2020年1月 読書リレー
2020年一発目、今年も、よかったらよろしくお願いします。書いてる現在、もう4月も終わるんですけども(震)最近、無気力が酷いです。
昨年はなんとか年間読書ノルマ(50冊)を達成したので、今年は「月3冊以上/年間60冊(月平均5冊ペース)」で行こうと思います。あんまり高い目標設定して、読み応えのある作品を避けるようになったら本末転倒ですからね。という言い訳。
今までのモーメントはこれ↓
https://twitter.com/i/moments/995558573286477824
●谷崎潤一郎『痴人の愛』1947年初出、青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/files/58093_62049.html
谷崎文学の中でも超有名なやつですね。僕、麻生みことさんの『路地恋花』ってマンガ(オムニバス形式)が大好きで、その中の元小説家とロリータ少女の話に出てくる作品なんです。また、大学時代に友達が取ってた授業でも扱ってた話を聞いて、ずっと読みたい読みたいと思ってたのです。
平々凡々な電気技師・河合譲治がカフェーの女給であったナオミに目をつけ、引き取って立派な淑女に育てた末に自分の妻にしようと目論むも、稀代の悪女になってしまったナオミに陥落し破滅していく様を描いた話。
前情報で、てっきり主人公は何もかも無自覚なままナオミにベタ惚れしてるものかと思ったのですが、(回想録のような形をとっているからかもしれませんが)わりと序盤の方からナオミの欠点や危ういところについて気づいていて、何度も何度も諌めよう、時には離れようとさえするのに、結局ナオミの魅力と策略に絡め取られて折れて服従するしかなくなるのです。ナオミの醜悪さ幼稚さも、自分の愚かさも、何もかも自覚したまま。
「卍」もそうですが、谷崎は本当に、「美女の恐ろしさ、狡猾さ」を克明に描き出す作家だなあ……と、思います。それに描写が綺麗なんですよね。特に、女性の服の。フェティシズムってこういうことを言うんだろうなあと思います。
最初のナオミがすごく無邪気で可愛いので、僕は勝手に「ナオミが……ナオミがどんどん悪女になっていく……」とショック受けながら読んでましたけど、すごいおもしろいです。
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●シェイクスピア著、中野好夫訳『ロミオとジュリエット』2010年(1595年頃初出)、新潮文庫https://www.amazon.co.jp/dp/4102020012/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_CBOkEbQGBSQE8
言わずと知れた名作中の名作戯曲。今作ってる作品のネタに、一度はちゃんと読んでおかなきゃなあと読み始めました。
イタリアの名家、モンタギュー家とキャピュレット家は古くから敵対してきた間柄。そんな中、モンタギュー家の息子であるロミオとキャピュレット家の娘ジュリエットが互いに恋に落ちる悲恋の物語。
前になんか、高校時代の部活友達の作品でかな? で、「原作のセリフはすごいポエミー」っていうのを知ってて、それもそれで楽しみにして読んだのですが、まぁあ凄かったですね! 超楽しい。
さすが戯曲、ミュージカルのような美辞麗句がポンポン飛び出すのでヒェエ〜と思いながら読みました。身も蓋もない言い方をすると「歯の浮くセリフ」を滔々と語るあたり、すごい貴族的だなと思う一方、すごい乱暴だったり卑猥だったりする言葉もわりと飛び出すのでビビります。召使いはともかく、みんな貴族ないしわりと高い身分だよね……??
あと、今回は表紙が綺麗で買ってた新潮文庫版を読んだのですが、僕最後のジュリエットのセリフ訳は角川文庫版が好きで(先にネットで見た訳がそれだった)、そっちもサラーッと冒頭読んでみたのですが、新潮文庫版の方が古風な言い回しでより時代にあってる印象、角川文庫版の方が意味が分かりやすく砕かれてる印象です。
また、それぞれの注釈について、新潮文庫版が後のページに原文についても細かく解説されていて、角川文庫版は各ページの下段に書かれていて参照しやすいって感じです。どっちが好みか、は難しいですね……どっちもいいんですよね。こういうことがあるから、海外文学(翻訳)は沼ると怖そうだなと思います……。
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藤村忠寿『笑ってる場合かヒゲ 水曜どうでしょう的思考1』2020年、朝日新聞出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4022516577/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_FP-tEb9ZVF3GF
みんなだいすき水曜どうでしょうのディレクター藤村Dのエッセイです。本屋で見かけて、思わず二度見しました。
「笑ってる場合かヒゲ」ってタイトルから、てっきり朝井リョウ『時をかけるゆとり』とか穂村弘『君がいない夜のごはん』みたいなめっちゃ笑えるタイプのエッセイかと思ったら、ゴリゴリの仕事論で勝手にびっくりしました。よく考えたら「水曜どうでしょう的思考」なんだからそりゃそうだ。
普段なら絶対読まないジャンルなのですが、作者の人となりをある程度番組で見てきたので「わあ……藤村さんが……真面目なこと真面目に言ってる……!」とクソ失礼な感動を覚えながら読みました。本当に申し訳ございません。
仕事論とはいえ、藤村さんの日常の出来事を綴り、それに関する感じ方や行動指針に発展していく感じなので、ゆるく読めます。構成も、元々朝日新聞北海道版に連載されてたものとあって、1話題2ページくらいの分量なのでとても読みやすいです。
読み終わってすぐ、2が刊行されて読んだので、それに関しても2月の読書リレーでちょろっと書きます。
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2月への繰り越し本は、
吉田篤弘『ブランケット・ブルームの星型乗車券』2017年、幻冬舎
装丁から内容から何から何まで「絶対好きやん自分」と思って買った本。楽しいです。