見出し画像

医療者が、びわこでゴミ拾いをすること

滋賀県在住のみどりのドクターズメンバーを中心に、滋賀医大の国際医療サークルや、Fridays For Future Shiga、滋賀民医連の共催で行いました。滋賀県の後援をいただき、県のびわ活Webpageにも掲載してもらいました。琵琶湖周辺のゴミ拾いを行い、そのあとに、地球環境と医療そして健康について学習会を行いました。参加人数16名。

医療者がゴミを拾うことについて、なぜと思われるかもしれません。医療者と言えども地域の住民であり、コミュニティの一員です。その一員として、暮らしている環境をゴミ拾いという普段とは違う景色を通してみることで、多くの気づきをもらいました。びわこは昔よりきれいになったとはいえ、湖岸沿いにはペットボトルやマイクロプラスチック系統のゴミが多く見受けられました。まち中ではプラスチックの袋も多かったですが、タバコの吸い殻が目立ちました。自然に帰らないプラスチックの問題は、ゴミとしても問題ですが、最近は、有名医学雑誌でも健康とマイクロプラスチックの問題も取り上げられることが多くなっています。「医学的にも」まだ因果関係がわからないことが多いマイクロプラスチック健康問題だけに、不気味さが増します。

びわこらしいブラックバス?の骨や、メガネ・靴・目薬など外来診療と同じように、その背景を想像すると面白いものもありました。ゴミ拾いは、量や質、種類など多様な評価軸を設けて大会形式で運営をしました。表彰することでゲーム感覚で楽しむことも出来ました。

講演では、滋賀医科大学医学生の粟岡さんが、大学フィールドワークで研究した医療廃棄物の行方を通して、医療と環境の相互作用や、コロナ禍後も減らない医療廃棄部の現状を報告してもらいました。注射針は感染力消滅させたものの、細断程度で埋め立てられている現状は、注射針を日常的に使う立場だからこそ、未来への負担を考えてしまいます。
みどりのドクターズからは、最近話題のプラネタリヘルスという用語について説明。あえて生物多様性という観点ではなく、人類の繁栄という点から地球環境を考えていかなければ変われない人類の現状に、果てしない欲望を感じました。一方、日本では、低炭素医療や災害に強い医療を政府として行うことを約束するWHOの『気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス』への加盟と、臨床医学界初となるプライマリ・ケア連合学会の『気候非常事態宣言』の発出、そして「気候変動と医療」について学ぶことが必須となる医学部コアカリキュラム導入と、今年は大きな変化が起きています。日本医療界も気候変動のうねりに期待が出来ます。
 最後に、Fridays For Future Shigaの松田さんが、自分の生活を振り返り、働くことのあり方から考えるシステムチェンジやミニマリストとしての生活、パワーシフトなどの気軽にできる気候変動対策についてお話ししてもらいました。そして参加者同士で自分が取り込めそうなことについてディスカッションすることで、より大きな視野を持ってもうことが出来ました。

日本人は、気候変動対策=しんどいこと・我慢すること、などと捉える人が諸外国と比べて多いと言われています。諸外国では、気候変動対策をすることで、他にもいいことが波及・派生することを、コ・ベネフィットと呼んでいます。例えば、車の代わりに自転車を使って運動すると、温室効果ガスも出ないし、生活習慣病・認知症・一部のがんなどの発症リスクを抑えることが出来るし、お金も貯まります。また、赤身肉を減らすことで、大腸がん等の発症リスクを抑えることができますし、大きな視野での飽食の人と飢餓に苦しむ人との差、食料正義の問題を解決に近づけることが出来るなどです。滋賀言葉で言うと三方良しですね。

 情報が氾濫しているインフォでミックの世の中だからこそ、素早くタイムラインの潮目を読み脊髄反射的な行動をするのではなく、まずはゆっくり自分の世界を見つめる、そして全世界の潮流を見渡し自分で咀嚼し、話し合うことが大事たと感じた、ゴミ拾いと講演会でした。

(集合写真は滋賀民報社のご厚意で提供いただきました)

いいなと思ったら応援しよう!