『スパイクオパチー』「COVID-19 スパイクタンパク質は病原性があり、ウイルスとワクチンのmRNAの両方に由来する」(論文の要約)
https://doi.org/10.3390/biomedicines11082287
SARS-CoV-2ウイルス由来であれ、「合成ウイルス」に似たワクチン遺伝子コードによって産生されたものであれ、「スパイクオパチー」と呼ばれるスパイクタンパク質の病原性は、分子生物学と病態生理学の観点からますます理解されるようになっている。脂質ナノ粒子やウイルスベクター担体によって、注射部位から離れた体組織を通して薬物動態学的にトランスフェクションされることは、「スパイクオパチー」が多くの臓器に影響を及ぼす可能性があることを意味する。
mRNAを運搬するために使用されるナノ粒子の炎症特性、合成mRNAの機能を延長するために採用されたN1-メチルシュードウリジン、mRNAとDNAコードおよび翻訳されたスパイクタンパク質の広範な生体内分布、および外来タンパク質のリボソームでのヒト産生を介した自己免疫が、有害な影響の一因となっている。
以下のキーポイントは、発表された情報を要約したものである。
SARS-CoV-2のスパイクタンパク質は、ウイルス由来のものであれ、mRNAやアデノベクターDNAワクチンの遺伝コードから作られたものであれ、病原性を有する。
齧歯類の生体内分布試験データによれば、脂質ナノ粒子はmRNAをあらゆる臓器に運び、血液脳関門や血液胎盤関門を通過する。これらの組織の一部はウイルス感染を通さない可能性が高い。
したがって、バイオハザードは特にワクチン接種によるものである。
脂質ナノ粒子には炎症特性がある。
安定性を高めるためにmRNAをN1-メチルシュードウリジンで修飾すると、スパイクタンパク質が数ヶ月間産生される。どの臓器から、どれだけの細胞でmRNAスパイクタンパク質が産生されるかは不明であり、したがってワクチン1バイアルあたりの正確な有効投与量は不明である。
細胞内でのmRNAの長期的な運命は現在のところ不明である。
mRNAワクチンとアデノベクターDNAワクチンは「合成ウイルス」として作用する。
若くて健康な人、さらには脆弱な合併症を持つ多くの高齢者においてさえ、コード化ベースのCOVID-19ワクチンは、ウイルスそのものによる感染よりもはるかに多様な組織にトランスフェクトする可能性が高い。
mRNAのDNAコピーへの逆転写が可能であることを示唆する証拠がある。このことはさらに、生殖細胞がDNAコピーを宿主ゲノムに組み込めば、世代間感染の可能性を示唆している。
細胞表面にスパイクタンパク質のような外来タンパク質を産生すると、自己免疫反応や組織障害を引き起こす可能性がある。このことは、将来mRNAをベースにした医薬品やワクチンを開発する場合、極めて否定的な意味を持つ。
スパイクタンパク質は、炎症、血栓形成、内皮炎に関連した組織損傷やプリオンに関連した調節障害を引き起こすいくつかの機序を介して、病態生理学的効果(「スパイクオパチー」)を発揮する。
ワクチンコード化されたスパイクタンパク質とACE2、P53およびBRCA1との相互作用は、腫瘍学的可能性を有する広範な生物学的干渉の可能性を示唆している。
公式のファーマコビジランス・データベースからの有害事象データ、FDAとファイザーがFOIを通じて提出した報告書では、高い発生率と複数の臓器系(主に神経系、心臓血管系、生殖器系)が影響を受けたことが示されている。
ファイザーとモデルナのmRNA COVID-19ワクチンの臨床試験データは、独自に解釈され、特に非高齢者において好ましくないリスク/ベネフィットを示すことが査読され、公表されている。
小児に対するリスクは明らかにベネフィットを上回っている。
COVID-19ワクチンのブースター投与を繰り返すと耐性が生じ、COVID-19感染の再発やロングCOVIDの原因となる可能性がある。
SARS-CoV-2パンデミックは、公衆衛生および医薬品規制機関の欠陥を明らかにした。
憂慮すべき感染症パンデミックへの対応を急いだと思われる根本原因の分析が必要である。
多くの臓器系における「スパイクオパチー」関連の病態に対する治療法は、早急な研究が必要であり、長期にわたるCOVID-19ワクチンによる傷害に苦しむ何百万人もの人々に提供されなければならない。
SARS-CoV-2ウイルスのさまざまなタンパク質の図。
SARS-CoV-2感染の文脈では、スパイクタンパク質は細胞侵入の病原決定因子であり、2つのサブユニットから構成される。S1はN末端ドメイン(NTD)と3つの受容体結合ドメイン(RBD)の3量体から構成されるウイルスから外側に向いたスパイク糖タンパク質の遠位端にあり、S2は主にC末端領域から構成され、スパイクタンパク質の茎を形成し、ウイルスのエンベロープまたは膜に近接して埋め込まれる。ウイルスはスパイクタンパク質を用いて細胞表面のACE2受容体と結合し、細胞内に侵入する。そのために、S1サブユニット上の受容体結合ドメイン(RBD)は、ACE2受容体と相互作用するために、「下」から「上」へとヒンジのように伸長する。
