練馬 昴

たまに文章を書きます。

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最近の記事

愚昧な文士

みなさん、サワディーカップ。マイケル・サンデルです。 最近、お気に入りのAV女優が引退してしまい、悲しみに明け暮れていました。もう新作を見ることが出来ないという事実は僕から多くの気力を剥奪しました。僕の精魂は消失し、泥人形にでもなった気分です。始まりがあれば当然終わりがありますが、あまりにも突然のことだったので感情が追いつきません。これが正に事象の地平線ということなのでしょうか。後には無人の遊園地のような喪失感だけが残りました。 彼女の顔を見ると僕の脳裏にはback nu

    • ヌーヴェルヴァーグの衝撃

      インプットを沢山したのでアウトプット。 ■歌舞伎「正札附根元草摺」「流星」「福叶神恋噺」 英語学校に通っていた時、「日本文化を教えてください」という質問に対して脳死で「歌舞伎」と回答した。「It shows dancing and…」と言いながらそういえば歌舞伎って一度も見たことないかもしれない、と思った。積極的に海外に行きたがるわりに自国の文化を知らないとはいかがなものなのだろうか。…という動機から歌舞伎鑑賞へ踏み切った。 実は歌舞伎町には歌舞伎の劇場は一つもない。けれ

      • 島と諧和

        シチュエーションを生み出すのは様々な要因がある。気温、空気、光、音。これらの複数の要因が合わさることで、シチュエーションは生成される。そして大事なのはそれを見極める観察眼だ。最近、シチュエーションミュージックについて考える。メロディはどれだけシチュエーションを生み出すことができるか。なかなか興味深い議題だと思う。 なんの話? つまり、ルネシティのbgmは僕を幻想へ誘うのだ。 竹芝で船に乗り込み、監獄のような部屋で10時間寝ていると八丈島に辿り着く。他の客の脱いだ靴が臭す

        • 余白を泳ぐ

          物語は氷山の一角でしかない。 物語を見た後、その世界観に浸る時間がフィクションの醍醐味だと思う。僕が見たのは登場人物の日々の一部始終だ。語られなかった部分に想像を巡らすことで、物語は身体に浸透していく。あるいは、フィクションはリアリティを獲得していく。 物語を評価する際、「余白」という言葉が使われることがある。所謂、「想像の余地を残す」ということだ。語り過ぎる物語は時に鬱陶しくもある。 余白の生み出し方は色々あるが、やはり大事なのは精密な世界観が土台にあることだろう。設

          リアル・コミュニケーション

          仕事を辞め、海外を放浪して、何が変わったか。 ある物事は明瞭化され、ある物事は暗雲に覆われた。全ては鳥海山の天気のように移ろいやすく、結局のところ、何もわかっていないのと同義なのだ。 今後の生き方について考える。 当然、東京に住んでサラリーマンをやる以外にも生き方はある。 例えば、漁師。北海道のカニ漁で荒稼ぎして、港町に大きな庭のついた豪邸を建てる可能性。 選択肢が永遠と伸縮している。 なんにせよ、英語を勉強しなければならない。リアルコミュニケーションの必要性が掲

          リアル・コミュニケーション

          君の心は

          たまには薄っぺらい自分語りでもしようじゃないか。 「君のこころは輝いてるかい?」 当時、敬虔なファンである僕はこの問いかけについて真剣に考えていた。考えすぎてこころが荒むくらいに考えていた。居酒屋で何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も僕は絶叫した。この内容は「重い」と。 この問いかけに対して当時の僕はずっとNOと言い続けてきた。真面目だから自分は偽れないのだ。 さて、どうすれば僕のこころは輝くのか。つまるところ、自分は何が好きで何をしたいのか。 紆余曲折

          珍道する桂馬part12

          アルゼンチンはでかい。GoogleMapで冷静に見てみるとバチカン市国の2兆倍の広さがある。 都市間移動をバスでしようとすると乗車時間が24時間くらいになったりする。もう夜行どころか全日バスだ。 流石にこれくらいの乗車時間だとバス自体も座席が広いタイプだから逆に快適まである。タブレットにダウンロードした映画見て、寝て、起きて、また映画見れば到着している。 案外バスの車窓からふと見た景色に心を惹かれたりする。 これまでトルコ、エジプト、タンザニア、アルゼンチンと放浪して

          珍道する桂馬part12

          珍道する桂馬part11

          今後の生き方について考えたりしている。 似たような業界に戻るのが一番楽だし、結果的にそうなるかもしれないけど、何も検討せずに戻るのもなんかね。 なんなら会社勤めだけが全てじゃないし。 働くにあたって何を優先すべきか。いろいろと望む条件はあれど何が一番大事なのだろうか。 …考えるのめんどくさ。 海外放浪中に旅人と出会ってそういう話をしたかったのに驚くほど誰とも出会わない。なんで? 全てが吹き飛んだ。 自然の脅威! これまで見た何よりもスケールがデカい。これが南米

