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「なあ、ロバートって四人組だったっけ?」 「なんだいきなり、そんなこと聞いてきて」 「いや……やっぱなんでもないわ」 「なんだよいつものお前じゃないな、一体どうしたんだよ」 「ロバートって三人組じゃなかった、って」 「ロバートは四人組に決まってるだろ、はねトびやポケサン観てたのに忘れたのか?」 「あ、まじか……いや、確かにそうだったな、すまんすまん」 「変なこと聞いてきて、もしかして若年性認知症とかじゃないの?(笑)」 「ははは……」 ロバートは三人組という記憶が残って
「犯人はこの中にいる!」とよく分からぬ小童が赤い蝶ネクタイに語りかけているが、その声の太さに度肝を抜かれて僕は失禁した。でも最近再発した夜尿症対策でパンパースを履いていたおかげで、辺りに気づかれることは無かった。平野啓一郎か? という疑念ももちろん湧いて、僕は遠くから興味津々に見つめている。 「犯人は大きな乳房を抱えていました、そしてそれはあなたのことですね、安浦さん」と僕の右横にいる、体百点、顔六十七点、性格野蛮の女性の名前が呼ばれて、皆一斉に彼女の方を振り向く。 「
工場で働くユマ・サーマン。 石化させるユマ・サーマン。 鼻血噴き出すユマ・サーマン。 クソデカ親指のユマ・サーマン。 天井に張り付くユマ・サーマン。 植物と融合したユマ・サーマン。 パリにやって来たユマ・サーマン。 ジャッキで殴られるユマ・サーマン。 アビーだと間違われたユマ・サーマン。 緑のスカーフを着けたユマ・サーマン。 スウェーデン語訛りのユマ・サーマン。 僕たちの世界にはいろんなユマ・サーマンがいて、でも気づかない程度に生活に溶け込んでいる。
南原清隆の頬骨を見て不快感を覚える人間はそう少なくない。あの逆スクリームフェイスのような彼は不気味の谷の体現者だ。中には恐怖すら抱く人がいるだろう。これから紹介する少年はそれ故に悲劇的な結末を迎えた。どこにでもいそうな少年の夭逝。それは奇妙な事故だった。 彼は三重県四日市市の小さな産婦人科医院にて生を享けた。生まれつきの虚弱体質であり、日光アレルギーと重度の喘息が原因で小学校低学年から不登校だった。それ故彼は友達が一人もおらず、両親以外で話す人間は、自分の体調を定期的に聞