プレフュージョンコンフォメーションにおける2019-nCoV Sの構造。(A) ドメインによって着色された2019-nCoV Sの一次構造の概略図。エクソドメイン式構成から除外されたドメイン、または最終マップで視覚化できなかったドメインは、白色になります。SS、シグナル配列; S2'、S2'プロテアーゼ切断部位; FP、融合ペプチド; HR1、ヘプタド繰り返し1; CH、中央ヘリックス; CD、コネクタドメイン; HR2、ヘプタド繰り返し2; TM、膜貫通ドメイン; CT、細胞質尾。矢印はプロテアーゼの切断部位を示します。(B) 2019-nCoV Sタンパク質の前融合構造の側面図と上面図と上向きコンフォメーションに単一のRBDがあります。2つのRBDダウンプロトマーは、白またはグレーのクライオEM密度として表示され、RBDアッププロトマーは(A)の回路図に対応する色のリボンで表示されます。許可を得て[26]図1、著作権(2022)から転載。
【ワクチン産生スパイクタンパク質は保護的閉鎖RBDを持つか】
SARS-CoV-2ビリオンはスパイクタンパク質を三量体の形で、主にプレフュージョンの形で保有している。各ウイルスのプレフュージョンスパイクタンパク質三量体は、3つのRBDがすべてスパイクの頂部に横たわったクローズド型か、1つ以上のRBDがスパイクの頂部から突出したオープン型か、さまざまなコンフォメーションで見られる。受容体結合部位(RBS)は、RBDが下にある時はほとんどアクセスできない。スパイクタンパク質にはフリン切断部位があり、そこでS1サブユニットとS2サブユニットに分割され、感染性が促進される。スパイクタンパク質をS1サブユニットとS2サブユニットに分割するにはセリンプロテアーゼが必要であり、これによりACE2レセプターを介した感染性が大幅に向上する。
レセプターとの相互作用の後、スパイクタンパク質は構造的な再配列を起こし、S2サブユニットが露出し、融合ペプチドが標的細胞の膜に挿入され、S2がリフォールディングされる。このリフォールディングによって、融合ペプチドとスパイクタンパク質の膜貫通ドメインが引き寄せられ、標的細胞膜とウイルス膜が引き寄せられ、融合する。
オーストラリアで市販されているワクチンは、プレフュージョン状態を安定化させ、ポストフュージョン形態への移行を減少させ、したがって切断を制限するように設計されたスパイクタンパク質の人工変異に依存している。変異には、2つの残基を二重プロリンに置換したもの(Pfizer/BioNTech、Moderna、Novavax、Janssenなど)や、プロテアーゼ耐性のためのフリン切断部位の変異(Janssen)などがある。
mRNAやアデノベクターDNAで作られたスパイクタンパク質が害をもたらすことを示唆するデータが蓄積されていることからすると、これらの理論的な安全策は失敗したようである。
このシステムが失敗した理由はいくつか考えられる。全長のスパイクタンパク質ではなく、mRNAのみが脂質ナノ粒子と一緒に注入されるため、製造後の合成や分解が最適でないためにmRNA断片が全長でない可能性がある。その場合、スパイクタンパク質は、ペプチド部分と機能的なS1またはS2サブユニットへの切断を可能にするコンフォメーションを持つ、切断されたスパイクタンパク質として部分的に発現される可能性がある。
完全なタンパク質コード発現であっても、細胞内で切断が起こる可能性はある。どのような生物学的システムも100%効果的ではなく、変異はS1やS2への開裂を完全に防ぐのではなく、減少させるだけであると考えられている。エキソソーム、直接細胞融合、ナノチューブトンネルを介したスパイクタンパク質やサブユニットの他の細胞への輸送はまだ可能である。細胞内での発現エラーにより、スパイクタンパク質が特定の機能を保持する可能性がある。複製可能なプラスミドベクターによる汚染は、複製中の変異やゲノムへの挿入という選択肢を残す。
スパイクタンパク質は、ACE2レセプターとの結合による毒性だけでなく、癌抑制遺伝子BRCAやp53との相互作用やミトコンドリア損傷による細胞内での細胞毒性、細胞タンパク質との直接接触による凝固障害、プリオンタンパク質の拡散や病的形態への再構成を伴う蓄積による神経毒性を持つ。細胞内のスパイクタンパク質の蓄積は、毒性およびアポトーシス効果を持つ可能性がある。
【RBDの毒素様ドメイン】
病原性のもう一つのメカニズムが最近証明された。スパイクタンパク質はS1上のRBDにも「毒素様」ドメインを持ち、その配列は狂犬病ウイルス(RBG)やHIVの糖タンパク質、神経毒NL-1と相同性を持ち、これらはすべてコリン作動性系のα7ニコチン酸アセチルコリンレセプター(α7 nAChR)に結合することが示されている。神経毒NL-1は蛇毒の一種である神経毒で、α7 nAChRの阻害剤として知られるブンガロトキシンの原型に似ており、結合親和性が高い。蛇毒3本指神経毒(α-3FNTx)は、神経筋接合部(NMJ)のシナプス後ニコチン性アセチルコリンレセプター(nAChR)に作用して骨格筋麻痺を引き起こし、他の部位では特異的なnACHRに作用して、炎症の制御に障害をもたらす。
