ビジネスの観点から見た箱根駅伝


毎年箱根駅伝を見ながら正月をゆっくり過ごしている僕ですが、今年の箱根駅伝は凄かったです。

結果は皆さんご存知の通り、青山学院大学が優勝しましたが、戦前の予想では駒澤大学が圧倒的な優勝候補でした。

2年連続駅伝3冠へ向けた駒澤大学に死角はなかったし、タイムを見ても普段なら優勝できた記録でした。ただ蓋を開けてみれば青学が大会新記録を打ち立てての圧勝。

やってみなければわからないと言う、駅伝の面白さを感じました。

ではなぜ、青学は駒澤に勝てたのか?

その答えは青学、原監督のマネジメント能力、マーケティング力にあると僕は思っています。

マネジメントに関しては本人が大会の後のインタビューで言っているように、選手のピークをここに合わせたことが大きいでしょう。

11月から12月にかけてインフルなど集団的な体調不良で練習の追い込みがかけられなかったことで、逆に無理にハードワークするのではなくしっかり調整して箱根にピークを合わせることが功を奏したのだと思います。

そしてマーケティング力。ここが今回の最大の勝因だったと思います。

マーケティングと言っても、要は戦略です。

相手の駒澤は全区間でエース級が並びます。対する青学はどうでしょうか?

1年の時から箱根で活躍している佐藤一世
過去2年で箱根で区間2位を記録している太田蒼生
直近の1年で頭角を表してきた黒田朝日

山登りの特殊区間を除けば、エース級はこの3人しかいません。
(本来それでもすごいことですが…)

そして、原監督はこの3人を2区、3区、4区に一気に投入しました。

ここが勝負の分かれ目です。

結果論だったかもしれませんが、勝てる唯一の作戦がこれだったように思います。

自分たちの持てる戦力を一点集中で投下する。相手の焦りや慢心を誘う。

これがうまくいきました。(駒澤は慢心していませんが)

1区で荒巻が走り、化けてくれれば最高。

そうじゃなくても1区での取り返しは、まだ2区以降で巻き返せる。そういう配置でしたし、青学のエース区間の2区から4区で駒澤に食らいつくか下手したらリードすれば5区の山登りで若林が待っている。原監督はそう思ったんじゃないでしょうか。

そう思うと今回の配置は5区の若林ありきの戦略だったようにも思えます。

若林も昨年体調不良で悔しい思いをしています。そこで今回同じ5区でリベンジ。

前年悔しい思いをしたりブレーキになった選手は翌年好成績を残すことが結構あります。希望も込みでそこに賭けたんじゃないかなと僕は思いました。

監督は戦略は立てるけど、実際に走るのは選手です。

ビジネスととても似ています。

会社も経営者が大きな方針を決めます。だけど実際それを実行に移すのは社員です。

いかに社員が頑張れるか、環境を整え、モチベーションが上がるような未来を描くのが経営者の役割だと思います。

そういった意味で今回の原監督には学ばせてもらいました。

戦前、選手たちに2位で良いと言っていたのも本心ではないかと僕は推測します。
実際それほど戦力差がありました。

そこで絶対に1位になれるよという希望的観測ではなく、選手たちの悔しさを引き出す方が良いと思ったのでしょう。

そして、持てる戦力を勝てる可能性がある所に一点集中する。

我々中小企業も同じです。

大手と違い、経営資源は限られています。それを自社が勝てるポイントに集中投下することが大事です。

毎年箱根駅伝から多くのことを学ばせてもらっていますが、今年はそう言った意味では特別でした。

また1年間頑張って、来年の正月に箱根駅伝を楽しみたいです!


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