2021年3月 読書リレー
続けて、3月分を。
今日は近所の喫茶店やネカフェ、フードコートをジプシーしながら書いています。やってみて僕にはこのスタイルが合っているようだと分かったのですが、場所を考えないと出費がとんでもなくなるのでたまにしかできませんね。
与田準一編『日本童謡集』
1957年、岩波文庫
https://honto.jp/netstore/pd-book_00165045.html
これも確かゆめタウンの紀伊國屋で買った本。普通の本屋に珍しく、なんと棚いっぱいに岩波文庫があるんですよ、素晴らしいですよね(ダイマ)
大正7年の童謡童話雑誌「赤い鳥」の創刊から、終戦締結した昭和20年まで(1917年~1945年)に発表された童謡の中から、300編強が収録された本です。有名なものでは、「どんぐりころころ」「てるてる坊主」「カラスなぜなくの」などなどが収められてます。
一時期、YouTubeの文部省唱歌のミックスリストを毎日流してた時期がありまして、その時から北原白秋の「雨」がすごい好きなんですよね。いろいろ聴いてたわりには、ほとんど知らない歌ばかりだなあと思ってちょっと落ち込んだんですけど、文部省唱歌は教科書に載せる前提で「国」が作ったもの、という前提があるらしく、作者が公開されてないものだそうです。そのために作られた新作ばかりだったとか。だから「童謡」とはちょっと違う位置づけみたいです。
現代で童謡というと、「アイアイ」とか「おばけなんてないさ」とか、曲調が明るく、歌詞も子どもに分かりやすいようなものがぱっと思い浮かぶイメージですが、結構歌詞が情緒的だったりメロディもしっとりめが多いなあという印象です。歌うのも結構難しそう……。この時代って歌謡曲もすっごい暗いメロディの短調が多い気がします。好きですけどね!
読み進めていくと、初めの方は叙情的で詩的なものの方が優勢っぽいですが、時代が下るにつれ言葉遊びやリズム、平易な文章が主流になってるような気がしました。そうして今に繋がる、って感じですかね。岩波のこの系統の文庫は他にも、『江戸端唄集』『近代はやり唄集』『日本唱歌集』を持ってるので、それもまたじっくり読みたいです。
やっぱり西条八十作詞はエモいなあ!!! エモエモのエモ!!! とクソ頭わるそうなこと言いながら読みました。実際聴いたら、もっと刺さってくる歌が増えそうですね。
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池谷祐二著、ヨシタケシンスケ絵『モヤモヤそうだんクリニック』
2020年、NHK出版
https://honto.jp/netstore/pd-book_30302792.html
本屋で平積みされていて、「おっヨシタケさんじゃん」と手に取った本。最近、ヨシタケさん挿絵のエッセイとか増えましたよね。
東京学芸大学附属竹早小学校の3年生から6年生の児童256人がアンケートで答えた「モヤモヤすること」に対する疑問から、28個を取り上げて脳研究者の池谷先生が答えていく本です。そして一つ一つの質問に、絵本作家であるヨシタケさんが挿絵を描いています。
「モヤモヤ」の内容は、「勉強に集中するにはどうしたらいいですか?」「朝なかなか起きられません。なぜですか?」「ゲームがやめられない! どうすればいい?」などなど。小学生に向けて書かれた本なので、とても読みやすいし分かりやすいです。といっても、内容は実際の実験や専門用語を交えながら脳や神経の仕組み、それによって引き起こされる感情や行動、「モヤモヤ」について丁寧に解説してくれてます。脳や神経に関する学問への入り口、という感じの一冊です。前紹介した『脳とココロのしくみ入門』とも通じるところがありますね。
あと余談ですが、アンケートに答えた児童はみんなハンドルネームで回答してるみたいで、これはYouTuberやTwitterに影響されてるっぽいなあとか、こういう感じで付けたんやろなあと、あれこれ想像するのもおもしろかったです。解説から漏れた質問なども巻末に一部収録されていて、その中に「いちいち事あるごとに余計に騒ぎ、奇声を上げる奴らはどうすればいいですか?」と質問してる「死神の首庫」さん(くん?)がいて、「オッッ尖ってんな」と思って楽しくなりました。ごめんなさい。なかなかにすこやかな成長だと思います。
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川口俊和『コーヒーが冷めないうちに』
2015年、サンマーク出版
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3507-0
職場のパートさんが「おもしろいから、よかったら読んでみて」と貸してくれた本。続編の「この嘘がばれないうちに」「思い出が消えないうちに」も一緒に貸してくれたのですが、読めないうちに「他の人に借りたいって言われたから返して」と言われて返しました。図書館で借りた本もそうなんですが、基本入浴時が読書タイムなので、自分で買った本以外はあんまり期限内に読めないんですよねえ……。
「過去に戻れる喫茶店」と噂される喫茶店・フニクリフニクラ。ある特定の席に座ると、その人が望んだとおりの時間に戻れる、ということだが、それにはいくつかの「めんどくさいルール」があった。「過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には合う事はできない」「過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない」「過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ」などなど他にも……。それでも過去に戻りたいと望んだ人たちをそれぞれ描いた、4編です。
「過去に戻れる喫茶店で起こった、心温まる4つの奇跡」というコピーなのですが、
つらい!!!!!!!!
感動的な話で、どの話も訪れたお客さんは希望を抱いて喫茶店を後にするのですが、展開が……つらい……。道尾秀介さんの『透明カメレオン』を読んだ時と同じ気持ちになりました。おもしろいんだけど……心がしんどいよぉ……。
過去に戻って、救われたお客さんたちが前に進めるのでいいんですが、話によっては人の死や認知症とかが絡んでくるので、登場人物に感情移入しすぎる人には本当に殺傷力が強いです。
でもこれは本当に、個人の好みの問題なので、絶対刺さる人には刺さるんだろうなと思います。不治の病ものとか好きな人は好きだと思う。映画化もされてるので、興味のある人はぜひ。
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4月への繰り越し本はありません。
それではまた、来月に。
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