見出し画像

カミュ原作、グラナート現代オペラ「カリギュラ」(2006年世界初演ライブ)

 不条理を描いた小説「異邦人」で有名なアルベール・カミュは、脚本を書き、役を演じ、劇団を立ち上げる演劇青年でもあった。

 カミュが書いた戯曲「カリギュラ」は1945年パリでデビューしたての名優ジェラール・フィリップが主役を演じ、好評を博した。日本では2007年蜷川幸雄監督&小栗旬主演で舞台化され話題になった。

 物語は、若きローマ皇帝のカリギュラが、最愛の妹ドリジュラ(カリギュラと近親相姦の関係)の死後、狂気の暴君と化し、市民の財産相続の剥奪や無差別処刑などを行なったことから、陰謀により暗殺されるという四幕劇。

 その原作を元にヘンツェと「午後の曳航」など多くの台本を担当した ハンス=ウルリヒ・トライヒェルが台本を担当し、ヘンツェの弟子でドイツのオペラ作曲家グラナートがオペラ化した作品を鑑賞しました。

 サスペンスドラマを観ているような緊張感あふれる劇で、現代オペラによくある、あまり歌わない、セリフが多い劇でした。王が暴君と化し、それを嘆き非難するような形で合唱がうまく使われているように思いました。王を慕うものがみじかにいるものの、一番愛するもの(妹)を失って自暴自棄になった皇帝の「孤独」が伝わってきて、良いオペラ(芝居といったほうがいいかも)でした。

 また、聴いてみたいです。

アシュレイ・ホランド(バリトン)
 ミヒャエラ・シュースター(ソプラノ)
 マルティン・ヴェルフェル(カウンターテノール)
 グレゴリー・フランク(バス)
 ユルギータ・アダモンテ(メゾ・ソプラノ)
 ハンス=ユルゲン・ラザー(テノール)
 ディートリヒ・ヴォレ(バリトン)
 バルバラ・ツェッヘマイスター(ソプラノ)
 フランクフルト・オペラ・ムゼウム管弦楽団&合唱団
 マルクス・シュテンツ(指揮)
 録音時期:2006年10月7日
 録音場所:フランクフルト歌劇場
こんな感じのオペラです。
https://www.youtube.com/watch?v=7LT-38IgFCo


2020年1月21日の過去記事です。

いいなと思ったら応援しよう!