このスパイク毒素様結合ドメインは、ACEレセプター結合部位に隣接するRBDの一部であり、コンピューターシミュレーション研究と電気生理学的研究の両方で、バンガロトキシンなどの神経毒と同様に、ナノモル用量でα7 nAChRに優先的に結合することが証明されている。活性ペプチドSCoV2Pは、ナノモル効力において、潜在的なアロステリックメカニズムによって、アセチルコリン(ACh)誘導α7 nAChR応答を増強・阻害し、ニコチンはこれらの作用を増強する。低用量では増強し、高用量ではnAChR機能を阻害する。
この結合モデルは、COVID-19、ロングCOVID、ワクチン接種傷害の患者における急性炎症性傷害や他の病態を論理的に説明できる可能性があり、それは中枢神経系の重篤な調節不全と関連している可能性がある。
【遺伝子ベースのワクチンは新しい実験技術である】
前例のない数の有害事象は、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソンが採用している遺伝子ベースの技術によって産生されたスパイクタンパク質に関連しているようである。ウイルスベクターDNA技術は、ロシアのスプートニクVおよびエピバックコロナCOVID-19ワクチン、インドのiNCOVACC、中国のConvideciaでも採用されている。しかし、COVID-19ワクチンの大半は、ほとんどが非西洋諸国で製造されており、従来のタンパク質ベースまたは不活化ウイルス非遺伝子ワクチンである。
遺伝子ベースのCOVID-19ワクチンは、FDAによって「遺伝子治療製品」と定義された治療薬の特別なクラスに分類され、レシピエント細胞が膜貫通発現のために抗原を産生する、あるいは細胞から離れて二次的に免疫応答を引き起こす。したがって、設計上、ウイルス様侵入と細胞転写のハイジャックを用いることで、mRNAワクチンとアデノベクターDNA遺伝子ベースのワクチンは、免疫原性のモードで、非免疫細胞を事実上の抗原提示細胞にさせる。したがって、これらの新しいワクチン・プラットフォームは、、外来スパイク抗原を発現する細胞に対して引き起こされる細胞病理学的自己免疫応答によって、二次的に組織を損傷する危険性がある。
SARS-CoV-2パンデミック以前は、このような技術の使用は実験的なもので、ほとんどが転移性癌の治療用タンパク質の製造に限られていた。COVID-19のパンデミック以前には、mRNAワクチンは公的に使用が許可されたことはなく、ウイルスベクターDNAワクチンは、エボラ出血熱、デング熱、日本脳炎に限定的に使用されたのみであった。
情報公開請求(FOI)により入手した文書により、mRNA COVID-19ワクチンは、米国防総省の支援のもと、トランプ政権の「ワープスピード作戦」プログラムによって開発されたことが明らかになった。この遺伝子技術ワクチンについては、FDAの通常の長期的で時間のかかる安全性試験や毒物学的プロトコルの多くが、緊急使用許可を急ぐために回避された。
【脂質ナノ粒子の幅広い分布】
TurniとLefringhausenは、「COVID-19ワクチンーオーストラリアでのレビュー」の中で、合成mRNAのキャリアである脂質ナノ粒子は、それ自体が炎症を起こす可能性があり、膜を通過し、体内で広く分布することを指摘している。それは血液脳関門と血液胎盤関門の両方を通過する。彼らはモデルナワクチンに関するEMAの報告書を引用し、「mRNAは筋肉内投与後、脳内で血漿中の約2%のレベルで検出された」と述べている。彼らはまた、脂質ナノ粒子が血液脳関門を容易に通過する方法と理由について述べた研究も引用している。
ファイザーの生体内分布試験には、63匹のウイスター・ハンラットが参加し、そのうち42匹(オス21匹、メス21匹)にはヒトに相当する1匹あたり50μgのmRNAが注射され、さらに21匹のオスラットにはモデルナCOVID-19ワクチンに相当する1匹あたり100μgのmRNAが注射された。ルシフェラーゼをコードするmRNAは、放射性同位元素で標識されたコレステロールを含む液体ナノ粒子に封入され、大臀筋に注射され、48時間モニターされた。図5に示されるように、生体分布データは、生体組織や膜を容易に通過するように設計された脂質ナノ粒子がすべての臓器に移動することを示していた。48時間後までには、75%が注射部位から他の場所に移動していた。
最高レベルは脾臓と肝臓であったが、この脾臓と肝臓では細胞のターンオーバーが盛んで、細胞毒性による損傷を適時に修復するのに役立っている。しかし、脂質ナノ粒子とそのmRNAは一見すべての臓器、特に卵巣と副腎に分布し、脳、目、心臓、精巣、子宮、下垂体、脊髄、胸腺、骨髄にも分布した。
ファイザー社のラットの生体内分布研究は裏付けが取れている。中国の研究者が、ホタルルシフェラーゼ遺伝子をコードする脂質ナノ粒子-mRNA複合体(mRNA-LNP)をマウスに注射したところ、注射部位からの生体内分布は「肝臓に多く存在し、急速に全身に分布するようになった」「LNPの曝露量とタンパク質の発現量との間の非線形関係は、組織や臓器によって異なっていた」。
より小さなmRNA-LNP複合体がさらにトランスフェクトされ、肝臓とリンパ節に比較的少量のmRNAが存在すると、注射部位の筋肉よりも高い割合でコード化された生物発光タンパク質が生成された。著者らは次のように述べている。
