見出し画像

何年経ってもあの頃に戻れること | 今週のすきノート



名前を呼ぶこと

シャボン玉

何年経ってもあの頃に戻れる友だち

家族全員で出かけること


空から見る東京は砂の城のように思う


窓から流れる景色を眺めること

冬のつんとした空気

「みんなの願いは同時には叶わない」

祖父母とその子どもたちの会話

田舎の時間の流れ方



歩く途中で足を伸ばす猫

猫の気まぐれ

普段会えない親戚が集まった時の特別感

オードブルにいる冷めきった揚げ物

甘い出汁、柔いうどん



実家に帰り、家族全員で正月を過ごすことができた。

正月を一緒に過ごせたのはかなり久しぶりだった。祖父母の家に顔を出し、もう何年も会っていなかった親戚に会えた時は嬉しかった。同時に、あれからもう10年も経っていたのか、あの時は楽しかったな〜と少し寂しい気持ちにもなった。もうあの時には戻れない。時が経って、自分も環境も変わって。親戚のことが好きな気持ちは何も変わらないけれど、あの時の純粋で楽しさたくさんでいられた自分はもういないなと思う。昔が一番良くて、今が悪いと言いたいわけではない。昔には昔の、今には今の良さがあるけれど、ただ、あの時は楽しかったなでももう戻れないな、という寂しさがそこにあるだけだった。


持ち得る毛布を総動員して寝床を用意してくれた祖母


帰省するたびに会う友人に会うこともできた。高校の同級生であるその子は地元で働いているので、帰省した時にしか会えないけれど、毎度久しぶりなのにその姿が見えた瞬間、高校の頃の2人に戻れる気がする。誰が結婚しただとかあの子は今何をしてるとか、お互いの婚期と仕事の話にもなって、大学に合格したらしたいこと・憧れの話をしていたあの頃とは話す内容もお互いの環境もちゃんと変わっているけれど、2人の間にある空気は何も変わっていなくて。あの頃と同じようにこうして会って話せていることが嬉しいなあ、と彼女が運転する車の助手席で密かに思った。

もうあの頃には戻れない寂しさと、いつでもあの頃に戻れる嬉しさ。両方を感じた。どちらも間違っていなくて、愛しい。


何歳になっても公園でシャボン玉をする2人でいようね


いいなと思ったら応援しよう!