珍道する桂馬part5
観光地までの移動をどうするか。
ツアーやタクシーを利用すれば早く快適に移動することができる。しかし、貧乏人にはそれが叶わないから仕方なくそれ以外の手段を探す。
電車またはバス。
観光地まで線路が伸びていることはあまりない。なので、バスを使うのが基本である。
バスはめんどくさい。停留所がどこかわからないし、乗ったバスが正しい目的地に行くのかわからないし、運賃の払い方がわからないし。
…………
……
カイロ中心地からギザのピラミッドまで格安で行くにはローカルバスに乗るしかないらしい。
カイロには物理的停留所ではなく精神的停留所がある。勿論、時刻表という概念はカイロにない。
カイロのローカルバスは所謂ミニバスというかワゴン車が走っている。ミニバスが精神的停留所あたりでゆるゆるとスピードを落とすので、運転手に行き先を聞く。これを目的のミニバスが来るまで繰り返す。
これは現地人も同じなのでミニバスがやってくるとみんなでわらわらと寄っていって行き先を聞くのだ。
僕は意外と早く目的のミニバスと出会えた。実際どういう運用がされているのかわからないがミニバスはかなりの数が市内を走っているようだ。
ミニバスに乗り込み「how much!?」と絶叫するとアラビア語で絶叫し返された。英語が通じない…?適当に5ギニー(約25円)渡すと支払いフェーズが終了した。
誰かが絶叫するとミニバスがスピードを落として乗客が降りるというシステムだったから、僕も適当な位置で絶叫したらミニバスがゆっくりになってくれた。
全ての工程があまりにも難しい。
この激動の後にピラミッド周辺のクソ客引きが襲ってくると思うと本当に絶望した。
行きも帰りもミニバス内には現地人しかいなかった。ギザのピラミッドに行く9割以上はツアーかタクシーを利用している、多分。ミニバスの運転手が全く英語を喋る気配がなかったのもそのためだろう。
エジプトは主要産業が観光なんだから観光用のバスを用意してくれてもいいような気がするがどうなのだろうか。