「導入遺伝子の発現期間と動態は、デリバリーシステムの薬物動態と生体内分布に影響される。mRNA-LNPの薬物動態学的-薬力学的関係は非常に複雑であり、組織におけるLNPの曝露量(薬物動態学)に基づいて遺伝子発現と有効性(約力学)を予測することは不可能である。
事実上、脂質ナノ粒子とおそらくそのmRNAペイロードは全身に分布し、遺伝子発現は予測不可能に変化する。
【長期持続性シュードウリジンmRNA】
天然のメッセンジャーRNAは非常に不安定であるため、モデルナワクチンやファイザーCOVID-19ワクチンのスパイクタンパク質をコードする合成mRNAは、ウリジンをN1-メチルシュードウリジンに置換することで安定化されている。この介入は、合成mRNAを長期間にわたって過度に安定化させることが知られている。Fertigらは、脂質ナノ粒子とその中に含まれるmRNAが、ワクチン接種後15日経っても血漿中を循環していることを発見した。最近の研究では、ワクチン接種後28日目の血漿中にmRNAが認められた。また、モデルナCOVID-19 mRNAワクチンを接種した13人の看護師を対象としたブリガム・アンド・ウイメンズ病院の研究では、S1サブユニットがフルスパイクタンパク質とともにピコモル量で約42~72時間まで再循環していることが確認された。
Roltgenらは、三角筋注射部位の同側の腋窩リンパ節の胚細胞の細胞質と核に、mRNAと遊離スパイクタンパク質の両方が60日間持続することを見出した。スパイクタンパク質はワクチン接種後2日まで96%のワクチン接種者の血液中に残存し、1回目の接種後1週間後も63%のワクチン接種者に存在した。先に示したように、修飾RNA分子は極めて安定であり、細胞内に存在し続け、細胞が免疫系に攻撃され死滅しない限り、細胞内リボソーム・スパイクタンパク質の産生は持続する。ワクチンによって誘導されたスパイクタンパク質の安定性を決定した研究はないが、ワクチン後心筋炎を起こした若年者の血漿中には、ワクチン接種後19日まで遊離したスパイクタンパク質が循環していることが確認されている。複数の組織型におけるスパイクタンパク質の持続的翻訳の生物学的意味については調査が必要である。
これらの研究結果は、日本の厚生労働省ファイザー社のラット生体内分布研究におけるmRNA-LNPの14日間の半減期と一致しており、表1に要約されている。
mRNAワクチンからmRNAを取り込んだ細胞は、mRNAの一部をイオン化可能なカチオン性脂質とともに小さな脂質粒子にパッケージングし、エクソソームとして放出する。他の研究では、スパイクタンパク質が、ファイザーCOVID-19ワクチン接種後少なくとも4ヶ月間、循環エクソソーム中に存在することが判明している。このことは、スパイクタンパク質の持続性が、mRNAの持続性と同様に、in vivoで長期間持続することを示している。水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の帯状疱疹としての再活性化は、COVID-19 mRNAワクチン接種後の最も一般的な皮膚有害事象であり、ワクチン接種3ヶ月後の皮膚病変からスパイクタンパク質が検出された症例が報告されている。これらの著者らは次のように推測した。
「COVID-19 mRNAワクチン接種は、免疫系を撹乱することによって持続的なVZVの再活性化を誘導する可能性があるが、発現したスパイクタンパク質が病原性の役割を果たすかどうかは不明であった。」
著者らは、COVID-19ワクチンが免疫系を撹乱する方法として、脂質ナノ粒子、mRNA中のN1-メチルシュードウリジン、スパイクタンパク質(特にS1サブユニット)、抗体依存性の増強、圧倒的な抗原刺激など、いくつかの可能性を仮定している。多くの文献を精査した結果、これらの懸念には証拠となる根拠があり、スパイクタンパク質には病的な役割があることが明らかになった。
【ナノ粒子の毒性学】
Wangらは2018年に、肺や皮膚から取り込まれた少量のナノ粒子でも細胞毒性作用につながることを示した。摂取された場合、ナノ粒子は主に腸管膜リンパ節、肝臓、脾臓を標的とするが、薬物キャリアとして注射された場合、ナノ粒子はあらゆるバリアを通過し、主にマクロファージによる貪食後に脳、卵巣、精巣に移行し、体全体に分布する。
生殖系に対するナノ粒子毒性に関与する分子メカニズムは完全には解明されていないが、考えられるメカニズムには、酸化ストレス、アポトーシス、炎症、および活性酸素種(ROS)の誘導による遺伝毒性が含まれ、細胞毒性とDNA損傷をもたらす分子レベルおよび遺伝子レベルでの損傷を引き起こす。
mRNA-LNP複合体において特に懸念されるのは、ALC-0315とALC-0159という2つの独自機能性賦形剤であり、これまで医薬品に使用されたことはなく、欧州薬局方にも欧州C&L目録にも登録されていない。2021年12月に欧州議会で行われた質問では、「これらのナノ粒子の製造元であるエシェロンは、これらのナノ粒子は『研究用であり、ヒトには使用しない』と明記している。」
と指摘された。欧州委員会を代表する回答は、「コミルナティの賦形剤は、関連するEMAの科学的ガイドラインと基準に従って、…適切であることが実証されている。」というものであった。
