腸腰筋の機能解剖から腰痛を解く〜腸腰筋の臨床的意義、どれだけ答えられますか?〜(9812文字)
「腸腰筋の役割ってさ、なんだと思う??」
同期からのささいな一言でした。
色んな先生、色んなサイト、色んなチャンネル、
あらゆるところで市民権を得ている人気者、腸腰筋。
みなさんは上の質問になんて答えますか?
実習生に聞かれたらなんていいますか?
後輩の質問に自信のある回答ができていますか?
正しく鍛えられていますか?
このnoteを読むと?
・腸腰筋の機能解剖と臨床の接点がわかる
・新人に質問されても自信を持ってドヤ顔できる
・腰痛の病態を教科書より少し違う視点で学べる
★併せて読んでほしいシリーズ
この二つで腰痛と呼吸の知識はかなーり入るはず。
動的安定化機構としての腸腰筋?
「腸腰筋の作用ってなんですか?」
「安定化するメカニズムがわかりません」
新人や実習生に聞かれたら。
皆さんならどう答えますか?
腸腰筋は大腿骨頭の前面を通過します。
股関節屈曲時に、大腿骨頭を後方に押し付ける作用があると考えられています。股関節の安定性に一役買っているわけですが。腸腰筋が機能しないと骨頭は偏位してしまう可能性があります。
「大腿骨頭前方偏位」って臨床的にはとても重要な概念というか所見の一つと思います。
これによって前面の組織が病理学的な変化を起こしてしまったり、臼蓋と骨頭の安定性が低下してしまい疼痛の一因とされる訳です。
余談にはなりますが、変性疾患の類は構造的なトラブルと疼痛の関係がそこまでなかったりする、という話はよく聞くのではないでしょうか。
しかし構造的な変化というのは身体がストレスに適応するためにとったものです。つまりストレスがかかりやすいアライメントだったり、生活スタイルだったりする訳ですが、この生活スタイルは紐解いていけば疼痛に関わる内容がとっても多いと感じます。
詳しくは違うnoteに書いていますので、ぜひ!
下の方にまとめてリンクを貼ってます!
腸腰筋が疼痛の要因となる解剖学的背景
やはり解剖学的背景を押さえておくことは重要ではないでしょうか。
腸腰筋は腸骨筋と大腰筋の総称です。腸骨筋は腸骨に、大腰筋は1~4の腰椎椎体側面に付着します。
資料によってはL1〜L5の横突起まで付着するとするものもありました。また、腸骨筋は腸骨翼、
前仙腸靭帯に付着するともされているようです。
大腰筋は股関節周囲の筋で唯一腰椎に付着をもちます。
大腰筋以外の股関節周囲筋はすべて骨盤と股関節を結びます。
大腰筋は骨盤腔内を前方に向かって走行し、大腿骨頭の前方を通過して後方に向かいます。そのため大腰筋は大腿骨頭を前方から支持し、求心位をとる機能があります。
また、大腰筋、腸骨筋ともに赤筋繊維が白筋繊維より約3倍太いとされることから、股関節の安定化に作用しているとされます。
また、腰椎に付着するということは、腰部の安定性が保たれていないと真の意味で腸腰筋の機能は見込めない可能性があるということです。
股関節屈曲を変化させた際の疼痛の違いと腸腰筋
股関節を曲げた時に痛む、という方は多いと思います。
ここでは、屈曲角度によってどの筋が貢献するのか、という話です。
股関節屈曲に作用する大腿直筋は股関節角度の増加により屈曲トルクが減少しますが、腸腰筋は90°屈曲位でも屈曲トルクを発揮できます。大腰筋の走行は屈曲位になることで大腿骨を屈曲させやすくなる力を発揮しやすくなるためと考えられています。
股関節屈曲筋群の筋バランス評価
屈筋群はよく緊張しやすいイメージがありますがどうでしょうか?
屈筋群の緊張をみるときの肢位としてはどのようにしてみていますか?
肢位としては、股関節屈曲60°程度のポジションで下腿を支え、股関節屈曲角度を自動運動もしくは軽い抵抗運動で行います。
その際に外側の大腿筋膜張筋から内側の長内転筋付近までを全体的に触診します。
本来は腸腰筋の発揮する筋力のほうが優位となりやすいため、収縮は感じられないか少し触れる程度です。
特定の筋に硬さや膨隆を感じる場合はその筋が腸腰筋の代償として優位に活動していると考えます。
余談ですが、どうして緊張がおこるのか、体にはどんなシステムが存在しているのか。ヤンダ先生の本がとっても参考になると思います。
また、同じ屈曲に作用する筋とはいっても、一方は緊張しますがもう一方はむしろ抑制されている、という状況は理解しておきたいと思います。
後述しますが、これには細かくみたらアライメント不良が関与していると思っています。
教科書レベルではここまで考慮はしないと思うので。(たぶん)
後述しますが、矢状面のみで骨盤は動いてはいない、ということですね。
股関節屈筋群と腰椎の過剰な可動性
仰臥位、または腹臥位にて、自動または他動的に屈曲、または伸展してもらう検査があります。MSIでよく言われている検査かなと思います。
基本的に過可動性がでるかどうかをみていきます。
基本的に腰椎の過剰運動性というのは、目視ではわからないくらいのレベルなんだそうです。そのため目視でわかるレベルだとかなりよくないと。骨盤の回旋や腰椎の伸展、回旋などは特に注意しておきたいポイントかなと思います。
筋バランスと腸腰筋
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