てのひら
普段暮らしている場所から少し離れて
自然の多い土地に向かった。
2月の終わりとは思えないくらいの暖かい日差しと
遠くまで広がる大きな青い空。
この目に映る景色がいつもより少し優しくて
キラキラしたものに見えた。
誰かから愛されることも
誰かを愛することも
意外とすぐそばに転がっていた。
道ゆくサラリーマンも
公園で遊ぶ子どもたちも
太陽に照らされた湖を泳ぐ鳥も
空を優雅に舞う鳥も
たくさんの色を教えてくれた梅の花も
空色のキャンバスに描かれた森の緑も
風になびかれて揺れる木々の音色も
この地球に生まれてきただけで
もうそこにいるだけで充分なんだと思えた。
全てのことが愛に溢れていて
私にとっての幸せって
こういうことなのかもしれないなと思った。
町の喧騒でつい忘れてしまいそうになる
いつも目の前にあるその景色や音色や体温を
もっともっと感じて生きていたい。