このような安心感があるにもかかわらず、製剤中の電解質の存在と接種前の手作業による希釈は、得られる懸濁液の安定性と、その中に含まれるナノ物質の多分散指数について重大な疑問を投げかけるものであり、ワクチン接種後の数多くの副作用の根本的な原因として仮説を立てることができる要因でもある。
溶液中のナノ粒子はコロイド系を形成し、その安定性は静電反発による粒子の凝集を防ぐ。コロイドの安定性を計算するために使用されるパラメータはゼータ電位であり、電荷の二重層によって生成される電位を指す。ゼータ電位が低いと、引力は斥力に勝り、より多くの凝集体が形成される。コロイドニ相系の安定性は、比率、処理方法、適切な温度、電解質の存在に依存する不安定なバランスである。塩化ナトリウム溶液で希釈した後、コミルナティの最終的な比率は、電解質2.61mgに対し、ALC-0315+ALC-0159はわずか0.48mgである。これは、ゼータ電位の劇的な低下をもたらすだけであり、凝集(aggregation)、凝集(agglomeration)、そして最終的には凝集(flocculation)が予測される。体中の毛細血管でナノ粒子が凝集することによって引き起こされるダメージを想定することができる。
コロイド懸濁液がリンパ液や血液中に分散するのに十分な安定性を保てば、ナノ粒子とその毒性負荷は全身に分布し、血液-脳、血液-胎盤、その他の生物学的障壁を越え、それらが蓄積するあらゆる場所で細胞死や炎症を引き起こす可能性が高い。さらに、有毒なナノ粒子を体外に排出するのは容易ではない。5.5nm以下の粒子は、腎臓で糸球体濾過された後、尿路を通って排泄される。
より大きな粒子は、理論的には肝胆道を通って分解される可能性があるが、クッパー細胞(常在マクロファージ)などによって結合される傾向があり、その処理はかなり遅くなる。mRNA-LNP複合体の大きさは約100nmで、腎臓から排出できる大きさをはるかに超えている。このことが、肝臓への蓄積と、観察された肝毒性を説明するのであろう。
【脂質ナノ粒子は炎症誘発性である】
COVID-19ワクチンに使用されている脂質ナノ粒子は、著しい炎症性サイトカイン分泌と細胞死を伴うマクロファージ炎症性タンパク質を誘導することが判明している。Ndeupenらは、脂質ナノ粒子のこの炎症促進作用が、COVID-19 mRNAワクチンのワクチンアジュバント免疫原性を増加させ、有害事象を増加させると指摘している。著者らは、脂質ナノ粒子の広範な生物学的分布、したがって臓器や全身にわたる広範で重篤なCOVID-19ワクチンの副作用の可能性を考慮していなかった。
Trougakisらは、COVID-19 mRNAワクチンの有害事象に関する文献をレビューし、「スパイク仮説」と呼ばれるスパイクタンパク質主導型病理のリスクを指摘している。しかしながら、Trougakisたちは、動物モデル研究から得られた脂質ナノ粒子の炎症促進特性の証拠についてもレビューしている。これらには、「Toll様レセプターの活性化、好中球の過剰浸潤、多様な炎症経路の活性化、様々な炎症性サイトカインやケモカインの産生」が含まれる。
したがって、発現する抗原を変えたとしても、有害事象が生じる可能性が高い。Halmaらは、mRNAと脂質ナノ粒子の成分に加えられた変更、特にポリエチレングリコール(PEG)の添加が、分解に対する耐性を高め、脂質ナノ粒子の生体内分布と生物蓄積を助け、免疫系を回避するのに役立ったことを指摘している。生物蓄積は細い血管やリンパ管の閉塞につながる。生体内分布とは、COVID-19 mRNAワクチンで見られたように、脳、胎盤、精巣を含むすべての臓器で細胞死と炎症が起こりうることを意味する。
PEGは一部の人々にアナフィラキシー反応を引き起こすことが知られており、これはワクチンの患者情報リーフレットに既知の有害事象として記載されている。脂質ナノ粒子でカプセル化されたmRNAは炎症性が高いことに加え、スパイクタンパク質に対する抗体はスパイクタンパク質を産生する細胞や組織にダメージを与える。どの抗原が産生されるかにかかわらず、自己免疫反応では細胞への損傷が起こる。
内因性タンパク質を産生する細胞に対する自己免疫損傷に関与するメカニズムとしては、内因性タンパク質に対する交差反応性の発現、免疫介在性毒性、および、IgG4への切り替えによる免疫寛容などがある。IgG4免疫応答への切り替えは、癌感受性、妊娠、慢性炎症性疾患であるIgG4関連疾患に影響を及ぼす。
もう一つのリスクは、ヒトと獣医の両方の分野でコロナウイルスに対する先行ワクチンで問題となった抗体依存性増強のリスクである。
【ノババックスCOVID-19ワクチンの毒性と新しい脂質ナノ粒子技術】
脂質ナノ粒子の生体内分布が有害事象に重要な寄与をしていることは、タンパク質ベースのノババックスCOVID-19ワクチンNuvaxovidの有害事象報告からも示唆される。このワクチンには脂質ナノ粒子マトリックスという新しい技術があり、フリン切断部位と受容体結合ドメイン部位がそのままで、未修飾のスパイクタンパク質の生体内分布を増加させる可能性がある。生物学的分布試験に関する問い合わせに対し、ノババックスは2021年半ばに「ノババックスCOVID-19ワクチンについて薬物動態学的/薬力学的試験は実施されていない」と回答した。
