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イラストAIとの向き合い方について

はじめに


以前としてイラストAIの話題は尽きません。現在SNSなどでは、反対派、賛成派、使い方次第派など様々な派閥の主張が散見されます。ここではできる限り中立な立場でAIとの向き合い方について考えていきたいと思います。

具体的な問題例について

既にイラストAI、特にNovelAIの登場以降イラスト界隈では様々な問題が生じています。

お絵描き配信からの盗作

 
有名なのは、とある絵師さんのお絵描き配信(リアルタイムで作画作業の様子を配信するスタイル)にて、絵師が仕上げなどを行い完成する前に、配信画面をスクショしてAIに取り込み、自身の作品としてSNSに投稿。さらに「投稿時間が自身の方が早いから絵師の作品の方がパクリだ!」と主張するというおもしろ事件です。


被害にあった絵師、ATさんのTwitterアカウント

 この事件はお絵描き配信というこれ以上ない証拠があったため、とんでもない言いがかりであると比較的早期に知れ渡りました。

 逆に言えば、お絵描き配信のような強い証拠が無ければどちらが正しいかを判断することはそれほど容易では無かった可能性があります。

 これは発信力に乏しい無名イラストレーターにとっては非常に大きな問題です。(ATさんは絵師として10万人以上のフォロワーを有する有名イラストレーター)

pixivなどでの利用


 pixivは日本で最も有名なイラスト投稿サイトです。様々なイラストコンテストやイラストイベントが定期的に開催されており、投稿した作品をもとに依頼が来ることもあるようで、依頼用の連絡先を記載しているアカウントも多く存在します。

 しかしNovelAI の登場以後、人間離れした速さで作品を仕上げる人や、信じられない伸び幅で上達を見せる人が現れています。

 AIイラストの投稿を禁じる旨の規約変更等は現在アナウンスされていないので、ルール上は問題のない行為である可能性が高いですが、思うところがある人も多くいるようです。


 

懸念されること


イラコンなどの受賞関係でのAIイラストの利用

ここでは、「イラストAIの利用」と「AIイラストの利用」を少し使い分けていきたいと思います。

「イラストAIの利用」はイラスト作成の特定の段階において、構図や色等の確認や参考にイラストAIを用いること。

「AIイラストの利用」はイラストAIの作成したイラストを、加筆、修正あるいはトレースするなどすること。

とします。

 要は自分の作品にAIを取り入れるか、AIをベースに手直しするかです。

 多くの人の意見として、イラストAIの利用には肯定的なように見受けられます。
 またAIイラストの利用についても、その旨を記載していれば何の問題もないとする層が多いように思います。

 問題視されているのは、「AIイラストの利用であることを隠して、自身の作品として発表すること」です。

 これは以前話した内容ではありますが、イラコンの開催目的としては、大別して2つあります。「成果物を求めている場合」と「成果物以外を求めている場合」です。

 後者は参加者の交流や、画力等の技術の向上等を目的としているものです。
 前者については、盗作などでなければイラストAIの利用でもAIイラストの利用でも概ね問題ないようにも思われます。

 それは開催側が、自身の価値観や目的と相談して決めることなので一概に善悪を述べることはできませんが、実際はAIを可とも不可とも定めておらず具体的な対応がなく、使ったもん勝ちになっているというのが現状です。

結局は倫理的な問題

 上記の通り多くの議論を呼んではいますが、結局のところ盗作などでなければ、倫理上の問題に落ち着いているように思います。

 日本に関して言えば、この倫理上の問題についてかなり弱いと考えています。

 それは学校などで、倫理や哲学について学ぶ機会、考える機会がほとんどなく、倫理観や道徳観がトップダウン式で教えられるものになっていることをはじめ様々な要因がありますが、話始めると長くなるので別の機会に。

 まあ世界中のどこでもこのような科学技術と倫理観の衝突はありますし、今後も避けられないでしょう。

 ただ、いたずらに禁止や置き換えするのではなくしっかりと向き合って考えていく姿勢は必須であるように思います。

 

最後に


イラストAIに限らずこのような科学技術の発展は一見神にしか許されないようなことを可能にします。

 その度に人間のそれまでの倫理観を持って新たな価値観と向き合うことを強いられるのです。
  
 時々でその対応は様々で、禁止してしまったり排除したり、逆に積極的に奨励したり取り入れたり。

 ただそのほとんどにおいて、その技術そのものが絶対的に「悪」ということはなく、現行の倫理観にそぐわないまたは、使う人間側の問題であることが多いように思います。
 
 願わくは科学技術と人間がより良い形で共存できるよう、議論と思考を止めずに考えていくことができますように。



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