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受け継いだものを自分好みに変えていく(着物の染め替え)
手持ちのサーモンピンクの色無地着物を染め替えることにしました。
母から受け継いだものですが、残念ながら私には似合わず、
紋が入っているため、普段には使いにくい着物でした。
寸法も私に合わせたものではないので、なんだか微妙な感じ(着られないわけではないけれど)。
でも、素材としては好きだし、せっかくだからできれば活かしたい。
着物は染め替えが可能ということを知り、呉服屋さんに相談に行くことにしました。
ただ、私には行きつけの呉服屋さんがありません。
最近ではネット上で染め替えの相談ができるところもありますが、着物に詳しくないので対面の方が良いなと思いました。
母がお世話になっていた呉服屋さんも良かったけれど、少し怖く感じていたので(私が若かったからかもしれませんが)ちょっと敷居が高いイメージがあります。
あと、母の影響が無いところでお願いしたいという気持ちがありました。
今さら母に干渉されたりしないのはわかっているのですが、なんとなく。
近くのショッピングセンターにある呉服屋さんで聞いてみたら、ちょうど近々相談日があるとのこと。
着物の状態を見ていただき、寸法を測り、見積とアドバイスをいただきました。
詳しく教えていただき納得のいく内容でしたが、即決できずいったん持ち帰ることに。
新品の着物を仕立てるよりも手間がかかるから、布代がかからないとはいえやはり高額になります。
これだけの金額を自分だけのために使っても良いのか、迷いました。
(もし子供のためであれば、迷わず出したと思いますが)
50歳になったら、着物を誂えてみたいと思っていました。
私の手持ちの着物は、ほとんどが母から受け継いだものです(既製品のお手頃ポリエステル着物は除く)。
中には母が私のために仕立ててくれた着物もありますが、私が自分で選んだりお金を払ったりしたものはありませんでした。
お金をかけずに着物が着られるのはとても有難いことですが、
「受け継ぐ」ことは、それに伴う「しんどさ」もセットされてくることになります。
自分で買った既製品着物も含めて、手持ちの着物は「どこか微妙に合わない」ものばかりでした。
(自分に似合わない、または寸法が合わない→着ても気分が上がらない)
でも、「たくさん持ってるから新しく買うのはもったいない」という思考になります。
※これは着物だけではなく箏も同じ
それを払拭して、着物を心から楽しむために「節目の50歳になったら着物を誂える」予定でした。
でも・・・別に今やってもいいんじゃない?と思い直しました。1年ちょっと早いけど。
もうすぐ私の誕生日だし!('∀')
50歳になった時に元気でいられるとも限らないし、1年早く仕立てたら1年長く着られるので。
その代わり、反物から買うのではなく、受け継いだ物をありがたく使わせてもらうことにしました。
呉服屋さんに染め替えをお願いすることを伝え、色を決めることになりました。
希望の色はだいたい決めてはいたけれど、本当に自分に似合うか自信がなかったので
カラーアドバイザーの店員さんにちょっとしたカラー診断をしていただけてとても良かった!
自分で感じていた似合う似合わないの基準が、だいたい合っていることがわかりました。
ちょっとくすんだ色が似合うし、淡い色や原色は似合わない感じ。
店員さんたちとあれこれ相談しながら着物について決めていく過程が、本当に楽しかった。
え、着物作るのってこんなに楽しいの?って思いました。
今まで母が着物を作る時にこんなに楽しい体験をしてきたのなら、
着物を受け継いだ自分がそれを上手く活かせなかったとしても、別に罪悪感を感じる必要なんてないんじゃないかな。
「娘に着物を残してやりたい」という気持ちは、たしかに「娘のため」かもしれないけれど
「母自身のため」である面も大きいことを感じました。
私自身の子育てでも、そういえば、思い当たる話がありました。
自分が本を読むのが好きなので、息子が小さい頃は本をたくさん買っていました。
でも、息子が本をそんなに望んでいるわけではないことに途中で気が付き、やめました。
あれは息子のためと思っていたけれど、私のためだったよなあ、と。
(私が)本を選ぶのが、とっても楽しかったもの。
着物についても、それと同じかもしれません。
本に比べて金額が高いので、その分重く捉えてしまいがちだけど。
この記事を書こうと思って着物と私について考えていたら、過去の母の言動が蘇ってモヤモヤして
一度書いてみたら、母への恨み節のようになってしまいました。
いや、私が伝えたいことはそんなことじゃないんだ(;'∀')
と思って書きなおしましたが。
手持ちの着物のうち、私が使いこなせない分は
母へのモヤモヤとした感情と一緒に、もう手放してしまってもいい頃かもしれませんね。