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2020年6月 読書リレー

 また溜めてしまいました……どうにも自分は、定期的に何かをやるということにつくづく向いてないなあと最近、痛感しています。まあ遅れても最終的には続いてたらセーフかな! とクズい思想で頑張って参りましょう。どうせ自己満ですからね。
 今までのモーメントはこれ↓
https://twitter.com/i/moments/995558573286477824


●最果タヒ『愛の縫い目はここ』2017年、リトルモア
https://www.amazon.co.jp/dp/4898154646/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_zT6qFbGGZAXNA

 最果さんの詩集三部作、最後の一つ。発売日を指折り数えて、数日遅れでやっと手に入れたはずなのに、なんだかんだで通しで読めてなかったなあと。
 最果さんは、長い詩もいいけど、詩集でいうと横書きで書かれている短い詩が結構好きなんですよね。「〇〇(単語)の詩」ってタイトルの。詩は、長いからいいとか、短いから手抜きだとか、泣けるからいいとか意味が分からんから駄目だとか、そんな理屈は全然関係ないところがいいなあと、常々思います。芸術と言われるもの全般に当てはまることではありますが、上手い下手とかはあんまり問題じゃなくて、本当、自分がそれを好きか嫌いか、ですよね。……まぁ、だからこそ、自分にかっちりハマる詩人を見つけるのが難しいんですけどね。現代詩は、それこそ作品数も作家数も膨大ですし。誰か、おすすめの詩人さんがいたら、教えてください。
 個人的には、「スニーカーの詩」と「年末の詩」が好きです。

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●北園克衛『記号説』2014年、思潮社
https://www.amazon.co.jp/dp/4783734135/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_wU6qFbEWM51NG

 久々(というか、実に十数年ぶり?)に県下一の大型本屋に行って、ぱらっと開いたら「とんでもねえものを見つけてしまった」と思って買った詩集。
 昭和前衛詩人である北園克衛の、戦前に書かれた作品をまとめた詩集。この中の、「図形説」というのが、まあ目を惹くのです。どんな感じかっていうと、「北園克衛 詩」で検索してもらえばいくつか出てくるかと。こういう手法のことも、タイポグラフィっていうらしいですね。タイポグラフィっていうとロゴデザインとかを想像してしまいますが。
 草野新平の「冬眠」とか「天気」とかも、連想してしまいますが、この人のは草野さんのよりもすごく機械的というか、人工的な匂いを感じますよね。草野さんは完全に自然の中が舞台だけど、北園さんは灰色の街中が似合うって感じです。
 どうしてもなんとか読み解こうとしてしまいますが、そういうものでもないんでしょうね。意味や理屈に固執するのは、野暮というか。でも、「これは意味ないもの」「わからないもの」って決め込むのも、作品に対して不誠実な気がするので……どうしたらいいんだ……とよく迷路に迷い込みます。無暗に考えすぎず、好きなように楽しく読めばいいんですよね。
 同時刊行されたらしい、この人の戦後詩をまとめた『単調な空間』も一緒に買ったので、また読みたいなと思います。

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●千種創一『千夜曳獏』2020年、青磁社
https://www.amazon.co.jp/dp/4861984645/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_kW6qFb7VQ67JD

 作者さんのTwitterで、執筆から刊行されるまでの報告をちょこちょこ見ていたので、Amazonの予約が始まってすぐに予約したのです。ですが……例のアレの影響で、発送が未定になり、五月中頃に届くはずが六月になり……Amazonさんは何も悪くないのですが「クッソ何が予約だ!」と思ってキャンセル→e-honのほうでも予約して、でも結局そっちも未定で……という経緯で、最終的に二冊手元に届いてしまい、親友に定価ちょい下で売りつけるクソ行為をかました輩がここにいます。でもこれは、その辺の古本屋とかに売るんじゃなくて、自分の大切な人にあげたかったんだなあ……結果的には買わせてしまったけども。
 前作『砂丘律』もそうでしたが、千種さんの歌集は装丁が魅力的なんですよね……表紙が透ける素材で、真っ白な表紙に黒い「千種創一歌集」と出版社のマーク、そして画面いっぱいに広がる、透けて薄墨色になったタイトル「千夜曳獏」、という、シンプルな表紙ですが、手触りもさらさらしてて、落ち着くんですよね……こういう紙、何ていうんでしたっけ……。
 千種さんの歌は、「真夜中に自室で灯したランプ」のイメージです。夜の青と、白熱灯や炎の砂色と。うつむきながら、煙草を燻らしているような、気怠い過去への後悔と憂鬱が堪らないのです。
 僕は詩集や歌集の場合、好きな作品に極細のフィルム付箋でブックマークしながら読むのですが、さっき言ったように真っ白な装丁の本の、天の部分に、パステルの付箋が群生してるのです、花みたいに。スピンまで白にこだわった千種さんの望む形ではないのかもしれませんが、これはこれで、僕の所蔵するこの本だけの色彩になってる気がして、気に入ってます。『砂丘律』同様、僕はこの本も、無に帰すことなく、後生大事に持っておくんだろうなあ、と苦笑しています。僕は、千種さんの思いに逆らってばかりですね。

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●金城一紀『フライ,ダディ,フライ』2009年、角川文庫
https://www.amazon.co.jp/dp/4043852037/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_kX6qFbK4WPP9Q

 好きなゲーム実況者さんである牛沢さんが、ラジオ無回転だったかな? で、金城さんの小説が好きと言っていたのを聞いてたので、とある機会で友達に「好きな本何でも一冊買ってあげる」と言われて、「じゃあこれを」と買ってもらった本。
 どこにでもいる冴えないサラリーマンである主人公、鈴木一が、一人娘を不良に殴られ入院したことをきっかけに、そいつに復讐するべく、出会った高校生・朴舜臣に修行をつけてもらい体を鍛え上げていく話。映画化もされてるらしいですね。友達は、「冴えないリーマンにしては、堤さんはかっこよすぎる!」と言ってましたが。確かに。
 この物語は、とにかく朴舜臣がかっこいい! 尻込みする主人公を幾度となく叱咤し、稽古をつける場面を読みながら、「お前本当に高校生かよ」と何度思ったか。あと、主人公も修行を続けるうちにどんどん内面が男前になっていきます。こういう泥臭い成長譚はいいですね……。
 物語の事実としては、「いい大人が復讐の名目で高校生をボコボコにする」という、「い、いいの? 道徳的にいいの??」と思ってしまうのですが、ラストの爽やかさ、やってやった感はすごく爽快ですね。法律的、倫理的にはいけないことなんでしょうが、僕も「徹底的にやられなきゃ分からない奴もいる」とは常々思っているので。
 なんか久々に、こんな激しく動く青春ぽい小説読んだ気がします。面白かった。また何か、他の作品も読んでみようかな。

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 7月への繰り越し本は、
横溝正史『八つ墓村』1971年(1950年初出)、角川文庫

 いやぁ……めちゃくちゃ面白かったんですよ……詳しくは、7月の記事で話しますね。
 なるべく数日のうちに上げられるよう、頑張ります。

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