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LARP、マーダーミステリー、イマーシブシアター:三つの世界で体験する事柄を比較する
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序文
皆さんは、ただ観るだけではなく、ストーリーやアクションに直接参加する体験を求めたことはありますか?
体験型エンターテインメントのうち、ライブアクションロールプレイング(LARP)、マーダーミステリー、そしてイマーシブシアターは、参加者が物語の一部となり、その展開に影響を及ぼすことができる独特なエンターテインメントの形式です。今回は、これら三つの形式が、サプライズ、イマーシブ、インタラクティブという三つの要素を駆使して、いかに参加者の記憶に残る体験をもたらそうとしているのかを考え、それぞれの形式が持つ独自の要素とは何かについて、探ってみました。
特に、一つの何かを知って、これから別の何かに参加を検討している方々にとって有益な情報になりましたら幸いです!
※なお、筆者はLARPについてはマニアであり、制作も手掛けていますが、マーダーミステリーやイマーシブシアターには制作者としての関わりはした事がないため、その点につきまして、視野が限定的である事を考慮の上ご覧ください。
※ARGについては、筆者が力不足によりまだ理解しきれていない為、今回は言及していません。
※LARPは、大変広義な内容を含む文化的活動ですが、本文では所謂「物語の筋書きを体験するゲーム形式の催し」に範囲を絞って言及しています。
本文中の、サプライズ、イマーシブ、インタラクティブの暫定的定義
これら3つの用語はエンターテインメント、特に体験型エンターテインメントにおいて重要な概念です。それぞれの言葉が持つ意味とその文脈における使用方法を本文中に限定して定義します。
サプライズ
サプライズとは、「驚き」や「意外性」と訳されることが多く、予期せぬ出来事や展開がもたらされる状況を指します。エンターテインメントにおいては、観客や参加者が予測できないような意外な展開や出来事がプログラムされていることが多く、このサプライズ要素が体験の魅力を高め、記憶に残りやすくする効果があります。サプライズは、物語の中で突然のどんでん返しや予期せぬキャラクターの行動、驚愕を伴う事実の種明かしなど、多様な形で用いられます。
イマーシブ
イマーシブは「没入型」と訳され、参加者や観客がその体験に深く没入することを指す言葉です。イマーシブな体験は、観客がただ見るだけでなく、その環境や活動に完全に浸ることが求められる状況を作り出します。特に演劇や映画、ビデオゲームなどの分野でよく使われ、観客が物理的または感情的に物語の世界に引き込まれるような設計がなされています。近年はイマーシブフォート東京の様な大型の商業施設のオープンに伴い、体験型のエンターテインメントを構成する要素を表す言葉として広く知られる様になりました。
インタラクティブ
インタラクティブとは「相互作用的」とも訳され、参加者が積極的に作品や活動に関与し、その進行や結果に影響を及ぼすことができる状況を指します。
この用語は、参加者が単に受け手としてではなく、能動的な役割を果たすことを意味します。例えば、イマーシブシアターでは、観客が通常の観劇とは異なる形で演出に参加し、その選択が物語の展開に影響を与えることを指します。
インタラクティブな要素は、特にデジタルメディア、ゲーム、体験型イベントで重要視され、参加者の選択や行動がリアルタイムで作品に反映されることが一般的です。これにより、各参加者に独自の体験が提供され、より個人的に体験化されたエンターテインメントが実現します。
それでは、本題に入っていきましょう!
本題
LARP:あなたの選択が物語を創る
サプライズ: 中
イマーシブ: 中〜高
インタラクティブ: 高
分析: LARP(ラープ)とは、日本においては近年少しずつ認知されつつある体験型コンテンツの一つに属する文化活動のひとつです。LARPでは、参加者がキャラクターになりきり、架空の世界で他のプレイヤーと双方向的なやりとりを行います。この形式は特にイマーシブでインタラクティブな体験をもたらし、参加者がストーリーを共創することに重点を置いています。サプライズ要素は、予期せぬ展開やキャラクター間の出来事によってもたらされますが、全体的な物語の枠組みは参加者同士によってある程度予測可能です。一方で、衣装や舞台設定がシンプルであっても、参加者の想像力が豊かなストーリーを紡ぎ出すことを促すため、非常に高いイマーシブ性とインタラクティブ性を発揮します。
マーダーミステリー: 推理小説の醍醐味を再び
サプライズ: 高
イマーシブ: 中
インタラクティブ: 中
分析:マーダーミステリーは、殺人が起こり、その場にいる誰かがその犯人なのではないか。といった状況に立ち会い、その謎を解いていくという点で高いサプライズ要素を持っています。犯人や動機、秘匿されていた真実が明かされる瞬間は、しばしば参加者にとって大きな驚きをもたらします。イマーシブ性は、場所や設定によって左右されることが多く、舞台や衣装がシンプルな場合、参加者の没入感はやや制限されることがあります。なお、謎解きのプロセス自体が提供するインタラクティブ性は参加者の満足度を高めます。しかし、物語の結果がすでに脚本で定められている場合が多いため、創造的な事柄に対するインタラクティブな影響は限定的です。
イマーシブシアター:舞台の枠を超えて
サプライズ: 中
イマーシブ: 非常に高
インタラクティブ: 軽~中
分析: イマーシブシアターは、観客が直接物語世界の舞台に立ち、演者や舞台装置を通してリアルな現実として演出される世界の中で過ごすことで、極めて高いイマーシブ性を実現します。インタラクティブ性も若干あり、観客本人が物語を追う過程をどの様にしていくかによって観客が解釈する物語を独自のものとして感じ取る事ができます。サプライズは物語の予期せぬ展開や演出の創造性によってもたらされますが、イマーシブ性が主要な魅力となっています。公演主体やテーマによって観客と演者の交流に制限がある場合や、観客の存在をどのように定義しているかによって、観客が感じ取ることができるインタラクティブ性には濃淡が発生します。また、インタラクティブな要素は軽いものであることが見受けられ、そうした気軽さもポイントのひとつです。
まとめ
体験型エンターテインメントへの参加を検討されている皆さんにとって、これらのコンテンツは各々異なる形でサプライズ、イマーシブ、インタラクティブの要素が組み込まれ提供されています。
各要素は、シナリオや各コンテンツに対する運営母体の考え方、予算規模などによっても違いがある為、あなたが感じた事は条件が違えば同じコンテンツの名称であっても異なる結果をもたらす場合があります。
また、どの体験が最も魅力的かは、個人の好みや求める体験の種類によって異なります。舞台設定や衣装が簡素である場合でも、参加者の想像力と創造性を最大限に活用して、物語を最上のものに感じることが可能です。それぞれの形式が持つユニークな魅力を理解し、最も興味を引くものを選ぶことで、忘れがたいエンターテインメント体験が得られるはずです。
ぜひ、楽しいエンターテインメントにこれからも出会ってください!
後半は、筆者が体験したイマーシブシアターによって制限されていたとあることと、それによって起こっていた効果についての考察と、今回例に挙げた3つのコンテンツの再参加に対する考察を述べています。
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