教える技術を思い出す(スモールステップ)
毎年、早稲田大学のエクステンションセンター中野校で「教える技術」という講座を受講していました。それが私の冬の定番でした。しかし、今年は残念ながらありません。今日、そこで学習したことを思い出す一場面がありました。
まず、「教える技術」のワークで学んだことを書きます。
教える技術/精神的運動領域の技能の教え方
その回は、精神的運動領域の技能に関する教え方がテーマでした。精神的運動領域とは、自転車やパソコンのタイピングなどコトバを介さずに体で覚えてできるようになることです。そこでのワークは、グループに分かれてけん玉を教え合うというものでした。
まず、全員でけん玉をしたあと、教える人と教わる人に分かれ、「教えること」、「教わること」を体験しました。
けん玉を教わる
私は、無条件でけん玉を教わる人でした。子どものころから「運動オンチ」と言われ続けてきました。極度に精神的運動領域の技能が低く、けん玉なんてできたことがありません。
ところが、そんな私でもけん玉の棒に赤い球がささりました。それも何度もです。50年以上、一度もできなかったけん玉ができました。教え方が大事だと実感した瞬間でした。
大勢から言われると動けなくなる
グループの人に教えてもらっているときのことです。そのグループの中で、最後までできなかったのは、私です。そうすると、周りの仲間が応援してくれます。なかには、アドバイスをしてくれる仲間がいます。しかし、アドバイスをもらえばもらうほど、どうして良いのかわからなくなり、体が動かなくなりました。
その後、休憩をはさみ、一人の仲間に教わっているとき、けん玉ができました。そのときのアドバイスは一度に一つだけ、それもまずは持ち方、それができたら腰の落とし方、手首の使い方と、小刻みにスモールステップでアドバイスをくれました。それができた秘訣です。
いっぺんにたくさんのことを言わない、大勢で指示出さない、それがだいじです。いっぺんにいろいろなことを言われると、頭がパニック状態になって動けなくなりました。
支援場面における教える技術
さて、支援場面でのことです。
日中活動で、利用者に作業工程を教えることがあります。最初は一人の支援者が教えていました。やがてそこに別の支援者が加わりました。こうした方がいいんじゃない?、と言い始めます。それを見ていた、経験のある利用者が加わってアドバイスを始めました。「私できるよ!」。そうなると、ごちゃごちゃです。最初に教わっていた利用者は蚊帳の外でした。
一人の支援者が教えていたら、他の支援者は口を出しません。利用者に何かを教えていると、それをすでに習得している利用者が必ず加わります。別の支援者は、後から加わって来た利用者が上手にできる様子を見せてもらうような役割を担います。
教える技術から、教え方はシンプルにしてスモールステップで、ということを学びました。
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