変わりしました。王子の愛を得ることができず、水の精霊の姉妹のところにも戻れず、ルサルカは幽霊としてさ迷いましたが、最後改心してルサルカを探してきた王子に口づけをして王子が息絶えるという悲しい物語です。

 はじめて対訳本を一文一文丁寧に読んでいくと、ルサルカの王子に対する切なく悲しい想いが伝わってきました。

 ルサルカ「生きても死んでもおらず、生身の女でも妖精でもなく、呪われ幽霊となってさ迷っているの!あなたの腕の中でしばし夢見たけど、儚い恋は叶わなかった、かつてはあなたに愛された私だけど、今ではあなたの死神にすぎないの!」

 王子(情熱を込めて)「君なしでは、生き場所はない。(優しく)ぼくを許してくれる?」

というくだりが好きです。ドヴォルザークの旋律が本当に美しく、チェコ語も素朴で心情がよく伝わってきました。とても抒情的で幻想的なオペラでしたので、対訳本を頼りに繰り返し聴いてみたいです。

参考)「月に寄せる歌」という有名なアリアを挙げておきます。ルサルカが王子に恋心を寄せる美しい歌です。https://www.youtube.com/watch?v=SS0J_YBjLrQ


ルサルカ(水の精)…ルネ・フレミング(ソプラノ)
王子…ベン・ヘップナー(テノール)
水の精…フランツ・ハウラタ(バス)
イェジババ(魔法使い)…ドローラ・ザイーク(アルト)
外国の王女…エヴァ・ウルバノヴァー(ソプラノ)
森番…イヴァン・クスニエル(バリトン)
皿洗いの少年…ズデナ・クロウボヴァー(ソプラノ)
三人の木の精…リーヴィア・アーグホヴァー(ソプラノ)、ダナ・プレショウヴァー(ソプラノ)、ハナ・ミヌティッロ(アルト)
キューン混声合唱団
サー・チャールズ・マッケラス(指揮)、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1998年4,5月 プラハで録音

注)2018年7月22日の過去投稿記事です。

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