ノババックスCOVID-19ワクチンについては、ニュージーランドを含むいくつかの国で心筋炎の有害事象が報告されており、規制当局は心筋炎に関する「アラートコミュニケーション」を発表している。このことは、ノババックスCOVID-19ワクチン由来の病原性スパイクタンパク質が心臓に到達することがあることを示唆している。全体として、ノババックスCOVID-19ワクチンからの有害事象報告は、遺伝子ベースのワクチンよりも少なく、これはスパイクタンパク質の用量反応効果と一致している。しかし、脂質ナノ粒子マトリックスそのものが、心筋炎報告の一部に関与している可能性がある。
【アストラゼネカCOVID-19ワクチン生体内分布データ】
2021年4月26日付けのアストラゼネカのアデノウイルスDNA COVID-19ワクチンの「非臨床試験の概要」には、同社のCOVID-19ワクチンに関する新たなマウス生体内分布試験が含まれており、遠位臓器への生体内分布が明らかにされている。…ウイルスベクターDNA COVID-19ワクチンが、脂質ナノ粒子に運ばれた修飾mRNA COVID-19ワクチンよりも少量しか広く生物学的に分布していないことを示唆しているが、アデノベクターDNAワクチンがかなりの量のスパイクタンパク質を産生する能力は残っている。アストラゼネカCOVID-19ワクチンに関連した脳血栓症を伴うワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)の3症例の一連の剖検では、血栓症と脳静脈壁にスパイクタンパク質が検出された。著者らは抄録でこう述べている。
「SARS-CoV-2スパイクタンパク質が血栓内および隣接血管壁で検出された。このデータは、ワクチンによって引き起こされた抗スパイク免疫に関連する好中球と補体の活性化が、おそらく疾患過程に関与していることを示している。」
【従来のCOVID-19ワクチンは高い有害事象報告に寄与していない】
伝統的なワクチン技術のCOVID-19ワクチンは、ほとんどが非西洋諸国で入手可能である。これらには、インドのBharat Biotech社製Covaxin、中国のSinovac社製Corona Vacなどの不活化ウイルスワクチン技術が含まれる。また、オーストラリアとイランを拠点とする企業が共同開発したSpikogenのような、従来の組み換えタンパク質ベースのCOVID-19ワクチンもある。Spikogenでは、スパイクタンパク質抗原は、細胞接着と侵入を減少させ、したがって潜在的な毒性を減少させるために、フリン切断部位とRBDを除去して改変されている。…従来のCOVID-19ワクチンでは、遺伝子ベースのCOVID-19ワクチンの特徴である高率の有害事象報告はなかった。このことは、リスクがスパイクタンパク質の全身への生体内分布と長期産生にあることを示すさらなる証拠である。これは、スパイクタンパク質の病原性、そして、脂質ナノ粒子キャリアマトリックスの病原性を示している。
【体内細胞から提示される外来抗原の自己免疫リスク】
上述したように、スパイクタンパク質は生来毒性を持っていることが証明されている。たとえそれ自体が無毒であったとしても、スパイクタンパク質はその異物性によって、自己免疫応答によって病態生理学的傷害を引き起こす可能性がある。外来タンパク質のわかりやすい結果でもある。脂質ナノ粒子マトリックスは、mRNA遺伝子コードをほとんどの、あるいはすべての臓器の細胞に広く生体内分布させることができる。その後、スパイクタンパク質が細胞表面に、また可溶性タンパク質として臓器や血流に発現すると、T細胞による細胞や組織の破壊、B細胞による抗体が誘導される。後者はまた、免疫複合体の沈着を引き起こし、III 型過敏症を経由して組織をさらに損傷する。
したがって、たとえスパイクタンパク質が”無毒性”であっても、自己免疫応答によって組織損傷が引き起こされる可能性がある。これは、三角筋のような筋肉では軽微な結果であるが、脳、卵巣、心臓のような重要な臓器で起こると、深刻で致命的な有害事象を引き起こす。生体膜を通過する脂質ナノ粒子を介した送達方法-mRNA遺伝子治療-が核心的な問題であり、この技術がこれまでに商業的に販売されなかった主な理由である。
したがって、モデルナ社や他の大手製薬会社が、完全かつ詳細な調査が行われていないにも関わらず、他の多くの病気に対する大規模なmRNAワクチン製造を計画していることは、非常に問題である。
【ウイルスとワクチンスパイクタンパク質の病態生理】
新しいパンデミック/伝染病ウイルスの自然な経過は、時間の経過とともに感染力が増し、病原性が低下することである。SARS-CoV-2では、オリジナルの武漢株とそれに続くアルファ株や他の初期亜種は病原性が高く、デルタ亜種はより広がりやすかったが病原性はやや低く、様々なオミクロン亜種は感染力は強いが病原性はさらに低くなっていた。特に、オミクロン亜型は下気道よりも上気道を標的としているため、ウイルスとスパイクタンパク質の全身への浸透が少ない。
