実家のPCを遠隔でサポートした話
母親からパソコンで書いた原稿をメールで送りたいのでやり方を教えてくれと電話があった。(母親はガラケー)
まだ原稿を書いていないので、書き終わったら連絡するとのこと。
母親のPCは僕が何年か前の母の日だったかに贈ったラップトップで、遠隔サポート用にTeamviewer(商用)が入っている。
今回サポートしていて結構困ったのと、実家だからと油断して遠隔サポートの基本を忘れていたので少しまとめておきたいと思った次第。
遠隔でサポートするよと予め約束していた時間。
初手、Teamviewerでつまづく。
サポート対象であるPCがインターネットへ接続されていない。
実家の環境はこんな感じだ。
つい先日まで無線は使えていたはずだ。
母親のPCを借りてVirtualbox上の仮想マシンからAWSにモリモリと負荷をかけていたのは、ほんの一月前だ。
まず、某Baffaloの無線APのSSIDとは何かから説明し、貼ってあるラベルをメモらせる。次にPCでアクセスポイントの一覧を出してもらう。
先頭に「Baffalo」と書いてあるAPを読み上げさせ、一つを選んでセキュリティキーを入力させても接続できない。どうも要領を得ない。
母親相手にイライラしてしまい、有線に切り替えさせる。
LANケーブルを無線APに接続させて終わりのはずだったが、接続できない。
1時間ほど無為な時間をすごし、もうどうにもならないと悟ったため、翌朝実家にオンサイト対応のため向かうことにした。
ビジネスのサポートでは相手は日常的にパソコンを触っているビジネスマンで、少なくとも周囲に「LANケーブルが何かわからない人々しかいない」というケースがほとんどない。
身内のサポートでは、気安さからつい語気が強くなってしまったり、ここから説明しなければならないのかという失望が声に出やすい。
ケーブルを接続してリンクアップしている様子がない時など思わずキャプテン翼かと思うような声が出てしまう。
年老いた実の母親にだ。
嫁さんのご両親にはとてもこんな口はきけまい。
日頃、ネスぺだ社長だとTwitterでイキり散らしている僕が母親のサポートすらロクにできないとは心の底から情けない。
「お前らゼロか!ゼロの人間なのか!」
「悔しいです!」
電話を切って冷静になったぼくは、母親に言い過ぎたことを反省し、どうせならもう少しまともなサポートができる機材をそろえることを決意した。
翌日朝一で電車で実家に帰り、現場を見て10秒で問題を発見し解決することができた。
問題の原因は某Baffalo社の無線ルータの故障。
次に有線接続を試みた際に使用したケーブルが間違っていたこと。
まずは無線LANルータのリプレイス。
近所のNojimaで某Elecom製ルータを5千円で購入。
某Baffalo製品は宗教上の理由で当家の敷居を跨がせることが出来ないので、かねてより知らない間に導入されていたその存在を苦々しく思っていたが良い機会なので交換することとした。
次に無線LANルータと既設ルータの間をスイッチで接続し、ミラーポートにパケットレコーダーであるSonarman(ソナーマン)を設置する。
これにより有線接続した時のARP等をとらえ、不審な機器が接続された場合などに、家庭内の状況をより詳しく知ることが出来る。
元々、海外ITサポート10年の経験をもとに開発した製品。「要領を得ない相手とのやり取り」は得意中の得意。
最低限の情報を手掛かりにトラブルシューティングに着手するためのアイテムである。
設置後の状態
なお、当初の目的だった原稿のメール送信はインターネット開通後10分で操作をメモさせながらやってみせ、完了した。
トラブル時、ユーザーに配線周りの指示を出す場合に、重要なのがその場の写真だ。
配線周りと機器の位置関係、ポートの空き状況などを写真にとる。
その際、一目でどことどこが繋がっているか理解できるよう、ケーブルは色分けしておくことが望ましい。ケーブルの色分けが出来ない場合はシールを貼っておくなどでも工夫できる。
外人相手でも色の話は英語でほぼ通じる。
また、今回混乱の原因となったケーブルにラベリングしておく。
これはLANケーブルではありません。
余談だが、外国人とケーブルの話をするときに一番使うのは「Ethernetケーブル」という言い方。
UTPケーブルやLANケーブルでは通じないことが割とある。
遠隔サポートのために複数の操作手段を備えておくことも意外と役に立つ場面がある。SonarmanがあればLAN内から対象機器に到達できるため、そのあたりはかなりやりやすい。
以上が遠隔サポート失敗に端を発する騒動の顛末であるが、今後この手のニーズが出てくるようにも思う。ITサポートよりも見守りシステムのような感じで開発することも視野に入れてみようかと思う。