          珍道する桂馬part11

          珍道する桂馬part10

          ホテルに着いて靴を脱いだ瞬間、森羅万象を理解する。 足が異臭。 およそ人体から出るような臭いではない。ゴリゴリの剣道部員が一日練習した後の防具と同じくらい危険なスメル。 僕の足、というよりかは靴が臭いとも言える。原因は僕の足ではなく靴そのものではないのか。 余裕があるとき、中敷きを取り外して洗う。しかし、数日経つと当然かのように異臭が発生する。なんだか中敷きを洗うのもめんどくさくなってくる。足が臭いのは長期旅行者の宿命であろう。 こうしていろんなものを受け入れること

          珍道する桂馬part10

          珍道する桂馬part9

          例えば日曜日の夕方、リビングで誰かがテレビを見ている。野生動物のドキュメンタリー番組でライオンが映し出される。ナレーターが何かを語る。 僕にとってサバンナとはテレビに映る遥か彼方の景色であって実感のないものだった。 今、それが目の前にある。 異常発狂。 あまりにも広大な草原。どこ見ても永遠。 もし僕がリアクション芸人だったら横転しすぎて左肩が異様にすり減った人間になっていた。驚愕の連続。 以前、僕は木造のボロアパートに住んでいた。本棚を置いたら可動域が殆どなくなっ

          珍道する桂馬part9

          珍道する桂馬part8

          赤道以南に来た。季節が逆転。夏だと思ったら冬、冬だと思ったら夏。 慣れるまでは後ろ向きで歩いた方がいいらしい。逆転を身体に馴染ませるため。 滞在場所はタンザニアのアルーシャ。 エジプトに2週間以上いたせいで寄ってくる人間全てが敵に見えるようになっていたが、アルーシャはそこまで悪質な客引きはいないっぽい。 全体的にフレンドリー。挨拶をするとお互いの拳と拳を合わせる。なんか楽しくなってきた!?マンボ! 路上にはでかいスピーカーが置かれていて、音楽やラジオが爆音で流れてい

          珍道する桂馬part8

          珍道する桂馬part7

          日本を出国して1ヶ月が経ったらしい。 1ヶ月の中で一番絶望したこと コーラの瓶を持ってdo you have…(栓抜きって英語でなんだ)と言いかけたところで、おっさんが僕の瓶を奪い取り歯で蓋を開けやがったのだ。 もう海外怖いよぉ> < 飯の話。 コシャリ。 米、マカロニ、謎の短い麺、レンズ豆、カリカリしたなにか(オニオンフライ?)が入っていて、トマトソースがついてくる。見た目通りの味。 値段は150〜200円くらい。手軽に腹を満たせるのが良い。 日本でいう牛丼み

          珍道する桂馬part7

          珍道する桂馬part6

          なんとなくやりたいけど、やれていないことがる。 石窯でピザを焼く、本格轆轤、オーケストラのダンスパーティー、等々。それなりのきっかけがないとなかなか実行にいたらない。 歩き方をペラペラとめくっていると、紅海に面したハルガダという街があった。ハルガダは世界中のダイバーが集まってくるらしい。というのも紅海は沿岸に大きな都市がなく、注ぎ込む川がないため、透明度が高い海として有名とのこと。 ダイビング…なんだかんだやれていないことの代表格である。 気づいたら僕は海風を受けてい

          珍道する桂馬part6

          珍道する桂馬part5

          観光地までの移動をどうするか。 ツアーやタクシーを利用すれば早く快適に移動することができる。しかし、貧乏人にはそれが叶わないから仕方なくそれ以外の手段を探す。 電車またはバス。 観光地まで線路が伸びていることはあまりない。なので、バスを使うのが基本である。 バスはめんどくさい。停留所がどこかわからないし、乗ったバスが正しい目的地に行くのかわからないし、運賃の払い方がわからないし。 ………… …… カイロ中心地からギザのピラミッドまで格安で行くにはローカルバスに乗

          珍道する桂馬part5

          珍道する桂馬part4

          まず街を歩いて驚いたのはあのミミズみたいな文字が本当に機能していることだ。看板もメニューも全てミミズが這っている。なんなら数字までミミズなのだ。 一体このぐちゃぐちゃで何を伝えられるというのだろうか。 彼らはミミズが何匹いるか以外の情報を伝達するつもりがないのかもしれない。ミミズの数が彼らのアイデンティティとなっている可能性すらある。 …が、段々と数字くらいは読めるようになってきてだるい。僕もミミズ一族の仲間入りか。 でかい。 なんだってこんなでかい墓を作る必要があ

          珍道する桂馬part4

          珍道する桂馬part3

          世界三大料理とは、フランス料理、中華料理、トルコ料理の3つらしい。何を基準に選ばれてるのかわからないがとにかくそうなのだ。 どれも食べようと思えば日本で食べられるけど、美食専門家武田鉄矢であるこの僕は現地で実食することでその素晴らしさを体感しようと思う。 トルコ料理といえばケバブである。 ケバブは、中東とその周辺地域で供される、肉・魚・野菜などを調理する料理の総称。(wikipediaより) バチクソにざっくりした定義だ。つまり、中東の人間が肉を焼けば全てケバブになる

          珍道する桂馬part3