一方、mRNAワクチンとアデノベクターDNAワクチンは、ヒト細胞にオリジナルの武漢株スパイクタンパク質をわずかに改変したものを製造させる。二価ブースター用量の中には、オミクロンバリアントスパイクタンパク質の遺伝子コードを追加するものもある。この遺伝子コードの生体内分布が広範に及ぶと、一般に天然ウイルスで生じるよりも多くのスパイクタンパク質が全身的に産生される可能性がある。これは、若くて健康な人であれば誰でも起こりうることである。高齢者や合併症のある人は肺の奥深くや全身に深刻なSARS-CoV-2ウイルス感染を起こすリスクが高いが、若くて健康な人は上気道粘膜でウイルスを排除する傾向がある。したがって、若くて健康な人の場合、コード化ベースのCOVID-19ワクチンは、ウイルスそのものによる感染よりもはるかに多様な組織に感染することになる。…
CosentinoとMarino(2022)は、mRNAの広範な生体内分布に関する証拠を検討し、「感受性組織におけるスパイクタンパク質の不適切な発現とその後の組織損傷との間の可能な関連を強く支持する証拠がある」と結論づけた。
彼らは、身体組織におけるスパイクタンパク質の薬理学的および病態生理学的効果に関する文献をレビューし、それには以下のものが含まれる。
「血小板凝集、血栓症、炎症、または高血圧やその他の心血管疾患の引き金となる可能性」としてのACE2レセプターへの結合。
心筋周皮細胞および赤血球機能を妨害するCD147膜貫通糖タンパク質の破壊は、心筋炎、溶血性貧血、血液の粘性亢進、そしておそらく神経変性過程を引き起こす可能性がある。
Toll様レセプター2および4(TLR2,TLR4)への結合は、(1)TLR2を介した核因子κB(NF-κB経路)の活性化およびマクロファージ免疫機能の欠損、(2)TLR4を介した肺損傷、心筋炎、および多臓器損傷による炎症性サイトカインカスケードの増加を介した理論的な病原効果を持つが、世界の研究コミュニティではまだ適切に調査されていなかった。
高親和性エストロゲンレセプターα(ERα)への結合は、COVID-19ワクチン接種後によく観察される月経不順の原因である可能性があり、乳癌への関与の可能性が懸念されている。
スパイクタンパク質S2サブユニットは、タンパク質p53 BP1およびBRCA1と特異的に相互作用する。p53 BP1はよく確立された腫瘍抑制因子であり、BRCA1は乳癌でも前立腺癌でも頻繁に変異する。…
In vitroの研究では、スパイクタンパク質(S1ユニット)の受容体結合ドメイン(RBD)が、樹状細胞からの炎症反応を引き起こす最も活性の高い作用物であることがわかった。…
ヒトACE2を細胞上に持つトランスジェニックマウスにS1ユニット/RBDを気管内投与したところ、スパイクタンパク質S1ユニットを投与されたマウスの気管支洗浄液中の炎症性サイトカインが劇的に増加した。…S1(RBD)ユニットの切断がACE2に関連した病理を増加させることも示された。ヒトに似たACE2レセプターを持つように育種されたマウスに、スパイクタンパク質のS1/RBDユニットを注射してみると、COVID-19のような急性肺病変が誘発されることも判明した。このようなことは、振り返ってみると、ワクチン開発の目的には特に不適切な選択であったことを意味する。
プレプリントの中で、McKernanらは、mRNAワクチンの薬物動態を、SARS-CoV-2ウイルスよりも多くのスパイクタンパク質を生成し、COVID-19ウイルス感染症に罹患していないほとんどの人々において、より全身的に生成すると定量化している。
「注射の薬物動態は感染症とは異なる。1回の注射で30~100μg(ブーストされた場合は90~300μg)のスパイクmRNAを注射すると、1回の注射で13兆~40兆個のmRNA分子が数秒間に注入されることになる。このボーラス注射の薬物動態は、数日かけて起こるウイルス複製とは異なる。これらのmRNAがそれぞれ10~100個のスパイクタンパク質を産生することができ、30~40兆個の細胞があれば、自然感染よりもワクチン接種によるスパイクタンパク質の曝露の方が、全身的な量も期間もはるかに多く長くなる可能性がある。
抗原のヒト組織産生は、用量が個人によって異なる可能性が高いことを意味する。これは、個人の遺伝学および生理学、コードに曝露される組織、製品のバッチおよびバイアルのばらつき、並びに輸送、冷蔵および投与の方法によるものである。毒物学の原則であるdosis sola facit venenum(用量が毒を作る)の観点からは、この点だけでもmRNAワクチンやウイルスベクターDNAワクチンの安全性に疑問を投げかけるものである。
COVID-19ワクチンが一般に発売された頃、ソーク研究所の研究者たちは、SARS-CoV-2ウイルスが細胞内に侵入するために宿主細胞のACE2レセプターに結合するスパイクタンパク質に依存していることを発見した。ACE2は心臓血管系を保護し、SARS-CoV-2スパイクタンパク質はACE2のレベルを低下させることで肺損傷を促進する。ソーク研究所のチームは、ACE2のダウンレギュレーション、内皮一酸化窒素合成酵素(eNOS)の阻害、ミトコンドリア機能の障害、内皮機能の直接的障害によって、スパイクタンパク質単独で血管内皮細胞に損傷を与えることを示した。
【ニコチン性コリン作動性抗炎症経路の阻害】
