「カ」キ食えば金が生るなりほーりゅーじ
「キョートにシュー学旅行でいくとかまぢテンション上がるよね」
「よね。マジわかるそれ。でもうちのママ じっ家が京トらしくてさ、それ言ったら『案外普通のとこよ京都なんて』だって。いく前からテン下げなことゆーなって話」
「まあ、じっさい住んでる人とか いる人とかはそのなんてゆーの?日本の『昔ながらの』テキなカンカクとかなくなるもんなんじゃない?」
「あーね。てかさ、この後どこいく?」
「久しぶりにプリとりいく?」
「サンセー。」
「なんかそれ聞くと小学校のウンドー会思い出すわ」
「『センセー 私たち僕たちは ナントカカントカで。』みたいなやつでしょ笑」
「や、違うよ『せんせー 僕たち私たちは ウンタラカンタラで…』みたいな感じだよ笑」
「いや、ぜんぜん変わってねーし笑」
「たしかにぜんぜん変わってない爆笑」
「ほんとユミと’いっしょだと一生’笑えるわ笑。」
『イッショだとイッショー!』
二人の声が揃い、さらに笑い合った。
二人はスターバックスを出てゲームセンターへと向かった。そのゲームセンターは二人の中で「さいたまで一ばんプリが多いとこ」とされているが、プリクラ機(プリント倶楽部・写真シール機)が最も豊富な店は二人の言う「さいたまで一ばんプリが多いとこ」なるゲームセンターでは無く、真に「さいたまで一ばんプリが多いとこ」は大宮公園駅前の「アーケイド・ショー23000大宮店」なのである。
しかし、二人の間で醸成された「さいたまで一ばんプリが多いとこ」と言う共通認識が現在の二人の関係値を作り出したのであり、誤った「さいたまで一ばんプリが多いとこ」が生まれ出でなければ、もっと二人の関係は変わっていたのかも知れない。二人の関係が現在より少し遅れをとっている程度なら許容の範囲内であるが、二人の関係が同磁極の反発のように翻っていたのなら、なんと悲しい別れだろう!
以上のことから私は微温湯に浸かった剥製前の防腐処理だけ施された、人間に似た猿の表皮に似たナツミとユミの関係性(抽象的だが確実に物理的に存在する!)にプリント倶楽部が発売された当時悪魔のように全国に蔓延し始めた援助交際(円光またはエンコーでも良い!)的認知的不協和(写し鏡としてのアブストラクトな溶解金属!)を私の愛蔵取鍋(側面に私の肖像が彫刻され、底面には私の生年月日が刻まれているあの!)から流し込んでやろう!
「『カキ食えば…』みたいなレキシのやつあるじゃん?」
「『カキ食えば…』?なにそれ?」
「なんかさ、はいくみたいなやつ。レキシでやったじゃんさ」
「あー、ウチたぶんその時ねてたわ笑 きほん田口おこんないからさ、レキシはねてる(笑)んだよね笑」
「ほんっと、ナツミってだらしないわね笑 あたしみたいな天才をみならいなさい!」
ユミがそう言いながら前髪をかきあげる仕草をした時、ドイツのフランクフルト・アム・マインで行われている世界卓球選手権では林真澄選手が強豪中国のクァン・リーウェイ選手を得意のディフェンシブなカット戦術により下し、日本の卓球界は前進した。