見出し画像

「ヴァントゥイユのソナタの小楽節」に思いを馳せて

プルースト「失われた時を求めて」第一篇第二部「スワンの恋」から

 フランスの小説家マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」には音楽の描写がたくさん出てきますが、なかでも第一篇第二部「スワンの恋」における「ヴァントゥイユのソナタの小楽節」は印象深いものがあります。

 物語の中で「ヴァントゥイユの小楽節」は、ブルジョワでフェルメールの研究家であるスワンと粋筋の女性オデットとの「恋愛の国歌」として顕出されます。

 この創作上の楽曲のモデルは、フランク、サンサーンス、フォーレなどの近代フランス音楽家や、シューマン、シューベルト、ワーグナーだといわれています(保苅瑞穂著「プルースト 読書の喜び」から)。

 今日は、プルーストの本を読みながら室内楽を聴こうと思い、イザベル・ファウストが演奏するセザール・フランクの「ヴァイオリンソナタ」を選択しました。4楽章が最もロマンチックで盛り上がる曲想ですので、「ヴァントゥイユの小楽節」にぴったりだなぁと感じました。ほかに、私は、マスネの歌劇「タイス」の「瞑想曲」(ヴァイオリンとピアノ版に編成したもの)など小説のイメージに合うと思うのですが、皆さんいかがでしょうか。


●参考)イザベル・ファウストが演奏するフランクのヴァイオリンソナタはこんな曲です♪
https://www.youtube.com/watch?v=DP7ytQYwBAk

https://www.youtube.com/watch?v=OQT5_AVIga8

(ディスク情報)
● フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
● ショーソン:コンセール~ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲ニ長調 op.21
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン/1710年製ストラディヴァリウス「ヴュータン」)
アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ/エラール、1885年頃製)
サラゴン四重奏団
クリスティーヌ・ブッシュ(ヴァイオリン)
リサ・インマー(ヴァイオリン)
セバスティアン・ヴォルフファース(ヴィオラ)
ジェシーヌ・ケラス(チェロ)
録音時期:2016年6月、9月

注)2018年6月24日過去投稿記事です。

いいなと思ったら応援しよう!