高用量の毒素様スパイクタンパク質結合ドメイン(RBD)は、アセチルコリン(ACh)によるα7nAChR応答を阻害する。これらのα7nAChRの阻害は、深い影響を及ぼす。ニコチン性コリン作動性システムは、「コリン作動性抗炎症経路」(CAP)と命名されているが、これはこれらのレセプターの活性化が炎症を制御し、その阻害が制御不能な炎症を引き起こすためである。CAPは多面的なネットワークを形成しており、神経細胞と非神経細胞に分布し、全身で多様な機能を発揮している。神経系に加えて、α7nAChRはリンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、脂肪細胞、ケラチノサイト、内皮細胞、腸や肺の上皮細胞などの非神経細胞にも発現している。このように広範囲に分布していることから、nAChRは、コリン作動性抗炎症経路を介した、あるいは介さない機序を介して、重症COVID-19の病態生理に関与している可能性がある。
迷走神経を介したCNSによる炎症反応と免疫応答の調節は、免疫系と神経系の双方向コミュニケーションに基づいている。迷走神経の求心性線維は孤束神経核にあり、炎症状態についてCNSに感覚的入力を与え、その結果、背側運動核を起点とする遠心性信号が伝達され、炎症反応が制御される。このような反応は、拡散性の抗炎症ネットワークとは異なり、迅速かつ局所的である。拡散性の抗炎症ネットワークは、遅く、分布し、統合されておらず、濃度勾配に依存している。
AChの迷走神経放出によって活性化されるnACHRsは、免疫系ではT細胞、B細胞、マクロファージ、単球、好中球、肥満細胞に存在し、IL-6などの炎症性サイトカインを減少させる一方で、IL-4などの抗炎症性サイトカインを促進するなど、炎症を抑えるように作用する。SARS-CoV-2によるnAChRの調節異常はまた、交感神経系へのカウンターバランスを抑制し、その結果、中枢性交感神経駆動と交感神経駆動性サイトカインストームの発生を促進する可能性がある。交感神経の嵐は、活性酸素種(ROS)の生成と炎症性サイトカインの放出を増加させることにより、酸化ストレスと炎症亢進を誘発する。
NAChRは呼吸器にも存在する。α3β4nAChRサブタイプは繊毛機能と粘膜繊毛クリアランスをサポートし、α7nAChR刺激は抗炎症性である。したがって、スパイクタンパク質ができるように、これら両方のレセプタータイプを阻害することは、急性COVID-19とロングCOVIDの両方で見られる肺病理に大きく寄与すると考えられる。
SARS-CoV-2感染によって誘発されるストレスと、nAChR阻害によるコリン作動性経路の抑制は、交感神経系(SNS)を活性化し、神経ホルモン刺激と炎症性サイトカインの活性化を引き起こし
、交感神経の嵐をさらに進展させる可能性がある。COVID-19における交感神経の過剰活性化は、毛細血管肺漏出の増加、肺胞損傷、急性呼吸窮迫症候群の発症と相関している。さらに、SARS-CoV-2は肺機械受容器と化学受容器を介して、逆行性に髄質呼吸中枢に伝播し、副交感神経髄質中枢におけるnAChR阻害の結果として、突然の呼吸不全を引き起こす可能性がある。
SARS-CoV-2に感染すると、免疫系が動員される。ウイルスが複製されると、細胞やウイルスの残骸やビリオンがnAChRと相互作用し、コリン作動性抗炎症経路をブロックする可能性がある。初期の免疫応答がウイルスの侵入に対抗するのに十分でない場合、ウイルスの複製が広範囲かつ長期化すると、最終的にコリン作動性抗炎症経路が破壊され、免疫応答を制御・調節する能力が著しく損なわれる。炎症性サイトカインの制御不能な作用によりサイトカインストームが発症し、急性肺損傷や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、凝固障害、多臓器不全が生じる。この仮説に基づくと、COVID-19は最終的にニコチン性コリン作動性システムの疾患となるようである。
この同じメカニズムで、ロングCOVIDとCOVID-19ワクチン傷害で経験される症状の幅と重症度の両方を説明することができる。前者では、スパイクタンパク質とウイルスの除去に失敗し、制御不能な免疫活性化と後遺症が見られるが、後者のワクチン損傷では、スパイクタンパク質がシステムを圧倒し、数ヶ月にわたって産生されるため、その後の注射のたびに負荷が増加する。これはまた、α7nAChRアゴニストやポジティブアロステリックモジュレーター(PAMS)による介入の可能性を示すメカニズムでもある。
【スパイクオパチーの証拠-スパイクタンパク質の病原性】
SARS-CoV-2のスパイクタンパク質は病原性であることが判明した。スパイクオパチーという用語は、結核のようなその病理学的作用から造られ、体中の臓器に無数に広く拡がっているように見え、無数の既知の疾患や症候群を誘発するように見える。
*ここから先は、COVID-19 mRNAとアデノベクターDNAが産生するスパイクタンパク質の病原作用に関連して、いくつかの主要な臓器系について概説(各論)が続く。原文を参照。(①心血管系の病因…心筋炎および心膜炎、スパイクタンパク質の血栓形成作用、ワクチン誘発性免疫性血小板減少症(VITT)、②自己免疫疾患、③神経傷害…神経血管学的および神経免疫学的問題、プリオン形成と神経変性作用、自律神経失調症、④発癌効果、⑤スパイクオパチーの生検および剖検での証拠、など)